表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/36

第30話 初めてのクエスト受注② 結果報告

 マリアはハイオークのもとへ音もなく近寄ると、抉るようなボディブローを叩き込み『次元収納』に回収。




 脳内に表示された四体の『オーガ』へと歩みを進めた。



 頭に一本の角が生えている、日本の御伽噺で言えば『鬼』のような見た目の魔獣。


 体つきは以前討伐した『オークジェネラル』と同じようなものか……強さはそれ以下って感じだね。


 よし!実験を始めよう!



 マリアは中級魔法の『バリア』を展開した。


 この魔法は自分に近い周囲を透明な結界のようなもので囲み、あらゆる物理攻撃や魔法攻撃からある程度守ってくれる魔法だ。


 だがそれは通常の話であって、マリアの『バリア』はその範疇(はんちゅう)に収まるものではない。


 スキル『聖なる叡智』により、炭素原子や窒素とホウ素の化合物などの情報が組み込まれ、とんでもない物理耐性となり、『聖なる魔力操作』により前人未踏の魔法防御力を得た。



 それにしてもこの『バリア』、空気はちゃんと通してくれるんだもんなぁ……ファンタジーってすごい!とマリアは感動している。



「こんにちは『オーガ』の皆さん。あなた達は魔法は使わないそうですし、とりあえず私の『バリア』の物理耐性の実験に少し付き合って下さい」



 マリアの声に反応した『オーガ』達は激しい雄叫びを上げながら、四体一斉に襲い掛かってきた。


 随分と好戦的な魔獣なんだね。


 ただオークやハイオークよりは知能が高いようで、マリアの傍まで来ると四体はバラけてマリアを取り囲んだ。


 マリアは『バリア』の中でくるりと優雅に一回転すると、人差し指の腹を上へ向け水平に突き出し、ちょいちょいと指を曲げ挑発した。



 挑発だと理解できたのか、また雄叫びを上げながら四体の『オーガ』は一斉にマリアへ殴りかかるが……



『ゴギャ!』と何かが潰れ砕けるような音と同時に「ァギャグガラアアアアア」と悲痛な叫びが四方から聞こえた。


 どうやら『バリア』を全力で殴りつけたせいで『オーガ』達の拳が潰れてしまったらしい。



「ふむ。物理耐性は問題なさそうだね」



 その後も怒り狂った『オーガ』達は攻撃を繰り返すが、その度に別の拳や足が砕けていった。


 上位種だったら魔獣も武器を持っていたりするらしいけど、武器相手でもいつか試したいなぁ。



 目の前で悶えている四体の魔獣を放置するのは忍びないので、マリアはそれぞれの心臓の位置に拳を叩き込みその命を刈り取った。



「さて、『オーガ』も回収したしクエスト完了の報告に帰ろうかな」




      ───◇─◆─◇───




 カララ~ンとベルの音を聞きながら冒険者ギルドのドアを開け、受付カウンターへと向かうマリア。



「クエスト完了の報告に来ました」



 そう受付嬢に告げギルドカードを提示すると「マリア様ですね!少々お待ちください!」と受付嬢は慌ててギルドの二階へと駆け上っていった。


 かと思うと、ギルドマスターのアイザックさんを伴ってバタバタと階段を降りてくる。



「マリアお前さん……さっきギルドを出たばかりだろうが!本当にもう達成したのか?」



 コクリと頷くマリアに飽きれたような視線を送りつつ、アイザックさんに促され一緒に買取りカウンターの方へ向かうと、買取り・解体の責任者であるガンツさんがいた。



「お!嬢ちゃん今日は手ぶらか?ああ魔法袋を持ってるのか?」


「こんにちはガンツさん。いえ魔法袋ではないですけど……」



 マリアはそう答えつつ『次元収納』からドサドサと大量の採取物をカウンターへ出した。



 そして訪れる静寂。



 そういえば『次元収納魔法』って、今はもう使い手がいないような事をカリナが言ってたな。


 そんな魔法を私が使ったから皆驚いているのかもしれないね。


 マリアはお構いなしといった足取りで、カウンターから少し離れた場所へ移動すると、今度は討伐した『オーク』三体と『ハイオーク』一体、おまけの『オーガ』四体を『次元収納』から出した。



「アイザックさん、これで私ランクCになれますか?」




「「「「「えええええええええええ!?」」」」」




 冒険者ギルド内に絶叫が木霊すると、その声でアイザックさんが我に返ったようだ。



「ちょちょちょっと待てマリア!採取物はどれも100近くあるし、『オーガ』を四体もマリア一人で始末したのか?それにさっきの魔法は『次元収納』じゃ……?」


「もしかして多く採取しちゃ駄目でしたか?ハイオークの近くに『オーガ』がいたのでついでと思いまして。『次元収納魔法』は珍しいようですが私は使えます」



 アイザックは何かを諦めたような表情で首を横に振ると、大きく息を吸い込み大声を上げた。



「いいかお前ら!ここにいるマリアは聖女様だ!そして実力のある冒険者でもある!今日この時からマリアはランクCだ!これは決定事項であり、文句がある奴はこの俺が相手をしてやる!異論ある奴は今すぐ前へ出ろ!」



 シーーーンと静まり返る冒険者ギルドであったが、その静寂は徐々に大歓声へと変化した。



「文句なんかあるわけねぇ!ランクCおめでとう!」

「強くて可愛くて『次元収納』使える聖女様とか最強だろ!」

「俺はいま伝説を目にしているのかもしれない……」

「アタイ女だけど……マリアちゃんになら抱かれても良い!」

「『オーガ』四体を一人で倒せるランクCなんていねぇぞ?」

「結婚してくれー!マリアちゃん結婚してくれー!!」




 相変わらず不穏なことを言う輩もいるようだが、マリアは無事に冒険者ランクCへと昇格が決定。




 それにしても冒険者は歓声を上げるのが好きなのだろうか?と思うマリアであった。

お読み頂き、ありがとうございます。


マリアの活躍をまだまだ見たいと思ってくださった方はブックマーク登録や

↓ の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると、本当にほんと~に執筆の励みになります。


これからも『たたかう聖女さま』をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ