第16話
〜天文15年(1546年)〜
10月中旬
作戦通り両軍同時に動き出す。
今川は東三河の今橋城へ。
織田はこの動きに連動して西三河の安城城へ。
これには三河を守護する者達も驚いた。
今川の今までの動きで、戦を仕掛けようとしているのは予想は出来ていたが、織田までも攻めてくるとは予想外。
「この動き!!織田信秀め!!今川と通じておったか!!」
「安城城は最低限の戦力しか残しておらぬ。」
「増援も出来ん。今川側を手薄にして流れ込んで来たら目も当てられんぞ。」
「それならばどうしろと?」
「守備に徹するしかない。」
「しかし…守備に徹して増援を見込めぬなら…。」
「とにかく優先は今川じゃ。」
まさかの挟撃された形。
これにより対応が後手に回り始める。
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一方、那古野城にて一報を待つ信長達。
「始まりましたな。」
「ああ。」
父信秀に尾張の守護を任せられたが、正直言って周辺国は動く気配は一切無い。
むしろ注意すべきは、斯波氏の動向であろう。信秀がいないのを良いことに、また何かしら行動を起こすかもしれない。
「この戦、城を攻め取るのはいつ頃になるとお思いで?信長様の予想は?」
そう聞いたのは家老の政秀である。
「今川が動くのは向かうも予想していたからな。東三河の今橋城を守る戸田氏も策を用意する時間はあったからな。落ちるにしてもそう簡単にはいくまい。時間はかかるはず……そうだな…時季に冬を迎えるのもある。今年中は難しいのではないか?」
「流石ですね。では我が織田軍は?」
「今川に戦力を向けているからな…今川が城を落とすよりも早いとは思うが…。こればかりは相手の動き次第だ。まぁ皆んな無事ならそれでいいさ。」
「信秀様と一緒に戦へ向かいたかったですか?」
「そうだな。もっと頼って欲しいと言うのが本音だな。父上は優しい…元服しても…子供としても見てしまうのだろう。」
「そうですね。来たる初陣の際は、この政秀も、お供します。その時は存分に暴れてやりましょう。」
「ああ。皆んなも頼む。」
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この時周辺諸国でも、この戦の結果に注目していた。果たして信秀の策とはいかに。




