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たたかう聖女さま  作者: 桜花オルガ


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第28話 聖女の悪巧み

「商会とはマリア殿……それはまさか、あの肥料を売るための商会かい?」


「肥料だけではありません。今後ドドガさんと共同開発する、魔道具の販売もしていこうと思っています」


「……しかし肥料で金儲けか……むぅ……国内から反発があるかもしれんぞ?」



 まぁ普通に考えたらそうだよね。


 聖女の私が【豊穣】のチカラと類似した物でお金儲けなんてしていたら、聖女を独占しているどこぞの国と同じようなものだから。


 でもちょっと違うんだなぁ。



「いえ、肥料で儲けようとは思っていませんよ。もちろん慈善事業ではないので多少の利益は取りますが、そもそもこの肥料は格安で提供できると思いませんか?」


「……そうか!確かにこれの材料費であれば……」


「それにこの肥料は、まずこの伯爵領内のみに流通させます。領内でしっかりと効果を確認後に、国王陛下へお持ちし国中に流通させます。ですがあくまで国内のみの流通です」


「他国への販売はしないと?」


「はい。他国から買い付けに来る商人に売るのは問題ありませんが、こちらから積極的に国外への販売は敢えてしません。少しでもこの国への人の流れを作りたいので」



 この国で広まる予定の『聖なる肥料』の噂を聞いた他国の商人が買い付けに来れば、きっと肥料以外の物も買い付けていくだろう。


 この国に少しでも多くのお金を落としてもらわないとね!



「成程……マリア殿は国のことまで考えて……」


「私が肥料で最終的にしたい事は、聖女を囲っている国の思惑を潰すことです。他国からお金を得つつ肥料の効果が広まれば、聖女の【豊穣】のチカラで多額の金銭を得ている国の思惑は、いずれ潰えるでしょう。そんな聖女の使い方を女神は望まないはずですからね」



 聖女の【豊穣】のチカラで散々お金儲けしてきたんだろうし、私が潰しちゃっても問題ないよね。


 まぁ文句があるなら、その時はこちらも遠慮なく自分のチカラを行使するだけの話だ。


 対話でくるならこちらも対話で相手をするけど、実力行使を選ぶなら……



「こんなとんでもない物の販売なら、確かに領主様の後ろ盾があった方がいいな!儂は商会の立ち上げに賛成じゃぞ!」


「うむ!国のためになる商会など、誉れ以外の何ものでもない!私も賛成するぞ」


「お二人ともありがとう御座います!国王陛下には私達の思惑を事前に手紙で知らせておきましょう」


「おお!根回しは重要だな!よしすぐに書こう!商業ギルドにも今すぐ遣いを出すよ」




 商会の立ち上げには商業ギルドでの手続きが必要らしいのだが、領主だけでなく聖女様の関わる商会の立ち上げという事で、商業ギルドのギルドマスター自らがすぐに伯爵邸へとやって来た。



「お初にお目にかかります聖女様。私はこの街の商業ギルドのマスターを仰せつかっております、フローラと申します。以後お見知りおきを」



 フローラさんは30代前半くらいの女性で、眼鏡が似合う栗色のロングヘアーが特徴だ。


 この若さで商業ギルドのマスターってことは、相当やり手なのだろう。



 そこから話はトントン拍子で進んでいったのだが、商会主はクロードさんとドドガさんの声もあって私となってしまった。


 まぁ別に問題ないだろう。


 ちなみに店舗は持たず、商会の店舗に代わる建物として、肥料を作っている作業場の建物で登録してもらえた。


 販売物に関しては、こちらからこの街の特定の商会に卸すといった流れだ。


 肥料も魔道具も秘匿性の高いものだし、この街の領主であるクロードさんの敷地内で商会を開けるのはありがたかった。



 ただ商会の名前が『聖女商会』って……まぁいっか……



 ドドガさんは自宅から通うそうだが、本格的に魔道具製作が始まったら伯爵邸に住むといった話で落ちついたようだ。


 フローラさんが手続きを済ませて帰ったあと、騎士団の方達がいつの間にか追加の『ザザ草』を集めてきてくれていたので、ドドガさんに魔法の説明ついでに『聖なる肥料』を作る様子を見てもらったんだけど、複数の魔法を融合したものだと説明したら腰を抜かして驚いていた。



「複数の魔法の融合か……これは魔道具として使う器もそれなりの物にせにゃならんぜ?そもそも魔道具にする必要はあるんか?」


「私が不在でも肥料を誰にでも作り続けることが出来る……これが目的ですからね。それなりの物とは器に使う材料のことですか?」


「成程のう。材料なんじゃが、ここまでの魔法に耐えられる物となると、鉄や魔鉄じゃ駄目だろうな。ミスリルがあれば問題ないがかなり高価じゃぞ。必要な魔石については儂の店から持って来よう」



 ミスリル!ファンタジーあるあるの金属きた!


 鉱山とかで採掘すれば良いのかな?私まだこの世界で採掘ってした事ないし少し楽しみかも!


 などとマリアは思っていたのだが、採掘の夢はあっさりと崩れ去った。



「安心してくれドドガ!ミスリルなら私が所有している物を提供しよう!もちろん無償で結構だ!」



 さすが伯爵。


 ミスリル程度ならある程度は所有していると。


 少し残念だけど、材料が手元にあるのは良い事だしヨシとしようか。


 その後クロードさんとドドガさんは何やら暫く話し込み、夕飯時に今日はもう解散となった。




 明日は一日時間が欲しいとの事だったので、私も冒険者ギルドに行きたいし、魔道具製作は明後日からスタートだ!

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