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エピソード10 はじまりの地 Age35

「今度は何だ?」


誰かが竜に飛び乗ったかと思えば、その竜が下顎から血をぶち撒け墜落して行ったのだ、そしてそこから2人は肉のパラシュートから降りてどこかへ走って行くのが見える。


「あれ誰か分かるか?」


ゲインズがジェラルドとニアに尋ねるがお互い首を振る。


「追いかけて捕まえよう、詳細不明の2人を俺達の部隊が追尾する!あとの部隊は上にあるものと天使の動きに警戒していろ!」


ゲインズは無線機で軍に指示した後、竜をあの走っている2人の背後へ飛ぶと上から突風が襲った。


「フリンジェ、クーア?」


「ジェラルド?やっぱり生きていたのね」


「ええ、なんとか」


空の上を風で飛ぶ2人と竜に乗る3人はお互い驚いた様子で見つめあった。


「一体何が起きているんだ?アミラの能力は?」


「悪魔も居るのです、ここでは教えられないのです」


「大丈夫、今は仲間だ」


ジェラルドの言葉に依然怪しげに睨むクーアをフリンジェはアイコンタクトすると頷いて返す。


「彼女の能力は閾ェ蛻?′險俶?縺励※縺?k諱舌i縺上□縺代←遽?峇蜀?〒逕溽黄繧帝ュ泌鴨繧呈カ郁イサ縺励※譛?鬮倥?迥カ諷九〒隍?」ス縺怜多莉、繧剃ク弱∴繧倶コ九′蜃コ譚・繧」


途中でフリンジェの言葉がいきなり解読不能になる、当の彼女はいつも通り違和感も無さそうに話しているが。


「は?」


「駄目なのです、多分命令でエルフ語に変換されるのです」


「あの逃げたやつらなら分かるんじゃないですか?やはり捕まえましよう!」


「おう」「分かったわ」「了解なのです」


ジェラルドの合図でニアが悪魔達を操作し、5人はルヒネとハンクを見つけるため高度を急上昇させた。


――


建物と建物の裏道を涼しい顔で走り回るハンクをルヒネは息を切らしながら続く、外では木塊の周りに群がる鳥と竜がつっつきあっている。


「はぁ、はぁ、ちょっと待ってくださる?」


ハンクは振り返り汗だくのルヒネを見ると立ち止まり壁に寄り掛かる。


「あいつはどこに居る?」


「あのエルフの事に決まってんだろ」


「始まりの地と言っていましたわ、多分……ルッテス」


「そこは何だ?」


「エルフの里だった場所ですわ、昔ルリエという神が現れて破壊されたはず」


「なんか色々あったみたいだな、異世界の事は後でじっくり聞こう、とりあえずあれ貰おうぜ?」


ハンクは邪悪な笑みを浮かべながら外に走る後ろに戦車に親指を立てた。


「は?正気ですの!?」


「声を上げるなマヌケ、乗り物が無きゃ里まで行けねえじゃねえか」


「そうだけど、てっきり馬に乗るのかと、大体あれがなんなのかすら分かりませんわ」


「よし、あいつが最後尾だな」


ハンクはそう言うとルヒネがぶつぶつ言っている矢先に飛び出して行った。


戦車が大砲を奇怪なオブジェクトと竜を捉えている中後ろに周りよじ登っていく、彼女はその様子を見て天を仰ぐもスカートの後ろを抑えながら彼の居る場所へ辿って行く。


ハンクは片手に拳銃を向けハッチを開ける。


「おい!持ってるもん捨てて出て来いや!」


兵士達が銃を捨てハシゴを昇って出ていく、ハンクも入るので、ルヒネも入っていく。


「狭いですわね」


戦車を後退させ最大まで加速させる、キャタピラがコンクリートを斜めに削りながら滑っていく。


――


「はっこれはまた」


この森は懐かしいな、あの時の死体はとっくにもう土に返ったのだろう。


バックを地面に落としスナイパーライフルを拾いスリングを肩にかけ1番大きな木に登る。


「あそこか」


遠いが明らかに人工物の物が見えた、バックを手にそこへ向かった。


「戻ってしまったな」


深く溜息をこぼす、ルッテス村、当然だがもうどこもがらんとしていたがあの時と変わらず固まりぶら下がっている。


「……」


蜘蛛の巣が張られた本棚を見上げる、ここでよくこの世界の事を調べたな全ての本を2回は読んだから1文字1文字記憶に残っている。


一通り回ったので面白いものも特に無いし祭壇に行く。


「やっぱりそこに居たか」


少女が真っ白な地面に立ち太陽の下をじっと見つめていた。


「やっと来たのか」


視線は変えず独り言のように口を開いた。


「悪いな、思い出に耽っていたもので」


「他人のを?」


アミラの吐き捨てるようなトーンの言葉に眉間を寄せ俯く、確かにそうかもしれないが長い間感じていたここでの事は本物だ。


「前置きはもういいか?」


彼女は何も返さぬまま弓を手にし立ち上がる、俺は銃を強く握る、風が吹いた。


弓をつがえる、銃を向けるまでにアミラの手に矢が現れ放つと同時にタンッとゴングが弾ける様に響いた。


2発目を打つ前にお互い木に隠れる、弓を引き顔を出すと隣に木の実ほどの大きさの何かが落ちて葉と擦れ合う音が聞こえる。


「鞠?」


アミラは地面に転がるそれを遊戯で用いるボールだと一瞬だけ認識した。


それはこの情報では異常、直ぐにこれは危険物だと感じ取った彼女は体が浮き上がると同時に片手から蔓を飛ばし遠くの木に引っかけると、髪がどっと風に揺られ慣性に身を任せた。


「流石に気付くか」


凄まじい速度で飛んでいくアミラをジェイクは腰から取り出した短機関銃を容赦無くぶっぱなしす、木々を渡るが攻撃をしてこないようで静寂が森を包んだ、警戒してるのだろう。


「スパイダマン!スパイダマン!blah blah blah、スパイダマ!


煽りにかかったな、風を切る音が近づくと同時に真隣の木に矢が突き刺さる、かなり硬いはずなのに軽々とだ、同じような材質の矢なのだろう。


打ってきた方向から弾道を計算しそこに照準を合わせ撃つ、その度に木がえぐれる、次の木へ移る繰り返しだ、これじゃ埒が明かないもんで次の段階へ進める。


――


弾ける様な音が鳴らなくなった、あの男は次にどんな手を使うのか、アミラには物理では剣に槍、弓にスリングショットそれに盾程度の武具しか知らないから何も分からない。


そんな事を考えているうちに再び何かが転がってきたので距離を取る。


「何も、起きない?」


爆発はしない、代わりに煙が飛び出し缶が円を書いて転がる、煙が辺りを埋め尽くすと葉を踏みしめる足音が響いた。


どっかに逃げて体制を立て直したなんかする気だ。


行かせるものかここで倒してや、アミラは目を瞑り耳を揺らす、彼女には手に取るように分かる、どのくらいの速度でどの方向に向かっているのか。


「ふぅー」


息を深く吸い込んで指を離す、葉を巻き上げながら地面を滑る音が聞こえる、煙を扇の葉を先に生やした蔦を振るって晴らした先にアミラは目を見開いた。


「やつらの兜か」


彼女は横が凹んだヘルメットを拾い眺めていると銃声が聞こえる、方向は村の方、持っている物を投げ捨てると飛んで行った。


――


一方ハンクとルヒネはカサエスの城門を戦車でタックルしぶち破り平原を上空には竜達に、地上では爆発に追いかけされながら逃げまくっていた。


「あっはは!まずいなこりゃ!」


装甲1枚隔てる先には地獄と死のオーケストラだというのにハンクは兵士から盗んだ葉巻を咥え笑いながら操縦桿を思いっきりひねる。


「外はどうなっていますの!?げぶっ!」


あたふたしていたルヒネがいきなり宙を舞い天井へ後頭部をぶつける、戦車のキャタピラが横に岩が落ちたことで生み出された風圧に煽られ車体を大きく傾かせた。


「まじかよ戦車でウィリーしてるぜ!」


やっとこさ起き上がったルヒネは鼻に手を当てる、流れているものは赤色の液体では無いことにようやく気付き驚く。


「Foooooooooooo!!逝くぜルッテス殺すぜジェエエエエエエエエエイク!」


2人は森へと進み、吹き抜けて行く木の葉が黄色へと変わって行った。


――


「精霊よ、我を護りたまえ」


幼くも力強い声で唱えると、青い光がどこからともかく現れ、アミラの体に触れる、すると肌に溶け込むようにして覆った、弓を構え穴のような玄関に入りホコリの被った家具と部屋を一回りして再び穴を抜ける。


「隠れているのは分かっている」


編まれた木と木が軋む音がする、アミラは弓を引きゆっくりと家を繋ぐ橋を渡っていく、どこの家にも奴はいない、ならばあそこか。


「私達の家に入るな!居るのは分かってい


前に飛び出たのは迂闊だった、彼女の瞳と垂れ下がる金の縄が輝いた、それが何なのか知る前に横に倒され三本の柱に支えられた無数に束ねられたの棒が赤く光る線がアミラの胸に伸びると、それがゆっくりと回った。


「えっ」


規則的に束ねられたその棒はすべての先端から火花と発射音を撒き散らしながら激しく回転した、彼女は背を向け逃げようとするも弾丸が躊躇無く華奢な体を通り抜けて行き左右に揺らされ、音が止むと真後ろに力無く倒れた。

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