第29話 初めてのクエスト受注① マリアの魔法
今日は冒険者ランクをCに上げるため、ギルドマスターであるアイザックさんが見繕ってくれたクエストを受注すべく、冒険者ギルドにやって来たマリア。
もちろん伯爵邸の洗濯物を、メイドさん達に囲まれながら魔法で綺麗にしてから出掛けている。
クエストに出掛けるのでクロエちゃんは残念ながら伯爵邸でお留守番だ。
ギルド内に入ってから
「聖女ちゃ~~~ん!」
「マリアちゃんは俺が守る!」
「やべぇマジで可愛いんだが……」
「あの子が噂の危険人物か」
など様々な声を受けつつ、ギルドマスターの部屋へと通された。
危険人物ってなんだよ?
「良く来てくれたマリア。まぁ椅子に掛けてくれ」
アイザックさんのお言葉に甘えて椅子に座ると、ギルドの受付嬢が紅茶を出してくれた。
「早速だが、これがランクCに上がるためのクエストだ」
アイザックさん話が早くて助かるよ。
ええとなになに……
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【採取依頼】
・ポラン草×30
・ママラン草×10
・キュリップの花×10
【討伐依頼】
・オーク×三体
・ハイオーク×一体
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ポラン草は治癒ポーションの材料になる草だったかな。ママラン草はハイポーションの材料だね。
キュリップの花は魔力回復ポーションの材料……あれ?私って魔力どのくらいあるんだろ?今度実験してみようかな。
で討伐はこれと……
「あのアイザックさん?これだけで良いんですか?」
「これだけってお前さんなぁ……ハイオークは本来、ランクC冒険者二人で当たるのが推奨されてるんだぞ?まぁ護衛依頼を組み込むべきなんだが、マリアは聖女様でもあるだろ?聖女様に護衛をさせるのもどうかと思ってだな……」
アイザックさんの言わんとしている事は理解できる。
だって聖女様って護衛される側の存在だと思うしね。
まぁ簡単に済むなら私はそれで嬉しいのだが。
「それにママラン草もキュリップの花も、そんなにポンポン見つかる物じゃないしな。今回の依頼はギルドからのものだから、日数も余裕を持たせていい。今日から20日間以内に完了してくれれば問題ないぞ」
そんなに猶予をもらえるなんて優しいなぁ。
採取も討伐も、街を出て南へ行った所にある森で済みそうだ。
魔獣の生息場所などもクロードさんの家の書物で読んだからバッチリ!
ではさっそく行ってきます!といった感じで街の外に出たんだけど、明らかにギルドから数名の冒険者が後を着いて来ている。
悪意は感じられないところから、単なる野次馬みたいなものだろう。
でもまぁ……邪魔かな。
マリアは街を出て暫く歩くと、スキル『聖なる身体操作』で全身を強化する。
一度マリアは、後を着けてくる冒険者たちの方へ振り返り軽く手を振ると、一気に加速し冒険者たちの視界から消えるのであった。
という訳で南の森に到着した訳だけど…採取から始めようかな!
マリアには秘策があった。
『叡智』さんと語り合った時に、自分の魔法や能力について様々な談議を交わした結果、マリアの使用する魔法は通常のものよりも強化されることが判明したのだ。
マリアは中級魔法である『サーチ』を使用した。
『サーチ』は本来、約半径20メートル以内に存在する、一定量の魔力を有するものを検知する魔法だが、マリアが使用すると……
検知範囲は半径約1000メートル。さらにスキル『聖なる叡智』の知識と『聖なる身体操作』で強化された五感が組み込まれ、どんな生き物がいるのか、例えば魔獣の名前なども分かる魔法となっている。
さらに自分の知識内にある物を指定すれば、それが範囲内に存在する場合どこにあるのか脳内に表示される、とんでも異世界ファンタジー魔法へと昇華した。
「楽できる所は楽しないとね!『サーチ』ポラン草・ママラン草・キュリップの花を!」
マリアの頭の中に、ポラン草とママラン草とキュリップの花のある場所が、ポポポポポンっと表示される。
「魔法って便利だなぁ!でもこんな魔法悪用されたら怖いね……でもまぁここまでの性能は私だけか!」
マリアはご機嫌に独り言ちリつつ採取をどんどん進める。
これまで余り出番のなかった『次元収納魔法』が大活躍だ。
それにしても、余り見つからないって言われているママラン草とキュリップの花もかなりの数あるね!一本一本が離れた場所にあるから、見つけるのが大変ってことなのかな。
そうこうしている内に、必要数をかなり超過した数の採取物が集まった。
「採取はこの辺でいいかな。次は魔獣だけど、こっちも試したい魔法があるんだよなぁ。とりあえず『サーチ』オークを!」
あっさりオークを見つけ合計三体、マリアはそれぞれワンパンで倒し『次元収納魔法』で回収した。
そしてもう一つの討伐対象であるハイオークを『サーチ』で見つけたのだが、ハイオークの近くにもっと大きい反応の魔獣が四体……
マリアの脳内には『オーガ』と表示されていた。
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