エピソード6 リバイバル Age32
「何が目的なんだ?」
「私は選定の魔術師イラ・リーベルド、貴方達を救済しに来た」
「救済?何を以ってだ」
「貴方達は今疾病に苦しんでいるでしょう、そしてこの中に回復の潜在能力を持つ者がいます、覚醒させ救済する代わりにグリード様と協定を結びなさい」
「Fuckyoubitch!」
くそったれがそんな物応じてたまるか、中指立ててやるね。
「シャーン、今の意味分かる?」
イラ同様に修道服姿の頭部中目玉まみれの怪物は流石に英語が分からないらしく、首を横に振った。
「何か勘違いしてるみたいですが貴方達を皆殺しに来たわけではありません、少しばかり武力を見せましたが必要なだけ行使したまでです」
「それで?何が言いたい?」
「まず、避難者のいる場所へ案内してください」
イラとシャーンは指差すと地に降り、身体を纏っていた茨を器用に操り平行移動しまるでスケートボードのような乗り物を体現させていた、向かう場所は城、避難民に手を出せば直ぐに合図して撃ち殺せるが、何をする気なのだろうか。
「攻撃が収まったみたいですが何があったんですか」
兵士2人に両肩を貸され連れてこられたテオが現れる。
「お前こそ何があったテオ」
前から燃えるような髪色だが今回は本当に燃えている、覚醒したのか。
「熱くないのか?」
「うん」
――
「この娘です」
「私ですか?」
「名前は?」
「レイ・リアクトワです」
イラに指差され短い茶髪の少女は驚くが、俺が目で合図されると、怯みつつも人混みから前へ出る。
「殺したり悪魔になった瞬間お前は死ぬからな」
「そんな事しませんよこんな状況下で、それに私の能力は悪魔になるかならないか分かるので」
なんせ数十人に銃口を向けられてるし抵抗しようものなら一瞬で蜂の巣だ。
「また勝手な事をしおって」
「私ではありません、それに帝王も条件を呑んだはずです」
「むう、それはそうだが…」
「それでは始めます」
イラはそう言うと、レイの体を茨で縛ると思えば、今度は花を顔の前に現れ花弁で頭丸ごと顔を包まれもがき始めた。
「貴様!」
ゲインズは攻撃に見えたらしく、兵士達も銃口を向け引き金に指をかけるが俺は制する。
「死んだのか?」
レイの動きが止まったので更に兵士達は警戒心を高める。
「バカ、魔草は死なねえよ」
「ぷは」
花から顔を出したレイは呼吸を整える。
「成功です、まあ、私にかかれば確実ですが」
「選定とは魔力が見えているのか?」
「索敵系とは違いますが、私には誰が適しているかどんな能力を得るのか分かります」
「なるほど、グリードの野郎やべえ奴連れてきたな」
――
「全員マスクしてくださーい!」
メイは道行く先に何かを配り呼び掛けている。
「メイ、リズ!何してる」
「感染予防の為マスクを配ってるんですわ」
「配ってる?お前らしくもない、てっきり金貨10枚くらいで売ってるかと思ったよ」
「人聞きが悪すぎますわ、大勢の人が亡くなる方がよっぽど不利益になるんですわ」
「お前が賢く育ってくれて嬉しいよ、引き続き配っていてくれ」
「おい姉貴!こいつと手を貸さないって言ってただろうが!」
アウリスがマスクを入れた箱を投げ捨て俺の襟を掴み持ち上げる。
「待て待てアウリス、ドワーフが薬を開発するまで時間がかかる、今は魔法に頼るしかないんだ、話してくれ服が破れる」
「後悔することになるぞ」
「……………」
アウリスは俺を話すと、吐き捨てるようにそう呟いた。
――
「イラだ」「何しに来たんだ」
病院に俺達が入ると、患者も医者もそろってイラの角へ顰蹙が集中する、まだイラは侵略者だと思われているのだ。
「先に兵士から直させる」
「いいえ治すのは病状が悪化する体の弱い人からです」
「……分かった」
レイの魔力を削いで兵力を減らす戦略か?慈悲深げな修道服姿に惑わされてはいけない。
「レイ、そのご老人に魔法をかけてください」
今にも死んでしまいそうなほどやせ細った老人に手を握る。
「本当に治るんだろうな?」
レイの周りから緑色の結界が拡がる、すると老人はおろか周りの人も覆われて行った。
「咳が止まった」「気分が良くなった」「すごい!元通りになったぞ!」「聖女様!聖女様だ!」
「さあレイ、次の病院に行くぞ、お医者さんは一応経過は見ておいてくれ」
人集りからレイを引っ張り出し出口へ向かう。
「え、やっと全員直したのにまだなんですか?」
「魔力が尽きるまでな」
「そんな〜!」
――
ひと仕事終え、疲れ果てたレイは家に帰り俺達は王城に戻った。
「お口にソース付いてますよ」「ありがとうございます」
パスタを勢い良くすすり唇を汚したイラにメイが口元を拭う。
「これ、すごく美味しいです」
「お前今まで何食ってた?」
「肉や魔華からなる実です、魔力を回復させる効果があります」
さっきレイに食わせてたやつか。
「ずっとここに居る気なのか?」
「居心地が良いので」
「家に帰れ俺が送る、どこから来た?」
「それは絶対に教えられません」
彼女の声は何処か堅い意思を感じた、推するに奴らのアジトには何か強力な武器があるのか、悪魔は基本的に動物で無機物な物は見たことが無い、だとすると。
「イラ、お前達の移動兼拘束用の茨には根がないのにどうやって動かしてる?」
あの修道服の中に花瓶のような水源を隠している?
「…どうして教えなきゃいけないんだ?大体貴方達は合図ひとつで滅ぼす事だって出来るんですよ」
「はーいそこまで!僕の分もあるよね!」
魔獣に乗って現れた桃髪の中性的な顔立ちの少年が城の扉を盛大に破壊し現れ降りては、コッドが食べていたピザとワインを奪う。
「むう!これは我のだ小娘!」
「僕大人だよ」
「彼はニア・エリオット、魔獣を操ります」
鳥型の魔獣に乗っていた奴か、彼の周りには茨が無い、魔獣がいるから必要無いのだろう、騎士のような服装の中には水源を隠せそうもない。
それにしても露出が、多すぎるな。
「イラ、そろそろ前に出るぞ」
コッドが立ち上がり吹き抜けた城の出口へ向かい、イラも口を拭いて立ち上がり続く。
「来たぞ」「何を話すんだ」
「皆の者よくぞ集まってくれた!このイラ・リーベルドが現れた事によって、選ばれし者全てが悪魔になる事無く勇者になれる!」
「まじかよ!」
「神話の時代を取り戻すのだ!」
「おおおおおおおおおおおお!!!!!」
国民達は歓声を上げた、これから最悪な時代が始まる事も知らずに。
――
「ちょっと気分が悪くなったから失礼する、行くぞメイ」「はいアミラ様」
「了解しました」
国中が熱を上げている最中、俺はある事をするべく抜け出した。
「メイ、もう無線は移動させてあるのか」
「はい、ですが彼らからドワーフ使いが荒いと苦情が来てますよ」
「近いうち海底ケーブルを作ってもらうから肩慣らしだろその程度」
「海底…ケーブル?」
「それじゃあメイは奴らの動向を探っていてくれ」
「はい」
メイと離れ森の奥に進む、木々や弦を掻き分け進むと木造の小屋がある、ザンドラの者が裏切った場合や俺を殺そうとする輩が現れた場合に隠れ家として密かに用意していた。
「機材は揃ってるな、よし」
機材のスイッチを押しヘッドホンを付ける。
『聞こえているか天崎?over』
『ええ、こっちなら大丈夫、感染者は居なかった,
、オーバー』
『それはよかった、実は通信したのはその事だけじゃない、悪魔の力を自在に操れる者が現れた、ザンドラを支配されようとしている、戦うとしたら魔法を使える100万と1万で相手することになる、over』
『それは流石に銃でも勝てないかもね、力を貸すよ、竜族からも優秀な人材を見つけて来たの、オーバー』
『頼むぞ、over』
――
神話、それはグリードが悪魔の草を生やした所から始まった、大勢の人々が悪魔と魔術師に別れ混乱が生じた、だがそれはグリードにとっては自由であり、人類の希望ですらあった、彼に何が起こってその様な考えに至ったかは誰も知りえない。
「奴はもういませんか?」
「ああ」
「さて、あのアミラ・レッドバードなんですが、今後どうします?生かしておけば今後ラードア制圧の際妨害されるのみならず、貴方にとってかなりの脅威になりますよ」
「どうするも何も殺すしかない、機会はずっっと伺っていたんだ、お前が現れた事によって頃合が決まった」
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