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たたかう聖女さま  作者: 桜花オルガ


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第21話 聖なる■■

「……『肥料』とは、あの畑の土に混ぜるあの肥料のことかい?」


「はい。ただし普通の肥料ではありません。『聖なる肥料』と言っても差し支えない物になると予測しています」


「……マリア殿がそう言うと、なんだかワクワクしてしまうね!しかし『ザザ草』が材料とは……あれは無価値の雑草だと思ったのだが」


「これまでは無価値でしたね。ですがこれからは価値ある草となります。そして今は無価値だからこそチャンスでもありますね」


「チャンス?」


「……マリア様。ほぼタダ同然で材料が手に入るという事ですな?」



 うむうむ。サンジュさん分かってるね!


 私はこの『聖なる肥料』をクロード伯爵領に行き渡らせるつもりだけど、そうなるとそれなりの量が必要だ。


 材料費は少なければ少ないほど良い。



 諸々の説明を終え『ザザ草』の採取に行くと伝えたところ、街の外で何かあったら拙いと必死に止められてしまった。


 一応冒険者でもあるんですよとギルドカードを見せたら驚かれたが、今日の所は『ザザ草』を騎士団の皆さんが採って来てくれる事になってしまった。


 そんな事に騎士団を動かして良いのだろうか?


 更にお屋敷の裏手にある、かなり大きな二つの倉庫の一つを騎士団に片付けさせ、『聖なる肥料』作りのための作業場にしてくれた。


 私の戯言かもしれないのに、迅速に行動してくれるなんて本当に良い人達だ。


 まぁ『叡智』さんと話した結果では確実に成功するんだけどね。



「騎士団には『ザザ草』の『葉の部分』と土を集めて来させよう。プランターと……あと野菜の種も数種類用意すればいいかな?」


「クロードさん、何から何までありがとう御座います。きっと良い結果になると思いますよ」



 マリアは幾つか『武器』を作りたいと考えている。


 マリアが作りたい武器とは、【豊穣】のチカラが無いマリアに対し、この国の王様や他の貴族達にゴチャゴチャ言われないための武器だ。


 クロード達が良い人でも、他の貴族達も同じかと言われたら期待薄だと思っている。


 マリアくらいになると『武力』で黙らせても良いのだが、この地を発展させることが目的なので、まずは平和的にいこうと考えるマリアであった。


『聖なる肥料』が完成したら良い武器になるだろう。



 騎士団の皆さんが『ザザ草』の採取に出て数時間。目的の物を大量に持って帰って来てくれた。


 作業場に集められた材料を前に、私とクロードさん、サンジュさん、あと私の担当になったらしいメイドさんが一人。


 邪魔するといけないと感じているのか、メイドさんはモジモジしつつ後方に控えている。



「それでは早速始めます!」



 私は山のように積まれた『ザザ草の葉っぱ』に向け両手を翳す。


 初めて使う魔法だし、それらしい感じにした方がいいかな?でも詠唱はちょっと恥ずかしいし魔法名だけで良いか……うーん……


 科学的な肥料ではないけど……まぁ科学の代わりに魔法を使う訳だし、余り細かく考える必要はないよね……決めた!


 使用する魔法は三種類……『ヒール』『ドライ』『ピュリフィケーション』の三つを比率5:3:2で融合……


 マリアの頭の中で魔法陣が構築されていき、聖花の紋章が激しく虹色に輝きだした。



『ジェナレイトフェアティライザー』



 マリアが魔法名を口にすると、目の前の『ザザ草の葉っぱ』が虹色の光に包まれ、ゆっくりと乾燥されていった。


 もともと緑色だった『ザザ草』は、すっかりパリパリカサカサとした茶色となっている。



「さぁ出来ましたよ!この肥料を騎士団の皆さんが持ってきてくれた土と混ぜて、プランターに入れていきましょう!種は自由に植えて良いですよ」


「う、うむ。いやその前にマリア殿!先ほどの魔法は一体?聞いた事も見た事もない魔法だったのだが……」


「私のオリジナル魔法ですよ。この魔法が今回の肥料作りの肝となります」


「オリジナル魔法など宮廷魔術師でも早々作れないはずなんだがな……」


「マリア様。今さらでは御座いますが、どうして『ザザ草』なのでしょうか?」



 サンジュさんの疑問は尤もだよね。


 ただの雑草が肥料の材料になるなんて誰も思わないだろう。



 ただの雑草の『ザザ草』だけど、どんな荒れた土地でも大地から栄養を吸収し、葉っぱにその栄養、更に大気中の魔素を溜め込む性質があった。(詳しくは『叡智』さんが教えてくれた)


 そして『ヒール』は、草花に対し使っても『再生』の兆候が見えた。その効果は土に対しても適用されるだろう。


 さらにどんな土地でも浄化させるために、軽めの『ピュリフィケーション』。


 それら全ての良い部分を凝縮し、閉じ込めるために『ドライ』で乾燥させた。



 しかしこれらの魔法はバラバラに使用しても上手くいかないので、マリアは融合させたオリジナル魔法を使ったのだ。


 皆はザザ草にそんな特性があったのかと驚いていたが、すぐ作業に取り掛かり始める。


 クロードさんも楽しそうに種を植えているけど、貴方って伯爵だよね?土いじりなんてするんだね。


 おや?これは……種芋だよね?()()()()()って言うの?まんま地球のジャガイモだね。


 この世界は地球の色々な国と類似点が多い。


 カリナがこの世界を創る時に地球を参考にしたんだろうなぁ。



「マリア殿!全て植え終わったぞ!このプランターは陽の当たる場所へ移動すべきかな?」


「いえ、せっかくですしこのまま作業場に置いておきましょう。陽の当たらない場所でも効果が出るのか見たいですから」



 作業場に大量のプランターを残し、サンジュさんが念のためにと作業場の扉に鍵をかけてくれた。



 さぁ、何日くらいで芽が出るかな。


 待つ間に『あの件』もどうにかしたいんだよなぁ。


 よし!明日は街ブラといきますか!



 そんな事を考えながらそろそろ昼食をとなったところで、『聖女様担当』になったメイドさんが挨拶を始めるのであった。




 存在を忘れてた訳じゃないからね?だからそんな泣きそうな顔しないで!

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