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エピソード4 貴族なんてファッキューですわ Age22

リズがまだ3歳の時スーザンに酒場に連れていかれた日があった。


「おーい!ビール2杯くれー!」


スーザンはバカでかい声で酒場のおばさんに声を掛ける、泡の溢れた木のジョッキを両手にこちらに来ると立ち止まった。


「連れがいるのかあい?ってちょっとまてこの子まだ子供じゃなあい!」


「バアアアアカ!!こいつはエルフだ、こう見えて300超えてんだよ!」


スーザンは俺の耳を引っ張り怒鳴る、まだ13なんだが?まあ精神年齢合わせると48だからセーフか、とまあ酒は飲みたかったから丁度いい、結局ベロベロになって帰ってしまった。


「またですか!スーザンさん、アミラさんまで」


俺とスーザンはよろよろで肩を組みながら玄関へ入る、メイはそれを見て呆れた声を上げる。


「ああ!おかーさん、あみあねーさん、おかえり!」


リズは俺達がうるさかったのか起きてしまい、よちよち歩きで俺達で出迎えてくれた、その時に俺は魔が差しある事を教えてしまったのだ。


「リズ、嫌な奴が居たらね、中指を立ててファッキューって言うんだよ」


「ふぁっきゅーふっきゅふぁっきゅー」


リズはその言葉を知らず連語する、今は深く後悔している。


――


「きっきみがアミラ・レッドバードさん?髪型可愛い」


青髪の少年はおどおどした様子で挨拶して何かボソッと呟いた。


そういやこの髪アウリスがそれじゃ戦いずれえだろとか言って三つ編みにしてくるくる巻かれたのだ、髪フェチなのか知らないがしょっちゅう弄られるが何気に手先が器用なやつだ。


「はい」


「僕はジェラルド・イスフロントよろしくね」


彼は水の勇者だ。


「俺は同じ従士のイギル・ゴルマンだ」


俺は今従士である、従士とは主に勇者と共に戦うのが仕事だが勇者が悪魔になる際にとどめを指すのが本当の目的だ、兵士の中でも魔法を使わずかつ強力な戦力を持たないといけないため、勇者1人に平均2人しかいない少数精鋭だ、全く来世でも特殊部隊に入ってしまうなんてとんだ皮肉である。


「今回は3体の魔人が壁付近に向かって来てる、壁の勇者さんも同行しますので」


「ゴホン!!ゴホンゴホン!!!!我が名はディアン・エストモッド!!!!!壁の勇者だああああ!!!!!!!」


この山賊みたいな格好で丸刈りの大男は人力スピーカーか何かか?全員耳を塞ぎ街中が揺れ、近くの家から一斉に窓が開いて顔を出してきた。


「ディアンさん、落ち着いて落ち着いて」


ジェラルドはディアンを押しながら門へ向かった。


――


言われた通りに遠くに3体悪魔が居た、こちらへ向かってきてるようだ。


「僕は水で敵の動きを止めます、ディアンさんは壁を作ってアミラさんとイギルさんで悪魔を


俺は飛び出し悪魔を切る、ビームや棘をだして反撃してくるが鈍い、一瞬で全滅させた。


「凄い、ナイフ一本で」


CQC、近接格闘技だ、屋内など射線的に銃の射程距離から近い戦場では必須となる。


「むうう、我いらなかったのか…………」


ディアンは空中に浮いている紫色半透明の四角い物体を掴み投げ捨て、石に座ってはしょぼくれている。


「お前さあ…」


悪魔の死体が紫の光に変わり空へと巻き上がってる様子を観察する俺にイギルが呆れた声を出す。


「何?」


「勝手に1人で飛び込んで、しかも従者だけで倒しやがって!勇者の存在意味が無いだろ!大体従者が先に死ねば勇者が悪魔になった時また大勢の人が死ぬんだぞ!ゾルベスクの二の舞をやりたいのか!」


イギルは俺に怒鳴りつけ説教する、なんかこいつマイクと似てるな、あいつは黒人だけど同じハゲだし。


「弱いのが悪ぁ」


「お前な


俺はイギルの顔の真横にナイフを投げる、木に突き刺さりやかましい説教マシンは恐れおののき黙りこくった。


「しょうがないよ、実際アミラは強い、12年前の事は聞いたでしょ?」


「聞いてます、10歳の時エルフの里を神に滅ぼされ逃げ延び、その後奴隷商達を単独で絶滅させたと、化け物ですよあいつは」


――


すぐに任務を終えた俺はアウリスと試合を見にポップコーンの箱を両手に抱えコロシアムへ向かった、控え室で見つけた。


「よう姉貴もう帰ったのかよ、なあなあ今回はよう、ななななんと!真剣勝負だぜ!」


「えええええ!!!まじ!どことどこ?」


コロシアムの武器は基本刃の付いてない模造刀であり寸止めか降参で勝敗を決める、だが1つ例外がある、それは決闘試合である。


例えば喧嘩や小競り合いが起きたとしよう、前世の世界では裁判で話し合いをして解決をさせるだろう?だがザンドラは違う、殺し合いで解決させるのだ。


「グリーンベルト家のマーコフと!スレイボーン家のナリクだぜ!」


「前からやりあうと思ってたがな、グリーンベルトは神を崇拝してんだろ?スレイボーンがそれを癪に触ったとか」


「まあそんな所だそろそろ試合始まるぜ、ポップコーンは、あー持ってるな」


「勿論だ、市場のを買ってきたぜ」


スーザンはコロシアムの売店も運営してるが市場から遠いからって倍以上の値段にしやがる。


試合は兵士がぶっといステッキをフルスイングで殴る太鼓の轟音で始まる、奥にコッドが冷徹な顔でコロシアムを見下ろす。


「神の方が強いいいい!!!」


「この国で勇者様を崇拝しないやつはしねえええええ!!!」


数回の剣撃の末、マーコフがナリクの首を掻っ切る事で試合を終える、観客は神を崇拝していた奴が勝ったのにも関わらず歓声を上げる。


「ヒャッハー!やっぱり試合は真剣に限るぜええええ!!!」


俺達は1番下の席に居たのだが、飛び散った血がアウリスの持っていたポップコーンに引っかかり、それを気が付きもせず頬張った。


この国の奴らは神でも悪魔でもなく血を崇拝する、普通の試合で真剣を解禁したら国民全員死にそうだな。


――


「最近リズの様子がおかしい」


スーザンはリズの事で何か悩んでいるようだ。


「あんたがクソみてえな経営してんのがバレたか?」


「それはとっくに知ってんだろ」


「じゃあなんだ?」


「最近学校どうだって聞いてもよ、なんも答えないし、忘れ物が多いと教師から言われてるんだ、せっかく高い学費払ってんのによ」


リズが入ったのはアルドラ立クメイラドリク学園、商業学に特化してかつ貴族しか入れないような学校だ。


「そりゃいじめだな」


俺も昔は軍隊に居た頃いじめられていた、親父がCIAトップの奴がいて、そいつは俺の方が優秀だからと嫉妬して嫌がらせをめちゃくちゃされた、まあそのおかげでタフガイになれた訳だが。


ブレイドビー家は一世代で成り上がったダークホースの家系だ、だからこそリズは貴族から恐れられたのだろう。


「よし殺す」「私も」


2本の剣を抜くスーザンとついでにレイピアを手に取るメイも俺は収める。


「おいおい待てよ、私が調べてやるから余計な事するなよ?な?」


「調べるってどうやって?」


「まあなんとかするさ」


――


学校に潜り込んでみたが、噴水に浸された教科書を見つめるリズが居た。


やはりか、いじめてるやつは誰だ、殺す。


「あらま〜風に飛ばされちゃったようね〜」


あの紫髪の女!ルヒネ・クメイラドリクじゃねえか!学園の理事長の娘で現在ザンドラで2番目の商人一族だ、自分の苗字を学園の名前にするくらいだから相当プライドが高いんだろうな。


「…………そうみたいですわ」


「貴方兵士の娘の分際でお嬢様言葉で話すなんてお見苦しいですわ」


「兵士の家系なんて泥臭いわ」


「大体ブレイドビー家なんてクメイラドリク家の足元にも及ばないのですわ、こちらは100年もの歴史があるのです、ただのまぐれが偉そうにしないでくださいますこと?」


リズがルヒネと腰巾着共に罵られている、クソ!俺の軍隊時代の事と重なって助けてやりたいが、今出たらリズはますます苦しむことになる、後でルヒネを脅していじめを辞めさせるしか


「……わ」


リズが何か囁いた。


「はあ?聞こえないですわ、もっとはっきりと


「なら決闘ですわ!」


はあ!!!!???!!?何言ってんだあいつ!!!


「ふん、望むところですわ」


――


「はあ!!!!???!!?何言ってんだあいつ!!!」


スーザンも同じ反応で返ってきた。


「おい!リズがコロシアムにいるぞ!」


アウリスが飛んでくる、学園からもう行ったのかよドレスのまんまだぞ。


「まずいですよ早く向かわないと!」


「止めろよ!!!!」


全員家から飛び出しコロシアムに向かう。


「止めねえよ!あたしはリズを信じてんだよ」


――


「殺ってやりますわ」


「勝てるのかしら?私達に」


ルヒネと腰巾着達は長槍を配られる。


「あのわたくしの武器は?」


「すみません、ルーカス・クメイラドリク様の命令でお渡し出来ません」


「あらそう」


リズはそれだけ呟き闘技場に出る。


「おいあいつ正気か!」


槍持ちが3人に対しリズは素手、あの野郎兵士を買収しやがったな、汚ねぇ、人の事言えねえけど汚ねぇ、ワイン片手にニヤニヤ笑いやがって。


「おおおおおおおい!!!!!どうなってんだあああああ!!!ふざけんなあああああ!!!」


スーザンはもうパニックで大暴れ、観客全員殺しかねないから俺達は押さえ付ける。


コロシアムの運営は無情にも太鼓を鳴らす。


「受け取れ!リズ!」


俺は剣を投げようとするがもう遅い、3人はリズに槍を向け突進する、終わったな。


だがしかしリズは槍の棒を両手で掴む、そして真ん中の槍を蹴り上げることで回避した、なんだ素手で十分だったか。


「そんな、ありえないですわ」


赤ん坊の頃から俺達に鍛えられたリズに、ずっと温室育ちで兵士に守られてきた小娘共が勝てるわけが無いのだ、槍二本を奪い、そのまま3人を棒で殴り倒す。


「嘘だろ、娘が殺される!」


試合が始まって数秒まであんなにいい顔してたルーカスは持っていたワインを滑らせ焦りに焦った顔に変わり果てていた。


「お楽しみはこれからですわ」


リズは槍を一本捨て、腰巾着Aの前に立った。


「立ってくださいます?」


「あっゆ、許して、立つからゆるしてくだ


リズは真上に飛び両手に槍を持ち、そのまま口からウェヌスのえくぼまで串刺しにした。


「おい!試合を止めろ!早く!」


ルーカスは兵士をぶん殴り胸ぐらを掴み唾を飛ばし指示をする。


「それは出来ません、そういうルールです」


リズはもう一本の槍を真っ二つに軽々と折ると、腰巾着Bに近づいた、観客が歓声をあげる中俺達はもう呆然と見ていた。


「やめ、やめ


腰巾着Bの首に槍と鋭く折れた木の棒を突き刺し貫いた。


「頼む!お金なんていくらでも払いますから!一人娘なんですううぅぅ!!!お願いしますううううぅぅぅぅぇヴ!!!」


ルーカスは立ち上がる兵士に泣きつき足を掴み土下座していた、俺は最早同情している、こいつの妻は病気で死んでいてルヒネはたった1人の家族だしな。


「入学初日からいじめてごめんなさい!毎日酷いこと言ってごめんなさい!お金払うので許してください!」


ヒールの靴音を立て近づくリズにルヒネはひたすら謝り土下座する、リズはルヒネの髪を掴むと、顔面を地面に叩きつけた。


「う、うういで………」


顔面の潰れたルヒネに跨るとリズは容赦なくひたすらぼこぼこに叩きのめし、最期は踏み潰し脳みそをぶち撒けた。


「ひゃあああああああ!!!!このクソメスガキイ゛イ゛イ゛イ゛ィ゛ィ゛ィ゛イ゛!!!!」


ルーカスは足を掴んだ手で兵士を転ばしクロスボウを奪うとリズに向けた、リズはその様子に驚きもせずただ槍を取り、投擲の構えをする。


矢が飛ぶ、だがリズの近く地面に突き刺さる、リズは槍を投げた、槍はルーカスの喉元に刺さり真後ろで倒れ伏せ、槍を引き抜こうとしながら生き途絶えた。


「よくやったああああああ!!!それでこそお前は私とアーゼスの娘だああああああ!!!!」


スーザンは人殺しをした娘に歓喜の声を上げる、蛙の子は蛙、血は抗えんな。


「貴族なんてファッキューですわ」


血まみれになったドレスをたなびかせ、リズはそう言い捨てルーカスに向けて中指を立てる。


こいつ9年前の事覚えてやがったのか、おかげでこの世界でもファッキューと中指を立てるハンドサインはタブーとなってしまいましたとさ、めでたしめでたし。

評価とブクマも出来ればお願いします

広告の下にある星マークを1番右を押して全てを光らせてください、評価したらリズと戦えるかも

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