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たたかう聖女さま  作者: 桜花オルガ


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第60話 王都防衛戦① 知ってた

「いやぁ、クロード閣下も虹の聖女様も、実に素晴らしいですな!この後の王都の民へ向けての聖女様お披露目の儀は、大変盛り上がることでしょうな!時間もおしているようですし、民たちのためにすぐお披露目を致しましょう!」



 場内の皆が盛り上がっているなか、小太りで脂ぎった顔の男が一歩前に出て、仰々しくマリアとクロードを褒め称えたのだが……



「「「「「………………」」」」」



 その男が喋った途端、なぜか場内はシーンと静まり、皆はその男に対して白けたような目線を送っている。


 マリアは小声でクロードに尋ねてみた。



「この声……クロードさんあの人って……」


「ああ、()()ルグロ子爵だ」


「なるほど、この男がそうですか」



(な、なんだ?儂が喋った途端、どうして皆黙ってしまったのだ……)



 ルグロはより一層脂ぎった顔を、不思議そうに左右に振っている。



「ルグロよ。お披露目の義は中止にする事にしたのだ。そういえば貴様には伝えていなかったな」


「なっ!?陛下!それはいけません!民たちは聖女様を一目見たいと、楽しみにしておるのですぞ!皆それを予定して王都に集まっているのですから!」


「予定が狂うと民たちは困るか……()()()()()()()()()()()()()ルグロよ、貴様ではないのか?」


「な……何を仰いますか陛下。私は民たちのことを思ってですね……」



 国王とルグロがそんなやりとりをしていると、一つの扉がバーンと勢いよく開かれ、一人の兵士が飛び込んで来た。



「緊急ゆえ謁見中失礼します!王都の南門以外、北・東・西門へ向け多数の魔獣が接近中!これより冒険者ギルドと連携し、対応にあたります!」


「うむ。冒険者たちに報酬は弾むと伝えてくれ。王都軍は()()()()半数を投入せよ」



 ビシッとした敬礼の後、兵士は急いで退出していった。



「へ!陛下!王都周辺に多数の魔獣ですぞ!王都軍の全てを投入して対処せねば!ほら貴族家の皆さまも!王都へ連れて来た兵たちを外に向かわせるべきでは!?」



 ルグロの必死の訴えにも関わらず、相変わらずシラーっとした空気に場内は包まれている。



「何をそんなに慌てておるのだ?王都軍を半数投入するのでは足りんのか?」


「いやいや陛下!ここは全軍投入せねば守り切れませんぞ!」


「先ほど兵も申しておっただろう?冒険者ギルドと連携を取るとな。それとも全軍が王都の外に出ねば、貴様に不都合があるのか?」


「いえ私は……そんな……」

(なんだ……何が起こっているんだ……このままではもうすぐ……)



 するとまた扉がバーンと勢いよく開かれ……



「王都内各所で魔獣の出現が確認されました!」


「うむ。して場所は?」


「はっ!()()()()()()三カ所、ルグロ子爵の関係する建物からです!」


「なっ!知らん!儂は関係ない!儂は何も知らん!被害者だ!」



 あーあ、ルグロ子爵苦しいねぇ。気持ちは分かるよ。予定通り物事が進まないって辛いもんねぇ。



「皆の者、そなたらの私兵にも協力してもらい感謝するぞ」


「……へ?」


「何を呆けた顔をしておるルグロ。謁見が始まる前から、各貴族家の私兵と王都軍の半数を、貴様の関係する建物の周囲に忍ばせておいただけだ。ちなみに貴様以外の者たちは、事前に教会で国への忠誠を誓い、今日起こるであろう事を共有しておるぞ」



 ん~、そろそろ種明かしをしてあげようかな。


 呆然としているルグロの前に、スッとマリアが立つ。



「実は先日、あなたと怪しい六人組が話していた計画を、聞いてしまったんです。王都の外から大量の魔獣に襲わせ、軍が対処にあたってガラ空きとなった王都内にも魔獣を放ち、その混乱に乗じて私を誘拐する……事前に全て陛下に伝えさせてもらいました」


「わ……儂は本当に何も知らない!何かの陰謀だ!誰かが儂を嵌めようとしているんだ!」


「陰謀ですか……私を手土産にすれば、帝国での確固たる地位も得られる……そんなことも言ってましたね。そうだ!では()()()()に証言してもらいましょうか?」



 マリアがそう言うと、兵士たちに連れられ、顔を曝け出された六人組の男が場内へと入って来た。



「この人達、王都の南門を攻める予定だったようですね。クロードさんの騎士団が捕まえてくれましたよ」


「くっ……そんな……そんな奴らは知らん!そんな怪しい奴らはすぐ殺すべきだ!」



 激高しだしたルグロが両手を高々と掲げ、詠唱を開始する。



「紅蓮の猛火 太陽となりて全てを飲み込め 地獄の業火 不死すら焼き払い その血を絶やせ 終焉を告げる赤き炎よ その全てを塵と化せ!」



 ルグロの頭の上に、巨大な火球が生成されていく。



 詠唱している様子を見ながら、マリアは(詠唱ちょっと長すぎん?)とか思っているのだが、周囲の貴族達は大慌てだ。



「血迷ったかルグロ!マリア殿!あれは上級魔法だ!早く逃げないと焼け死んでしまうぞ!」



 クロードも顔面蒼白でマリアに退避を促している。



「ふん!もう遅いわ!全員焼け死ねぇぇぇえい!!『グランドインフェルノォォォオ』」





 ルグロが叫びながら放った巨大な火球は、真っすぐ国王へ向かって行った。


■お知らせ■

もうお読み頂いた方もいるかとは思いますが、短編で出しております下記作品


『やらかし女神の打開策』

『婚約破棄ですか? それは私の計画通りです』

『私のママは人魚姫 ママ!私が浮気して出来た子ってどういう事!?』


上記の三作品には、『たたかう聖女さま』に登場している人物や、登場予定の人物の過去のお話が書かれております。

お時間ある時に読んで下さると嬉しいです。


短編で『勇者の俺が勇者パーティーを追放されたんだが?』もあるのですが、もしかしたらこちらに登場している人物も、いつか登場するかも……しれません。


マリアの活躍をまだまだ見たいと思ってくださった方は、ブックマーク登録や評価をして下さると、本当にほんと~に執筆の励みになります。


これからも『たたかう聖女さま』をよろしくお願いします!

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