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間話 イギルとアウリス

大体エピソード4.5くらいの時系列の話です、一区切り終えた後途中の話が思いついたらこんな感じに間話として書きます、ちょっとイギルの出生を掘り下げました、シーズン2とほんのちょっとだけ関係あります。

「アミラさん相変わらず強すぎです!」


また1人だけで悪魔を倒していく、それを見てジェラルドがアミラを褒めるが冷めた顔と口調でこう言い放った。


「「この世界は弱い奴から死んで行く」」


その言葉は誰かの声と重なった気がした、ガキの頃聴いた懐かしい声、そう、親父のルギルだ。


イギルは幼少期ザンドラで暮らしていなかった、数少ない外の村カサエスで生まれた、そこは盗賊の村ロポスとは違い狩猟民族の村である、壁内だけでは食料の供給に追いつけなかったザンドラは兵士達を狩猟や採集に向かわせた、その中でも屈強な兵士達は自ら村を造り上げ、いつしか独自のコミュニティになったのだ。


「いつもありがとなルギル、今度も持って来たか?」


ルギルは馬車を止めザンドラの護衛兵が荷台に入り中にある何か大きな物を被せた布をめくると、それは加工された肉だった、兵士は確かめると頷く。


「よし、じゃあいつも通り酒と魚を交換だ」


「ああそれが、悪いんだが品薄なんだ、その小さいので手を打ってくれないかな」


「いや全部やるからくれるだけ頼む」


「いいのか?キノコもあるぞ今夜は鍋だな、すこしくすねたってバレねえよ、商人共に経由させる必要ないだろ」


「あいつらはいつもせこいやり方で金を稼ぐ、というか品薄なのはまたあのロポスのせいだよな、手を貸そうか?」


「そいつは問題ない勇者達を雇ったからな、これとそれだけ頂く、あとは持って帰れ」


ルーカスが現れ兵士からキノコと山菜を入れた袋を取り上げる。


「いいよサービスだ全部持ってけ、さっき兵士にそう言った」


「いいさいいさ、適した取引をするってのが商人ってもんなんだよ」


「分かった」


ルギルは馬車を乗りザンドラを後にした。


「父ちゃんおかえり!また全部売れなかったんだね」


「まあな、今夜皆で焼いて食おう」


「やったー!」


「お前ら!いつかカサエスはザンドラと肩を並べる帝国になる!その野望を叶える為!かんぱーい!」


ルギルが祝杯を上げ村人達も続き宴を始めた、それが叶わぬ事も知らず。


――


「よく狙い、息を殺し、森と同化しろ」


木の上から弓の弦を引く、熊は木の葉に隠れたイギル達に気付かない。


指を放す、矢は熊の額に突き刺さり動かなくなった。


「よくやった流石は我が息子だ、そろそろ戻る


ルギルが止まる、空に上がる煙を見てから。


「なんだよあれ村の方だぞ!」


急いで向かうと、建物があちこち燃えていた。


「見るなイギル!」


ルギルは切り裂かれた死体達を見せぬようイギルの手を覆い隠すがもう遅かった、すぐ近くに何かが落ちる、いや降り立つ音が響く。


「クソッ!」


現れたのは巨大なカマキリ型悪魔、赤く燃えた鎌を振るい、ルギルを吹き飛ばす。


「パパ!」


カマキリがイギルに鎌を振るう瞬間、剣が飛び腹に突き刺さった。


「逃げろイギル!」


ルギルはそう叫ぶと腰のナイフを取りカマキリへ飛び込んだ、だがそれも虚しくナイフを持った腕は鎌によって切り裂かれ腹を貫かれ、イギルの前に振り落とされる。


「そんな嘘でしょパパ起きて!」


「イギル……」


泣いていた、ぼろぼろと涙を土に流し、地面を何度も殴った。


「この世界は弱い奴から死んで行く」


その時雷鳴が響く、腹を貫かれ死んだカマキリの死体に少年が立っていた。


「すごいぞ!消滅の勇者ザース・ゾルベスク様だ!」


「パパ!勇者だよ助けに来


イギルが父を見た時既に事切れていた、駆けつけた兵士達が上げる歓声の中、イギルは悲しみの真っ只中に居た。


――


「全くアミラの野郎」


任務の帰りイギルはぶつぶつ喚きながら、街中を歩くとある張り紙に目が止まった、コロシアム大会賞金は金貨100枚、誰でも歓迎。


「ちょうどいい、むしゃくしゃしてんだ」


――


「お前ら!大会だ!行くか!?」


アウリスが例の張り紙を広げリズ達に見せる。


「私も行きたいです」「私も行きますわ!」


「私も足の剣使えるか?」


「使える訳ねえだろ観戦してろ、姉貴も行く?」


「うーん、行く」


剣術大会か、面白そうだしやってみるか。


コロシアムに着くと参加者は全員中へ集められ、帝王が姿を現す。


「よくぞこの場に来てくれた!今日はこの国で1番強い奴を決め褒美をくれてやろう!」


順番を振り分けられると試合が始まった、まあ俺達は順調に生き残ったが、途中でリズが兵士に負けてしまった。


「お嬢ちゃん商人なのに強いね、けど商人も盗賊に襲われる事もあるから精進するんだよ!」


勝った兵士に慰められたが悔しかったのか足を踏んずけて観客席に行って母の隣に座り、「よく頑張った」とだけ言われ頭を撫で宥められる。


そして次にメイが脱落した。


「メイ意外とお強いのね!」


「えっへへ、まあ」


そして準決勝、イギルとアウリスだ。


「お前、姉貴と一緒の従士だろ?聞いたぜ大した事ないってよ」


「ほう、言ってくれるじゃねえか!」


アウリスが飛び込み、両手の斧を振り回す。


「おいおいそれだけか?とんだ肩透かしだな」


結局隙を突かれる事でアウリスが負けてしまった。


「なんだよ全然強くねえじゃねえか、こんなんがコロシアム牛耳って「お前すげええええええ!!!!」


アウリスは興奮しイギルに抱きつく。


「やめ、おい!近づくな」


イギルは顔を赤くし跳ね除け、立ち去る。


「それでは決勝戦です!」


「やるか」


「へへ、かかってこいアミラ!」


――


「優勝はアミラ・レッドバード!」


「いえーい、わーい」


「ちくしょおおおお!!」


イギルは悔しかったのか暫くコロシアムに怒声を響かせると、半べそをかきながらとぼとぼと何処かに行ってしまった、アウリスはその様子を微笑み眺めている、嘲りや軽蔑とは違う。


「勝ったぜー酒場行くぞ、奢るから」


「やったー!!!」


酒場に行ってからもアウリスは様子がおかしい、頬杖をつきニコニコしながら鼻歌を歌っている。


「お前イギルの事好きだろ」


「うん、好きー」


「全く、、じゃあ私があいつに話つけとくから、デートはどこ行く?」


「宿屋!」


「なんで?何するの?」


「交尾!!」


「ちっがああああう!デートってのは一緒に飯食ったり出かけたりするんだ!」


「それじゃあロポスに行きたいな」


「………お前が別に構わないなら、いいんじゃないか?」


――


「お前、本当にアウリスか?」


赤いワンピースにリボンで留めた三つ編み、普段は性格は高飛車でがさつな女だが、冷静な目で見ると容姿はリズと並ぶ程美形だ、というか化粧してんの初めて見た。


「あ!?馬鹿にしてんのかコラ!」


「ちげーよ、はよ行ってこい、気を付けろよ」


「おん」


ブラックホール、ザンドラとザポネの間にはぽつぽつと海辺に巨大なクレーターがある、幻想的な場所で観光地紛いなスポットになっており、危険極まりない壁外にも関わらず兵士達が付近に塔を建て護衛している。


イギルは先に着いており穴の前で腕を組み待っていた。


「よ!待った?」


「別に」


イギルは素っ気なく返し、振り向くと唖然とした、彼は見惚れているのだアウリスの姿に。


「すごい穴だよな、ここにお前が居たなんてとてもじゃ思えない」


「そうだろ、けど短いが思い出の場所だった」


「内心、ここもお前もクソッタレだと思ってた、商人を殺しては盗みを働く賊共だしな、ガキの頃しょっちゅう話題になってた」


「あたしもザンドラはクソッタレだと思ってる、獣族を差別し追放した、でなきゃこのクレーター(ロポス)は無かったはずだろ?」


その時、クレーターの水面から光が漏れ出す、2人は空から鳴る轟音に見上げ驚いた。


「なんだこれ!」


花火だ、俺とドワーフ達は銃の開発で使っていた製鉄所の火薬を少し使い、こっそり仕掛けて置いたのだ、様々な色が輝き空と海を照らした。


「攻撃、ではねえよな?」


「多分違うだろう、綺麗だな」


イギルは花火でなくアウリスを見ている。


「ああ」


2人の顔が、唇が近づく、お互いの愛に種族なんかで隔てられる事はできない。


「うわー!すっごいですわ!」


俺はリズの目を両手で塞ぐ、近くの森の木で身を隠し遠くから2人を見ていたのだ、俺はもう嬉しい、エルフは興奮すると耳をパタパタ上下に振るうのだ。


最初会った時は4歳の子供だったのに本当に成長したな、これじゃババアまで一瞬だぜ、幸せになれよ、アウリス。

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広告の下にある星マークを1番右を押して全てを光らせてください、評価してくれたらケモ耳美女といちゃいちゃできるかも

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