エピソード5 銃の勇者 Age27
「胡椒1瓶銀貨100枚で売りつけてやりましたわ!相場は60枚なのにまんまと騙されていやがりますの、10樽程買い取れたから金貨400枚分くらいは得したんですの!」
「お前いつか殺されるな」
「そういえば最近お胸が大きくなりまして、アミー姉様一緒にコルセットを買いに来てくださります?」
例の事件が起きてから5年、18になり学校は退学になったがなんやかんや商人となったリズは色々な所が立派になっていた。
背も何気に175cmはある、邪な考えは無いが代わりに嫉妬である、第1スタイルが良すぎなのだ、俺は150cmくらいで止まり胸もまな板だからかな、今はこんなでも前世は190あったのだがな、アウリスがそのくらいか。
「よし、お前がこれから破滅させる市場に行くぞ」
「はーいお姉様♪」
リズは両手を合わせ頬に当て満面の笑みを浮かべる、見た目は天使、中身はどす黒い悪魔である。
――
「そういやなんで私なんだ?アウリスでいいだろあいつもでかいし」
「アウリス姉様はさらしなんですわ、はしたないですわ」
「さらしもコルセットも私はさして変わらんと思うけどな」
周りを見ると、国民達が俺たちを見てヒソヒソな何かを耳打ちしている。
「ほら見て」「あいつがあのクメイラドリク一家を殺したリズだろ?」「あの頭のおかしいブレイドビーよ」
リズが野獣の目を向けると野次達は路地へと隠れていく、ゴキブリかな?
「あっ!テオ様ですわ!」
リズが見ていたのは野次でなく燃えるような髪の青年はテオ・アイネフッド、炎の勇者だ、リズはそいつに惚れたらしく追いかけている、なおテオはリズを見る度に怯え逃げている、勇者なのにな。
「全くコルセットはどうしたんだか」
「またあんた?」
テオの隣に居た緑髪の胸元丸出しのローブ姿の女性がリズの前に立つ、こいつは風の勇者フリンジェ・アイビームだ、どうやらこいつはリズにとって恋敵なようだ。
「邪魔ですわ!このノーブラ熟女!」
「ほおおおおおブレイドビー!!!今日こそ殺す!」
フリンジェは手から風を出す、おいおいおいおい!ここでやる気か!
烈風を巻き起こし刃となってリズを襲った、リズは避け、風は建物や市場の柱などに触れるが壊れない、手加減はしてるんだな。
リズはフリンジェの腹に飛び蹴りをかまし、お互い髪を引っ張りあい暴れ回る、その瞬間市場に光が点る、神か!うおまぶし!
「おいフリンジェ!またリズと喧嘩したな!」
ルーゲンがフリンジェにゲンコツを食らわせる。
「こいつのせいよ!」
「このババア魔法を使ってきましたわ!」
髪がボサボサになった2人はお互いの顔に指を指す、ルーゲンはただ呆れて2人を見つめた。
「すいませんルーゲンさんこのバカよく言い聞かせておきますんで!ほらごめんなさいして!買い物するんでしょ!行くよ!」
俺はすぐにルーゲンに向かってリズの頭を掴み強制お辞儀をさせ市場へ急ぐ。
――
ひとまず買い物をすませアウリスに酒場へ誘われた。
「ハッハッハッハ!!!あいつまたやったのかよ!」
アウリスは酒をかっくらいながら力任せに笑う。
「全く笑えねえよあの暴力お嬢様、看てらんねえって」
「まあ人生短いんだしよ、好き放題やってた方が得っしょ!」
「そういやお前がまさかイギルとくっつくとはな、あんな説教ハゲなにがいいんだか、つか腹に子供居んのに酒飲むな」
俺はアウリスからビールを取り上げる、こいつこの前コロシアムに行こうとしたんだぜ、勿論俺とイギルで全力で止めたがな。
「なんだよいいだろ別に、あいつ悪魔の討伐数16だぞ、お前が来てから0になったってぼやいてたけどな!」
俺の討伐数は72、イギルは確かに俺にとっては弱い、だが腐っても兵士の中で選りすぐられた従士である、前にコロシアムでアウリスがイギルと戦い連勝が途切れた時に惚れたらしい、ただの闘犬じゃねえか、それで今こいつはイギルと暮らしている。
「お前は好きな男いねえのかよ!」
「いねえよ!」
俺中身男だし!エルフだし!
「お前はいいよな〜あと100万年は生きるんだろ?あたしら獣族なんて長くて50年だぞ?」
因みにゴブリンやオークは30年から40年、人間は80年から100年、ドワーフは300年から400年くらいだ。
「そっか…………」
皆は100年持たず死ぬのか、俺はずっと生き続ける、アウリスもリズも居なくなってからも、前世でも父さんと母さんが死んじまった時はすごく辛かった、耐えられるのか?俺に。
――
王城の会議室で何やらおじさま方がテーブルに並べ葉巻を吸いながら話していらっしゃる。
「最近のブレイドビーの動きはどうなんだ?」
「鉱脈中の鉄や火薬を買い漁ってる、その癖市場には武器が回っておらん、一体何を考えとる」
「ドワーフを雇ったとの噂じゃが、せっかく売上が順調だったと言うのに、イカれたのか?」
「今の内に我々は紙や胡椒を独占するぞ」
「スーザンは馬鹿じゃない、何か考えがあるのかも知れぬぞ」
ああ、彼らはブレイドビーの下火に堕ちた商人達か、クメイラドリクも誰かさんに殺されたし大変そうだなー。
「どうした?アミラ」
「あ、いやなんでもないです、この間はすみませんルーゲンさん」
あんな青臭かった男が、黄金の鎧を身にまとい少し老けた顔になっていた、もうこいつもおっさんの歳か。
「いやいいんだ、壁の付近で魔獣が現れたからジェラルドの方へ迎え」
「了解」
ジェラルドと合流し、壁を出て魔獣の方へ向かうと、巨大な狼が壁に爪を立てて傷付けていた、全員武器を手に取る。
「おいアミラ!今度は前に出すぎるなよ!」
「分かってる!」
魔獣はイギルに襲いかかり爪で胸を引き裂こうとするが、前足が水で覆われ服を撫でるだけですんだ、俺はすかさず前足を切り落とす。
「うおおおおお!!!」
イギルはそのまま剣を両手に飛び込み、魔獣の腹に突き刺した。
「お前が討伐を譲るなんて初めてだな、女房が何か言ったのか?」
重厚なザンドラの門がゆっくりと開く間、イギルは葉巻を吸って待っている俺を見ては珍しく嫌みらしくないトーンで声を掛ける。
「まあそんな所だ、倒したかったんだろ?悪魔」
「当たり前だろ、悪魔をぶっ殺してえから従士になったんだ、クソ悪魔は一匹残らず駆逐してやる」
「妻子が居るならもういねえ親父の事で悲しませるんじゃねえよ?」
「はははっお前が俺に説教かよ、お前がとやかく言わずとも妹さんは幸せにしてやるからよ、安心しな」
「なら良かったよ、それにそのうち誰でも悪魔も殺せるようになるがな、天使も神も」
「はあ?お前何言ってん
「アミラ様完成しました、鍛冶屋に来てください」
門の間からメイが顔を出し報告する、やっとか。
――
銃の構造はさほど難しくない、杖や体からビームを出したりするほどよっぽど単純だ、鉄の筒があるとするだろう、そこに片方の底に火薬と弾を入れて着火すればいい、それだけ。
実際ジップガンという不良共でも作れてしまう恐ろしい凶器がある、読者諸君には頼むから真似しないで欲しい。
「クーア・リトリピア、岩の勇者なのです!なんの御用件なのです?」
「少し頼みがあってな、すごくかんたんな事だ、金貨3枚でいいな?」
「金貨を3枚も?お菓子食べ放題なのです!」
「そのかわり絶対にこれから行く場所の事を言わないでね?」
「?はいなのです」
「これを被ってください」
メイはクーアに黒い布を被せ手を繋いで家へ連れていく、これだけみたら誘拐だな。
この灰髪少女の能力は岩の壁やゴーレムを作ったりできる。
「うわ〜すっごいのです!おっきな鍛冶屋なのです!」
「ゴーグル着けて、危ないからね」
「出来たか?」
「ああ、見てみろ」
ドワーフ達は俺を机に案内し、やってやったぞと言わんばかりに両手を広げる仕草を見せる。
「ちゃんと組み立てず撃ちもしていないようだ」
「手と体がうずうずしまくってたが、なんとか抑えてやったんだぜ」
机に並べられたのは銃の部品だった、全て計画書通りだ、さっそく俺は部品を手に取りあるべき場所に動かす。
「おお、ちゃんとバレルはライフリング加工されてるな、よし組み上がったぞ」
出来たのはグロック、マガジン式のピストルだ、火縄銃のようにシュコシュコやってたらその間に天使に殺されるだろうからな、マガジン式ならなんとか戦えるはず、多分。
「えっ早」
ドワーフ達は俺の手さばきに驚く、まあ銃の組み立てなら俺は慣れてるけどこの世界の奴らは初めて見るしな。
銃を眺め出来栄えを確かめる、的を狙うが打たない。
「クーアちゃん、ゴーレム出して」
「はいなのです」
クーアの前にどこからが石があらわれ、人の形が作られて行った、悪魔痕はうなじにあるようで花弁の形をしている、よく観察してみると刺青の途中のようなものが完成されているようで、今まさに花びらの1つが描かれた、この絵が完全になるとこの子は悪魔になるのか。
俺はゴーレムに銃を差し出す。
「クーアちゃんもみんな離れて、的に向かって引き金を引いて」
ゴーレムがトリガーを握った瞬間、乾いた爆音が響き火花が散り全員腰を低くする、ゴーレムの腕から煙が上がっている。
「なんだ、これは?」
「 嘘、ゴーレムちゃん!」
ゴーレムの手が無くなっていた、そう、この時の為に彼女を呼んだのだ。
なにか仕掛けを作って遠くからトリガーを引かせることも可能だが、それだと暴発の為に作り直さなきゃいけない、多少リスクはあれどゴーレムのが金も時間も短縮できる。
「やはりか」
「やはり、とは?」
クーアが手を失ったゴーレムを見て泣くのを横に、何が起きたかを話す。
「マルファンクションだな、異物が入ってたか火薬が多かったか、作りが甘かったかだろう」
「なんだとおおおおおお!!!作り直しかよおおおおおおお!!!!」
――
そこから3ヶ月、何度も暴発させたりジャムらせたが、ようやく全てを完成させた。
まずはピストル、グロック式で装填数17発、サブウェポンとして腰に左右で二丁ホルスターに収めている。
次はショットガン、今回はソードオフ型を作って貰った、天使や使徒の装甲の硬度は不確定だ、死んだら光になって消えるらしくデータも取れない。
もし普通の弾丸が貫かれ無ければコイツが出番になるだろう、近接であればかなりの高火力を期待出来るだろう。
そしてメイン武器のアサルトライフル、m4カービンをベースで俺の元愛銃と1番近く良く手に馴染む、任務じゃ必ずコイツを連れていったな。
「おかえりベイビー」
「はああ?」「うええ」
銃にキスして抱きつく俺を見てドワーフ達とクーアはドン引きしてるご様子だ、数十年ぶりの再開なんだぜ当然だろ?
とりあえず肩慣らしに打ってみるか。
「うおお、すげえ」
全ての的を一瞬で撃ち抜く、それも全て真ん中に、まだ俺の銃の腕はなまっていないようだ。
銃身を手首で振りマガジンを落とし、ポケットから新しいマガジンを取りだしはめる、これが3秒以内で出来なきゃ戦場で生きてはいけない。
「あんた何者だ?」
俺は銃をコッキングしこう返す。
「俺は、銃の勇者だ」
評価とブクマも出来ればお願いします
広告の下にある星マークを1番右を押して全てを光らせてください、評価してくれたらリズのおっぱい揉めるかもしませんよ?ちなみにHカップあります