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たたかう聖女さま  作者: 桜花オルガ


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第46話 基礎化粧品③ 販売開始

『聖なる肥料』で収穫までこぎつけたのは喜ばしいね。



 ちなみに肥料を各商会へ卸す取引は、現在メイド達が代行してくれているので、マリアは完全に手放しの状態だ。


 洗濯機に関しては日々少量製作し、ドドガが各商会の相手をしてくれていた。


 魔鉄の在庫が少なくなっているから、また錬成に行かなきゃね。




      ───◇─◆─◇───




 レオナさん達に化粧品のお試しセットを渡してから三日経ったので、感想を聞きにクロエちゃんと出向いたのだが……



「聖女様!なんですかこれは!神ですか!聖女様は女神様だったんですか!?」


「マリアちゃん売れるよ!絶対に!確実に売れまくるよこれ!!」



 レオナと母親は、もう薬屋なんて閉めて化粧品一本でいこうと父親に迫る始末である。


 どうやらこの親子にもしっかりと効果が感じられたようだね。だったらこちらも相談しやすい。



「皆さんに相談がありまして。レオナさんにこの化粧品作りをしてもらえないかなと」


「え……私にこれを作ることが出来るの……?」


「作れますよ。出来ればレオナさんに、聖女商会の薬品部門の代表になってもらえたら嬉しいんですけど、こちらのお店のこともあるし難しいでしょうか?」


「父さん私……」



 レオナが父へ目をやると、一瞬も迷うことなくレオナの父親は頷いた。



「聖女様のもとで働くのはお前のためになる。精一杯やりなさい。聖女様、うちの店の事は大丈夫です。実はレオナの弟が薬の勉強のために王都へ行っているんですが、一年後には戻ってくる予定なんですよ。レオナのこと、どうぞよろしくお願いします」



 そう言うとレオナの両親は揃って頭を下げた。


 良かった!本人も来たい、家族も賛成ってことなら遠慮する必要はないね。



 レオナが来てくれる場合は、聖女商会の薬品部門代表として迎える……この件はクロードもドドガも賛成しているので、後は当の本人たち次第であった。


 レオナは自宅からの通いとなる。



 初めて領主邸に行くレオナはかなり緊張していたが、クロード達の歓迎もあってすぐに馴染むことが出来た。


 クロードさんは本当にデキた貴族だなぁ、と改めてマリアは思う。



 ガラス容器が『複製』によりどんどん量産される様に、腰を抜かすほど驚くレオナであったが、マリアのオリジナル魔法だと告げると「やっぱりマリア様って呼んだ方がいいかな?」などと言い出すから困ってしまった。


 これまで通りで良いと強く言い、『基礎化粧品』の作り方を指南し始めたのだが、さすがは薬屋の娘である。


 最初は苦戦していたものの、数回の失敗をした程度ですぐに作り方をマスターした。



 この日から暫くは在庫作りに専念し、販売用の通常サイズを各100個、七日間お試しセットを、数量限定300セット用意した。もちろんお試しセットはお一人様一つのみの販売である。


 お試しセットの販売価格は銀貨2枚にした。



 ちなみに伯爵邸のメイド達には二ヵ月に一度、無料で全ての化粧品が贈られることになった。


 マリアが「福利厚生の一つですよ」と説明したが、みんな意味は分からないものの大変喜んでくれたのだった。


 さらに販売開始の三日前には、教会へシスター全員分の化粧品を寄付。良ければお祈りに来る方へ宣伝をお願いしますねと伝え、この日も化粧品だけでなく金貨1枚を寄付して来た。



 準備は整ったね。


 化粧品の在庫はもう『薬屋みどり』に運び込んである。


 効果については間違いないだろうから、基礎化粧品が徐々に浸透していけば良いね。



 そして聖女商会初の化粧品ブランド『ラグジュ』の化粧品発売日がやってきた。


 『薬屋みどり』では特に宣伝もしていない。


 お金が欲しくて売るって訳じゃないからね。ゆっくり売れていけば良いだろう。



 と、マリアは考えていたのだが……




 売れた。



 売りに売れた。



 お試しセットは即日完売。通常サイズのものも、すぐ追加生産をした方が良い勢いだった。




 実は販売日までの間で、伯爵邸のメイド集が街の知人友人に宣伝しまくっていたらしい。あの虹の聖女様が考案した、特別な化粧品であると。そのメイド達が、いつも以上に美しくなっている事に誰しもが気が付く。


 そしてその話を聞いた街の者はこう思うのである。



(((((それ絶対に買う!!!!)))))




 同様のことが違う場所でも行われていた。教会である。生き生きとした表情で、聖女様から寄付された化粧品についてその素晴らしさを語るシスター達。余りに露骨に褒めるのだが、ここは嘘を吐けない教会の中である。つまり化粧品の効果は本物!


 そしてこの話を聞いた教会へ訪れた者は思うのである。



(((乗るしかない!このビッグウェーブに!!)))




 こうして化粧品ブランド『ラグジュ』の噂は瞬く間に広まった。


 普段はお肌の手入れなんて二の次にしている、女性冒険者も例外ではない。なんなら男性ですら『ラグジュ』を買い求めにやって来たらしい。



 聖女商会初の化粧品販売は大成功のスタートとなった。




      ───◇─◆─◇───




 マリアの前には見事な土下座を披露する四人の商人の姿がある。



 うん……もう言葉がなくてもなんて言いたいか分かってるよ……




「「「「聖女様!化粧品を売って下さい!!!!」」」」




 商魂たくましいのは商人としては正しいんだろうけどね……




 この先何度この人達の土下座を見る事になるんだろう……と考えるマリアであった。

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