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異世界転生・信長物語 〜日ノ本に転生した元勇者〜   作者: ★わくわく★
第2章 吉良大浜の戦い
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第8話


 町へと繰り出した吉法師と恒興つねおき

 

 「おっ!!じいちゃん。腰が痛いんだろ?酷くなるから大人しくしてなよ。どれどれ…恒興つねおき代わりに薪割りをするぞ。」


 「ほほほっ。嬉しいですが…若様にそんな事を頼めませんよ。」


 「心配いらん。私は今、薪割りをしたいのだ。訓練の一環と考えてくれれば問題ない。」


 そう言って半ば無理矢理、薪割りをし始める。

 吉法師は町に出ると、困っている民達に手を差し伸べる。普通ならありえない光景なのだが、ここ那古野城なごやじょう周辺の町や村では見慣れた光景だ。


 「若様。」

 「若様。こんにちは。」

 

 民達は吉法師を見ると気軽に、笑顔で挨拶をしてくる。家老達も近すぎる距離には反対をしていたのだが、最近では何も言わなくなってきた。


 恒興つねおきは、民の姿を見て、聞いて、民を考えるそんな吉法師が好きだった。だが…。


 「あっ!!若だ!!」

 「本当だ!!」


 「はぁー。こら!!何度言えば分かる?せめて”様”を付けて呼ばないか!!」


 これで何度目だろうか…恒興つねおきは、町の子供達に注意するも聞いてくれない。


 「まぁ。いいではないか。子供のする事だ。少しは大目に見てやれ恒興つねおき。」

 

 「しかし……。はぁ…若様がそれでいいなら。」


 「元気があっていいではないか。して何か困った顔をしているが…。何かあったのか?」

 

 吉法師は子供達に聞いてみる。すると…竹とんぼで遊んでいたらしいのだが、落ちた竹とんぼを間違って踏んでしまい壊してしまったらしい。


 「1番飛ぶやつだったのに。」

 「ごめんって。ほら…俺のをやるから。」

 「やだ…それ飛ばないやつだもん。」


 吉法師も恒興つねおきも顔を見合わる。


 「良い解決策があるぞ?」


 恒興つねおきが子供達に声をかける。

 

 「ここに良く飛ぶ”竹とんぼ”を作るお方がいる。」

 「ハハハッ。恒興つねおき。」


 それから子供達の為に竹とんぼを作る吉法師。


 「見てろよ!!それ!!」


 「「「わあ〜。高〜い。」」」


 空高く舞い上がる竹とんぼ。

 皆んな笑顔で見上げている。


 「若ーありがとうー。」

 「バイバーイ!!」

 「若またねー。」


 「全く…。また若様の事を…。」

 

 「恒興つねおき。」


 吉法師は打って変わって真剣な表情で名前を呼んだ。その表情から真面目な話なのだろうと恒興つねおきも姿勢を正した。


 「私は、あの笑顔を失いたくない。もちろん子供達だけじゃなく、私達…織田家に仕える民”全て”をだ。欲張りだと思うか?無理だと思うか?」


 加納口の戦いのあとから、小姓こしょうでもある恒興つねおきは、吉法師が何かに悩んでいるのは知っていた。


 「いいえ。若様が決めた事ならば”きっと出来ます”。」


 「恒興つねおきには言っておく…私は”戦の無い世の中”を作る。方法もまだ分からない…今はまだ戯言にしか聞こえないだろうが。まずは力を付ける。そして織田家の当主になるのが第一歩だ。」


 「はい。」


 「きっと険しい道になる。力を貸してくれるか?」


 「この恒興つねおきは”どこまでも”若様に着いて行きます。」


 少しだけ長居をしてしまい、日も暮れ始める。


 「それでは戻るか。」

 「はい。」


 (”戦の無い世の中”か…。そんな世の中になればどれ程良い事であろうか。どんな道であっても命尽きるまで支えてみせます。)


 更に絆が深まった2人。

 きっと…この日の事は忘れないだろう。


 

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