第13話
季節は初秋。
今年も豊作の年となり、民達も喜び安堵していた頃。
信長はある事に悩んでいた。
「今川が動くのか、動かないのかは別にしても戦力を強化するのは必須事項だが…。」
前世ではスキルや魔法の習得、武器の強化など…強化する方法などいくらでもあった。
しかし…ここでは違う。
領民の数は限られているとなれば、実質的に兵の人数は決まってくる。それならば兵そのものの強化なのだが、訓練だけに時間をかけてもいられない。他の仕事がある為だ。
「たとえ訓練の時間を増やしたとしても…前世と違って、急激な強化は見込めないからな…。それなら武具か?」
戦になれば兵として参加するのは領民の義務。多くの者は武器や防具は個人で持っている物を使っている為に、どうしても差が生まれる。
中には錆びついたモノや切れ味が落ちているモノ。信長は、それに目をつけて武器や防具を作る事も考えた。
「兵全員となると…材料とお金が足りませんな。そして作る鍛治師も見つけなければ。」
そう言ったのは家老の政秀である。
ちなみに、この時の主な歩兵の武器は槍と弓。
「全歩兵に槍を持たせるのは賛成なのだが…。」
槍ならば技量がなくとも、突くことに集中すれば間合いも広くある程度の戦果は見込める。
「政秀!!もっと槍を”長く”してみるのはどうだ?」
歩兵が使う槍の長さはおよそ2メートル。
量産された”数槍”と呼ばれるモノだ。
信長は勇者の経験で知っている。
最初の一撃は単純に間合いが長い方が有利になると。
「んー。信長様なら分かるでしょうが、あまり長くしても弱点が増えるだけですぞ?」
「それならば問題ない。私がギリギリまで伸ばせる距離を見極める。それに長さが決まれば、槍の持ち手を伸ばすだけなら金も時間もそうはかからん。」
そうと決まれば動くのが信長である。
さっそく槍を用意して、長さを変えながら槍を振り始めるのだった。
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一方、今川が静かに動き出していた。
「収穫が終わり次第…10月に動くぞ。」
元服が終わった信長の初陣の時は近い。




