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エピソード1 リズミダス Age35

911、日本人にも犠牲者が出た触れるのも躊躇う程痛ましい事件です、自分はぎりぎり立ち会わなかったのですが当時映画の広告か何かだと思って居た程信じられない出来事だったと親から聞いてました、この作品は現実とは別世界ではありますが911がきっかけでジェイクが異常なまでの復讐心を抱く事になります。


裁判の件もありメンタルは相当やられていますが続きは出しますしこの作品はエタらせるつもりはないのでご安心を、そのうち3作品は合流させますので楽しみにしておいてください。

―西暦2001年9月11日アメリカニューヨーク州―


「誕生日おめでとうジェイク、ブライアンよろしくね」


母さんは鞄をハンガーから手に取ると俺の元に向かい腰を下ろし額にキスをした。


「パパ達は仕事に行ってくる、プレゼント楽しみにしとけよ」


「うん」


俺がまだ小学校5年生の頃だった、いつも通り弟とスクールバスに乗り学校へ行く、いつも通りの筈だった。


「ねえ、あの飛行機なんか低い位置を飛んでない?」


授業中、窓を見ていた誰かがそう言った。


「あれ、ビルの方飛んでませんか」


先生も眉をひそめ黒板から離れ窓の方へ向かう。


「あの高度、航空法に違反していないか?もしや運転しているの


その瞬間凄まじい爆発音が鳴り響いた。


「何だ何だ?」「今の音何なの?」


「皆さん落ち着いて!落ち着いてください」


先生は止めるが外を見に雪崩込む生徒に押し切られる。


「嘘だろ」


見えたのは、ビルから真っ黒な煙が空を覆い尽くさんとする程巻き上がっている、まさに異様な光景だった。


「あれ、そういうイタズラだよな?」


「本当に見たんですよ、どかーんって飛行機がビルに突っ込んで!」


アメフトの授業中だった先輩はメットを投げ捨て今起きたことを両手を広げ表現をしていた。


「あのビル…」


「兄ちゃん?」


「なあ、あそこって…」


教師の囁き声を聞いた時、俺はブライアンの手を掴み何処かへ走って行った。


「ちょっと君!何処へ行くんだ!」


気がつけば、俺に巨大な煙が立ち向かっていた、そこには大勢の大人達が俺を押しのけ逃げていった。


「君!早く逃げなさい!」


その中で警察官は人だかりを掻き分け俺を守りながら、ここから離れる事を促す、迷彩柄の服着た人が一目散に逃げる様子に一目でこの現状を誰もどうする事は出来ない事が当時の俺でも分かってしまっていた。


「あそこには父さんと、母さんがいるんだ! 」


そう、両親の職場はワールドトレードセンターであり、この日は父と母を失った日となったのだ。


――


「アミー姉様、誕生日おめでとうですわ!」


リズが馬鹿でかいケーキを乗せたカートを押しながら溌剌な声で祝う。


「毎回言ってるよな別に祝わなくていいって、でもまあありがとう」


今年で35歳、前世と同じ歳になってしまった。


「誕生日おめでとうアミー」


天崎も一升瓶を抱き現れる。


「陽梅も来ていたのか、レイはもう覚醒したのか?」


「聞いてない」


「うーん、あれだけ酷使していればそろそろ来るはずだが」


「ねーえ、誕生日なんだから仕事の話するのやめよ?」


天崎はそう言って俺の肩を揉む。


「あの巨大な樹をなんとかしなきゃ心が一向に休まらん、ザンドラの人間を透明化とワープ能力者を使って攫ってるらしい、あいつらは何を企んでんだ」


「大丈夫よ今はクーアちゃんがスパイしてる、戦力差はまだ能力だけじゃ埋められないって」


現在ザンドラは10万人程、元々科学をよく思わなかった連中が雪崩込んだのだ、その中で能力者はたった234人、攻撃系防御系その他もろもろ逐一報告させて頂いている。


「だがもう1つ気掛かりがある」


「それは?」


「禁忌呪法だ」


「あれね、竜族の」


遊牧民に魔神グリードが与えた力禁忌呪法、あのイラに与えられていない訳が無いのだ、それは恐らくあの木を操る能力だろうが、それすらもまだ確信は出来ていない。


――


物流は念動力や魔獣で物を運ぶ、怪我人はレイ達の回復能力で直す、建物はクーア達の物質能力で建築する、壁は結界能力者が管理し、攻撃能力者が警備する。


完全な能力者社会を形成させたという事を巨大な木の幹でイラは感慨の意で安堵のため息を零す。


「たった2年で良くやったなぁ、そういえば僕を呼び出したのはどんな件で?」


隣のテオも感嘆の声で呟く。


「そろそろ攻撃能力持ち魔術師が目標までの数に届きます」


「そうか…遂にラードアを制圧するんだな」


「テオ、リズとリオにまた会いたいですか?」


「なんだい藪から棒に、今は………会いたくないよ、あんな事してしまったんだから」


「ふむ、性欲はありますか?」


「え!?急に何言ってるの???」


「魔術師は選ばれると、生殖能力を無くします」


「……そういえば無い、イラは誰かを好きになったりした事は無いのか?」


「ありませんね?」


彼女はきょとんとした顔で首を傾げ答える、まるで未知な事について聞かれているような表情と声色だった。


「本当に?今まで?」


「子供の頃から選ばれたので」


「選ばれた、ねえ」


テオにはイラの事ある毎に住人達を集めてはよく説く説法にはどうしても盲信さが垣間見えてしまう、彼女の過去からしてもはやまともな人間の思想ではないのは周知の事実だからだ。


「もう行きます」


テオはそう呟きながら町を眺め続けるイラを後にした。


「最初から門を封鎖して胞子をばらまけばこんな面倒な事にはならなかったのにな」


「そんな事をしてしまえば世界は混沌に陥ってしまいます、私は秩序を保ったまま神話の世界を築きたいのです」


音も無く現れたグリードの言葉に振り向きもせず返す。


「お前を山賊に捕らえられた所を助けたのは内なる力の為だけじゃない」


「彼女に似てるからですよね、愛していたのですか?」


「ああ、そうでなければ今この世に魔草というものは無い」


「愛という物を知れば、彼の行動の全てすら何もかも理解出来るのでしょうか?」


「そんなもん知らなくたって世界は救える」


グリードは素っ気なく応えると、またどこかへ風のように消えた。


――


「アミラお姉ちゃん!」


あれから更に土地は拡大し取引が増えたので、俺やアウリスはメイが見る事もあるもののリズが仕事の間はリオの面倒を見る事になった。


「いったた、耳引っ張るなって」


「おいリオやめろって」


「ごめん兄ちゃん」


ガウラがリオの手を掴む、2人は一緒によく遊びもうお互い兄弟の様なものになっていた、なんだかあいつを思い出してしまうな。


「アミラ?」


イギルの驚いた声に意識が戻り、頬に付いた水滴を指でなぞって目を擦り咳払いをして場を仕切り直す。


「それで、政治はどう何だイギル大統領さん」


「どう何だもなにも、初めての事ばかりでクソ大変だ」


「クソとか言わない、子供の前だぞ」


「お前だけには言われたくねえ」


親父が村長だっただけで1国の長を任され、イギルの机は紙の山に溢れかえっているが、近況を聞いた感じだと支持率は割と高めらしい。


「まあ頑張れや、それはそうと私を将軍にしてくれないか?」


「勘弁してくれよ!お前がドラゴンを招いてラードアをぶっ壊しやがったイカレポンチって、上層部には散々ボコスカ言われてるんだぞ!」


「ははっそっか」


「おいごら!!!笑い事じゃね


――


「未練はあるんだなアイツに」


アウリスはそう言って骨付き肉を齧る、ママ友の女子会にしては品が無い。


「……ありませんわ」

「うそつけ何年お前といると思ってるんだ」


ステーキをつつき俯くリズを見て、アウリスは察している。


「ラードアで火薬の買取が増えたってな、それってさ…お前が言った通り戦争が始まる兆候なんだろ?」


「………ここも時期に火の海になりますわ」


「くそったれがまじかよ、ガウラとリオを安全な所に避難させねえとな」


リズはスカートを捲り太腿に手を伸ばした、彼女の手に持った物を見てアウリスは目を見開いた。


「お前」


リズが手に取り眺めた物は金色のグロック、それもミスリル仕込み、これはアミラに賊からの襲撃のみならず最悪の事態を切り抜ける為に渡された物で名はミダス、ギリシャ神話に出る同名の王と同じように触れる物を全て金に変えるが如く富を拡げて欲しいという想いから彼女は名付けた。


「イラは、この手で殺しますわ」

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