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異世界転生・信長物語 〜日ノ本に転生した元勇者〜   作者: ★わくわく★
第2章 吉良大浜の戦い
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第29話


 もの凄いスピードで放たれた矢が胸に突き刺さる。指揮官と思われる者が一矢で前のめりに倒れると、周りの者達は更に混乱した。


 「よし。最後の仕上げといこうか。私に続けぇー。これより敵を追い立てる!!」


 信長が率いる部隊は比較的戦闘に長けた者達で構成している。信長が先頭に立ち、仲間達に指示を出す。


 「必ず複数で当たれ!!逃げる敵は無視していい。深追いはするな!!」


 「「「はっ!」」」


 一部の者は逃げられないと判断して、中には向かって来る者もいた。

 そういった者を信長達が対応して、残りは引き続き弓で攻撃。


 数十分もすれば辺りに敵はいなくなった。

 2000人いた今川いまがわ兵のうち、200名程を無力化に成功し、残りは散り散りになって逃げていった。


 (さてと…考えうる最高の結果になった訳だが、まだ喜ぶには早いな。)


 「ルーク!!」

 「ピーイィー。」


 ルークを飛ばして敵兵の動きを空から確認。1番は北上に逃げている兵が多い。


 「追撃するか?いや…ここは…欲を出すべきではないな。既に目的は達した。」


 今の時刻は夕方。

 あと1時間もすれば日も完全に沈む。

 無茶をする場面ではない。


 それにバラバラになっているとはいえ、いまだに人数は敵兵の方が多いし、夜の戦闘になれば不安も残る。

 それに今川いまがわ兵達の食料の大半は火矢によって燃えて無くなった。

 立て直して再度侵攻するのは不可能に近い。


 「信長様。」

 「信長様。」

 「信長様。」


 そんな事を考えていると、見知った顔の者達が名前を呼んでいる。


 (あぁ。そうか…私が言わねばならんな。)


 「この戦!!我々の”勝利”だぁー!!」


 「「「おおおぉぉー!!!」


 そして…ルークを使い撤退を確認すると、その日はそのまま野営して、翌日には那古野に帰陣。見事な奇襲攻撃で勝利を収めた。


 父である信秀のぶひではもちろん。政秀まさひでをはじめとする家老達は信長の戦のセンスには舌を巻いた。


 それと同時に、若き主君を心配していた政秀まさひでは、無事に帰還出来て、ほっと胸をなでおろした。


 後に”吉良•大浜の戦い”と呼ばれる信長初陣の戦は、今川いまがわ軍2000を、わずか800の兵で撤退させるという結果で幕を下ろす。


 織田信長の名が広まるキッカケになったのは、言うまでもない。


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