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エピソード6 光の間 Age27

ラードア王国に行く前夜、俺は寝付けず壁の上に座り遠くに佇むカリエバ鉄鉱山を見つめ、壁外の草原がそよぐ冷たい風を感じ、ギターを握った。


今は俺しかあの世界の記憶を知らない、そんな孤独に何となく歌いたくなった、Ben・E・KingのStand By Me。


エルフの里ルッテス村での日々、ザンドラ帝国での日々、勿論前世での日々も、色々あったな。


darlin,だーりん,staああああん!!?!?」

「お前歌上手いなあ!!!」


突然隣からの声で歌が遮られる、それはアウリスだった、全く気づかなかったぞ。


「いつから居たんだよお前!!!」


身体中がぶわあと暑くなり、すこし息が苦しくなった、きっと俺の顔は真っ赤だろうな。


アミラの綺麗な声には力任せな俺の歌い方とはミスマッチすぎる、だからあまり上手いとは思えない。


「なんだよ恥ずかしいのかよ、何歌ってたんだ?エルフ語はよく分かんねえんだ」


「何でもねえよ、ただちょっと寂しくて」


「なんだよあたしとイギルに数日会えないだけでそんな寂しいのかよ、やっぱ好きなんだぁあたしのこと」


アウリスには旅行のためラードアに行くと適当言ってるが本当の事は知らせていない、家族もいるし死なせたくないから。


「ちげぇよ!故郷のルッテスがちょっと


「あたしもロポスが恋しい」


アウリスは食い気味に答える、いつもの勝ち気なトーンとは少し違う切なげな声色で彼女の儚げな表情を見たのは初めてだ。


「あたしさ、姉貴に感謝してるんだ、あの時助けてくれて、じゃなきゃイギルとも出会えなくて悪魔に戦わされて殺されたり犯されてたんだろうな」


大きくなったお腹をさすり、しんみりとしたトーンで話す。


「お前ら妹達を一生守ってやるから、幸せになれよ」


俺は死なない、勝って生き延びてみせる。


「ありがとな、よし!この子の為に子守唄歌え!」


いつもの陽気なトーンに戻った。


「歌うか!もういいわ!」


――


ラードアに行くのは俺とメイ、彼女も家族ではあるが連れていくのは勇者とは違う彼女の持つ先天的な能力がありそれはかなり重要な物であるからだ、他に10人の機密に雇われた弓兵も同行する、メイと弓兵達は銃の訓練を行ってもらった、メイは勿論兵士達はどれも優秀で、中でもテオの従者の1人であるバートラム・ホプキンスは悪魔討伐数35体、今のところMVPはこの男である。


馬車の中全員黒いコートを纏い11人が並ぶ、馬車はメイが運転している、バンの中で戦場に向かうのを思い出すな。


「お前ら、作戦は覚えてるな」


全員静かに頷く、馬車が止まり俺1人降りる。


「おい!」


門を抜けるとラードアの兵士が俺を呼び止める。


「お前ザンドラの者だな?ザンドラの奴らは神の下厳しい審査をした後でなきゃこの神聖な門に居ることさえも烏滸がましいん


俺はコートからピストルを出し空に銃口を向け4発放ちそのまま兵士へ向ける、講釈を垂れる兵士は押し黙り街中の人間が俺を見る、兵士がゾロゾロと俺を囲う。


「そいつを捨てろ!」


「それはお前達の方だ」


俺が全員は注目してる間11人の仲間が敵の背後まで忍び込み俺を囲う兵士に銃口を向けていた、壁を守っていた兵士は気絶させている。


俺達はコートを脱ぎ武装を露にすると兵士達が一瞬狼狽えた。


「待てお前たち!今の爆発音が聞こえなかったのか!その音はこいつが持ってる小さな大砲から何か発射された音だ、我々が次の矢を打つよりもずっと速い!引けば絶滅するぞ!」


ちょび髭の老兵は呼びかける、兵士は全員構えていた弓を緩め投げ捨てた、これで実質街中の兵士を人質にした。


「ほう、賢明な判断だ」


弓が銃に勝てるのは不意打ちが成功した時のみ、正面から打ち合えばまず勝てない、この男よく分かってるな。


「降参だ、何が望みだ」


「あんたの名前と階級はなんだ?少なくともただの兵士じゃない」


「アーノルド・クロス、ラードア軍総指揮官だ」


「ではアーノルド、使徒の所まで連れてこい」


――


王城の玉座に白髪の若い男が座り、国王とその宰相は玉座に蹲り彼の足蹴にされている、テーブルの果実を山盛りに盛られた皿から1つとりかじる。


「ちょっと疲れたなぁ、おい、足揉めよ」


「分かりましたギース様、おい」


この男は12使徒の1人である、国王は宰相の方を睨み、宰相が靴を脱がし足裏を揉む。


「ギース様!銃の勇者と名乗る者達が弓のような奇妙な武器を手にし我々を制圧しました!至急天使の召喚を!」


兵士の1人が大扉を勢いよく開け敬礼する。


ラードア王国は戦争で勢力を拡大させたザンドラ帝国とは違い豊富な金銀鉱脈で富を築いた、だから王室は金細工で溢れかなり豪華な仕上がりになっているな。


「チッ、アーノルド、お前が居てなんでやられるんだ?まあいい、天使を出すほどではない、俺が全員殺してやる」


「天使をありったけ呼び広場に待機させろ」


アーノルドの背から顔を出す。


「なんだちびすけ、名前は?」


「私はアミラ・レッドバード、お前達神共を殺しに来た」


「はあ?お前みたいなちんちくりんクソエルフがこの俺様を殺すだと?舐めてやがる」


ギースはそう吐き捨てると、彼の周りから光の槍が現れた。


「バートラム」


俺は合図する、するとギースの太腿に穴が開いた、使徒の体は硬いわけでは無いようだ、悪魔に試し打ちしたが硬い悪魔の皮膚を打ち破る威力はある、ここで奴が弾をはじけばアーノルドを撃ち即退避する算段だったが幸先がいい。


「がぁ、くっそぉぉぉ!!」


血が既に止まり傷口が塞がっていく、再生能力があるようだ。


「どうする?ここで死ぬか、言う事を聞くかだ」


「分かった!分かったから撃たないで!ルリエ様、聞こえますか?僕の所有する天使だけじゃ手に負えません!はい!そうです!グリード!!!グリードが現れました!貴方の魔力感知が阻害されてまああす!!!!」


「それで?」


「半分まで出せる」


「よし、言われた通りやれよ」


――


上空に複数の光の輪が現れ、無数の黄金の鎧を纏い武器を持った天使達が現れる。


「なんだ?何事だ」


天使達は王城前の広場へと整列させられる。


「戦争か?」「グリードを討つのか?」


国民達がじろじろと天使を神妙な顔を浮かべ見つめる。


「次はどうすればいい」


「まあ待ってろ」


メイ達にある事を頼んでいる。


「なんだ?ボールが飛んできたぞ」


丸い物が天使の兜に当たり地面に転がる、そして広場1面爆音が鳴り響き天使達の体と鎧が、弾け散っていく、飛んで逃げようとする天使も撃ち抜かれ堕とされる、バラバラになった天使の死体が金色の光となって悪魔と同じように消えていく。


「なんだこれえええええ!!!嘘だろおおおおお!!!!」


ギースは悲痛の叫びをあげる、奴の駒がどんどん失っていくのだから当然だ。


「破滅だ………破滅だ!」


ギースは膝を付き倒れると、何かぶつぶつと呟く。


「天使を殲滅させました」


メイが合流し、全ての天使の死亡確認を報告する。


「本当かは知らないがこれで半分は倒したらしい」


「お前ら何が目的なんだ?ラードアを征服する為か?そうだエルフを滅ぼした復讐だろ?あれはルリエ様に言われたからやったんだ!俺は反対した!なんでもするから俺だけは生かしてくれよぉ!」


「言ったはずだ、お前を殺すと」


俺はギースの眉間に弾丸を打ち込む、そのまま倒れ伏せる。


全くペラペラ喋る奴だ、物言わぬ骸になればゆっくりと光へと変わっていく。


「さてメイ、ザンドラに戻


急に目の前が真っ白になった。


るぞ」


――


「は?」


体育館程の広さの白い部屋に立たされているようだ。


銃も持っていない、代わりに手榴弾のピンを持っていた。


それだけでなく体制も………身長も違う?あの時、あの時に戻っている!


「起爆はしませんよ、傷もありません」


俺が手榴弾を投げ捨てようとジャケットに手をかけた時、美しい清らかな女性の声が俺を呼び止めた、後ろに居たのは


「ルリエ…!!!!」


俺は怒鳴り込む、ジェイク・マクドイルの声だ、それと前世の姿に戻っている。


「ここ、光の間では私が触れる事も貴方が触れられる事もありません、だから私を殴ろうとしても無駄ですよ」


「光の間?」


「全く、こんな狂った所に居たら脳みそが腐っちまうよ」


尖った紫髪の如何にもお調子者な背の高い男が俺の横に現れる、顔と手が悪魔痕で覆われており恐らく服の下もだろう、そして男が放つオーラが俺の神経を逆撫でする、今まで何度も任務や戦場で猛者達を見てきたがそれと比べ物にならない何かを感じる、冷や汗が止まらない、ずっと吐く寸前の感覚が俺を襲った。


「並の悪魔じゃ一瞬で消え去る聖域よ、まあ貴方には無意味ね、グリード」


こいつが神話で出たグリードか、道理で凄まじい存在だと思えた訳だ。


「へっ相変わらず安全な所から石を投げるだけのクズだなお前は」


「貴方みたいな力だけのバカとは違うので」


「おいお前ら」


俺はルリエとグリードの間に入りこむ。


「俺をこの部屋に呼んだのは痴話喧嘩するためだけじゃないんだろう?」


「そうですね、では本題に入りましょう、貴方は大勢の天使だけでなく人に優しく慈悲深い使徒も殺しました、よって1000年後我々神は全面戦争をしようと思います」


人に優しく慈悲深い?そうは見えなかったけどな、そして1000年後に戦争?上等だ生き延びて潰してやる、ルリエ。


「先に仕掛けたのはおめえのほうだぜ?」


「貴方は悪魔側に着く判断をしたからです、少しでもこの世界を滅ぼす可能性のあるバグを排除したまでです」


「バグ?お前が俺を蘇らせたんじゃないのか!」


「いいえ、私達は確かに異世界からの魂を転生させる力を持っていますが、貴方は完全にバグで転生したのです」


だから攻撃したのか、酷い話だな。


「だいたい俺はどちらの味方もしていない、だがこういうのはどうだ?俺がお前達にそれぞれの条件を提示し、それをのめば味方してやらなくはない」


「はぁ、それはなんでしょう」


「神はルッテス村の人々を生き返らせろ、悪魔は魔草をこの世から消し去り罪もない人間を悪魔にするんじゃない!」


「「却下」」


ルリエとグリードはまず拒否、俺は2人の後ろにいる奴らを見る、ルリエの後ろには11人の使徒達、それぞれ老若男女違う見た目だが白髪で金色の瞳である事は共通している。


グリードの後ろにも黒く巨大な竜が浮かび上がり佇んでいる、この世界にも竜がいる、だがもっと小さな個体のはずだ。


「それじゃあそこにいる奴らはどうなん


俺はある者に目が止まり思わず言葉を呑む、待てよ、あそこにいるのザンドラ帝王じゃねえか、頭にはいつもの王冠を付けていない、代わりにカッパハゲの生え際をなぞるようにして無数の紫色の角が生えている。


あいつは俺がアミラなのを知らない、この状況をなんとか活用出来ないか。


「なああんた、そこのあんただよ」


「我に何か用か?」


「俺はスーザン・ブレイドビーを脅迫し、鉄と火薬を買い占めさせドワーフ達にあの神を殺す兵器を作らせた、俺の要求を飲まなければザンドラを爆発させる、勇者と国民が全員死ねば困るだろ?」


コッドの表情が歪んだ、悩んでるようだ、ふざけた出鱈目だが通じているようだ。


「むぅ、私には勇者に魔草を焼かせることしか出来ない!何が望みなんだ!」


「この力で悪魔を薙ぎ倒し領土を拡大させる、ラードアとザンドラを同盟国とし大地を俺達人間が手に入れる!」


「その願いは叶わない、世界を魔草で満たす俺様の目的に反している、楽しい地獄運営の動員を増やす為こいつらに国王ごっこをやらせてるんだ、その武器は俺様の邪魔になる」


グリードは話に入り竜の腹をさすり、ニヤリと笑う。


「魔王竜デストラスト、こいつがお前達を木っ端微塵に焼き殺す、銃とやらが効くなら、やってみな」


あれと戦うのか?やばいな、馬車には予備の銃と手榴弾しか入れてなかった。


「おいコッド、これが終わったらすぐにラードアに勇者全員を呼びスーザンに頼みヘラクレスを持ってこさせろ」


「ヘラクレス?それにどうして我の名を?」


「あんた、もしもだけど勝ったらこの天崎 陽梅の所に出来るだけ早く来な、ザポネだよ、ある者を殺すのを手伝って欲しい」


「ある者?」


金髪の女が嬉しそうな顔で俺の顔を見つめ声を掛ける、狐の耳が生えており尻尾は複数ありまるで九尾だ、それにその名前日本人か?


「話は以上ですか?」


ルリエが会議を終わらせようとしている、恐らく魔力とやらが使われてるからだろう。


「神と悪魔そして反旗を翻した人間の、楽しい楽しい三つ巴戦争を始めようじゃないか!」


グリードは両手を広げルリエに不敵な笑みを浮かべる、神と悪魔が対峙し、俺が真ん中に立っている。


「それでは光の間を解除します」


ルリエが右手を上げ指を鳴らした。

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