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第2話 条件があります

「いやいやいやいや……いやいやいやいやいや!マリアちゃん今ちょっと前向きな雰囲気だったよね?なんでダメなの?どうしてダメなの!?」



 あわあわと右往左往しながら女神カリナリーベルが狼狽えているが、こちらにも事情がある。


 マリアの頭の中にはもちろん日本のアニメや漫画、ライトノベル等の知識もあるので、異世界転移に対してそれほど抵抗感がある訳ではないが、簡単にハイ行きますよとは言えない事情がある。



「神様たちでしたらご理解いただけると思いますが、私が地球から消えたら世界中がパニックになると思いますよ?」


「「…………」」



 地球でのマリアの存在はとても重要なものである。


 それこそ世界中の上層部から守られるような存在であり、もしもマリアがいなくなれば世界中で戦争が起きてしまうかもしれない。


 16歳の可愛らしい女の子……ただしあらゆる方面で超規格外の女の子。


 それがマリアである。


 ただ異世界転移に興味があるのもまた事実。条件次第ではそれも面白そうだとマリアは思っている。



「では……いくつか質問、それと条件次第ではグライド大陸に行くのも吝かではありません」


「マリアちゃん!?それは!それは何なの!?」


「ではまず質問から。魔法が存在するような世界では、魔物とか魔獣とか危険な生き物がいるのが、異世界ものの定番だと相場が決まっているかと思いますが、もしそうなら地球人の私はすぐに死んでしまうのでは?それと地球とは違う言語だと思うのですが、そんな所へ私は放り投げられるってことですか?」


「ええっと、マリアちゃんの言う通り魔獣とかいるよ。でも安心して!地球でのマリアちゃんの格闘術とか剣術の能力、あっちの世界ではそれら全てが、地球で過ごしていた時よりも強化されるはずだから。あ!もちろんお察しの通りエルフとか獣人とかもいるよ!言語は……確かに地球とは違うね……あはは」



 なるほど。地球で敵なしの私がさらに強化されるのであれば、魔獣とかが相手でも何とかなるのかもしれないね。


 言語に関してはやはりそうかぁ……音声付きの言語学習教材なんてまず無いだろうし、これは条件に付け加えるか……



「理解しました。では……条件が二つあります。この条件を呑んで下さるのならグライド大陸、ひいてはソウラリアの発展に寄与したいと思います」



 私の言葉を聞いて、なぜかすでにバンザーイとハイテンションなカリナ。いや、いくら異世界に興味があるからと言っても、これから出す条件を呑んでくれないなら行かないからね?



「それでマリアちゃん!その条件っていうのはなぁに?」


「まず一つ目の条件は、そちらの世界の全ての言語の読み書き、もちろん話すことも聞くことも含めて、最初から完璧に出来る能力を下さい。これはそちらの世界を発展させるにあたって、時間のロスを減らすために必須な能力です」



 私としては当然の要求である。時間は有限。無駄を省けるのなら省く。


 だって異世界転移でしょ?なら私はお約束のチート能力を所望する!ってことだ。



 カリナはむぐぐぐと唸りながらチラリと男性の神様を見やると、暫くの無言の後、男性の神様がコクリと頷いた。



「マリアちゃんオッケー!その条件オッケー!!」



 果たしてこの女神は本当に女神なのだろうか……まぁそれは良いとして、次の条件が私が異世界転移するかどうかの絶対条件……



「では……これから話す条件は私の中で絶対です。これが無理であれば、私がそちらの世界に行くことは絶対にありません」



 ゴクリと唾を飲み込む二人の神様。いや、神様が16歳の人間の女の子に対してその反応はどうなの?あなた達がその気になれば、一瞬で消し飛ぶ存在でしょうに……とりあえず話を進めるか……



「地球とそちらの世界を、自由に行き来できる能力を私に下さい」


「「えええええええええええ!?」」



 うん、その反応はさっきも見た。



「いやぁマリアちゃん?それは……ねぇ?それはちょっとさすがに厳しいと言うか……そうですよね!?」


「う、うむ……地球とソウラリアは別次元にある星であるから、次元間転移を自由にと言うのは些か……いや、これは難しい条件であるな……」



 うんうんそうだよね。そんな都合よくホイホイ行き来なんて、当然難しいよね。そう、男性の神様はいま()()()と言ったんだ。()()()()()()()()()()


 ここはもう畳みかけるかな。



「難しい事を言っているのは理解しています。ですが今回の件は、完全にカリナに非があると仰っていましたよね?私は自分の人生設計が、突然の異世界転移でめちゃくちゃになることに対して、カリナを責めるつもりは一切ありません。ですがめちゃくちゃになるのは私個人だけでなく、地球の全人類も同じです。これ……地球の神様は怒るどころの騒ぎで済みますかね?」



 男性の神様は頭を抱えるような体勢となり、カリナに至っては青い顔で口を開け、濁流のように涙を流し膝から崩れ落ちた。


 地球の神様ってどんだけ怖いんだよ……さて、では最後のひと押しを。



「基本的にソウラリアのグライド大陸で過ごすつもりですよ。地球へはたまに帰って諸々の確認や、各所への指示を出せば済むように調整します。最初は地球も多少の混乱が起こるかもしれませんが、定期的に私が顔を出せば問題ないでしょうし、地球の神様も納得してくれるのではないでしょうか?」



 この私の発言によって、神様二人はオチたのだった。


 あ、今いるこの空間ってスマホ……繋がるようにしてくれたんですか?助かります。ちょっと秘書に電話させてもらいますね。



「……もしもし田代?緊急の予定が出来たから、いま入ってる予定は三年先までだっけ?会食とか打合せは全て一旦キャンセルして。どうしても必要な打合せに関しては田代が行ってくれる?ありがとう。私がいなくても進められる事は任せるからよろしくね。あぁ、あの新薬関係については間に合うように一度帰るから大丈夫。うん、じゃあまた私から連絡するから」




 よしこれでOK!ではさっそく行ってみましょうか!異世界ソウラリアのグライド大陸へ!

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