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異世界転生・信長物語 〜日ノ本に転生した元勇者〜   作者: ★わくわく★
第2章 吉良大浜の戦い
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第9話


 〜美濃みのノ国〜


 稲葉山城いなばやまじょう

 そこには斉藤道三さいとうどうざんに戦後の情報を報告する者がいた。

 どの時代も情報が1番大切と言ってもいい。密偵や監視する者など、他の国に送り込むのが普通の時代。


 「そうか…ご苦労だったな。斯波氏しばしと織田家の動きは概ね分かった。そして…今回はこちらにも理があったから話にのったが、信用ならない斯波氏しばしと組むのはこれで最後だ。当初の予定とは少し変わったが…金も入ったし、土岐頼純ときよりずみという駒も手に入れた。これで…更に欲をかけばバチが当たると言うものだ。」


 「分かりました。して道三様。織田信秀おだのぶひでが動こうとしている和睦の件は、どうするおつもりで?のるおつもりですか?それとも力が弱まった今…信秀のぶひでだけを討つおつもりで?」


 「ふむ…。それには少し考えがあってな。将来…”帰蝶きちょう”を信秀のぶひでの子に縁組させようかと考えておる。」

 

 「なっ!?」


 斉藤道三さいとうどうざんが述べた言葉に驚きの表情を隠せない。


 「まぁ待て。まだ決定した訳ではないし、すぐにと言ってる訳でもない…元服もまだしていないしな。それに和睦の使者もまだであろう?少し気になる事があってな…。お主は”吉法師”を知っておるな?」

 

 「はい。確か……幼いながら幅広い分野にて優秀な成績を持ち、特に剣術は大人顔負けの実力だとか。そして信秀のぶひでから那古野城なごやじょうと4人の家老を譲り受けた…と。しかし…親は子の事なら大きく風聴するもの。その真意は分かりかねます。」


 「そうだな。だから吉法師について本当の事を調べてもらいたいのだ。今回の戦で分かった…私は斯波氏しばしが力を取り戻せるとは思えない。過去の栄光にすがるだけの半端者だ。近い将来は必ず織田信秀おだのぶひでを筆頭に織田家が更に力を持つであろう。」


 「分かりました。」


 帰蝶きちょう斉藤道三さいとうどうざんの娘であり、この時代は政略結婚が当たり前。


 しかし政略結婚とはいえ大切な娘に変わりはない。道三どうざんは本当に吉法師が有望ならば、将来を見越して送り出してもいいと思っていた。


 「朝倉あさくら今川いまがわの動きも気になるしな。何も敵は織田家だけではない。同時には相手は出来ぬ…。」


 そう言いながら、道三どうざんは加納口の戦いでの事を思い出していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 加納口の戦い。

 殿しんがりに名乗り出た青山信昌あおやまのぶまさ率いる500の兵と対峙する。


 「”見事じゃ”。わずか500の兵だけで、これだけの時間を稼ぐとはな。信秀のぶひでは良い部下を持っておるな。しかし…ここで死ぬのは惜しいな…どうだ?信昌のぶまさよ。私の所に来ないか?良い待遇で迎えてやるぞ?」


 道三どうざんは、ボロボロになっている信昌のぶまさにそう言った。500名いた信昌のぶまさの兵も残りわずかとなっており、負けは確実の状況だった。


 「ふっ…世迷言よまいごとを…。私は織田家の家臣。織田を裏切るはずがなかろう。信秀のぶひで様を尾張に逃がせれば光もある。」


 「そうか…残念だ。…最期に聞きたいことがある。なぜお主の兵達はこれだけの兵力差でも”誰一人”逃げようともせず、立ち向かう?それに…倒れても倒れても…なぜ立ち上がるのだ?それ程の価値が信秀のぶひでにあると言うのか?」


 斉藤軍5000に対して殿はわずか500。

 敵前逃亡は許される事ではないにしても、10倍の兵力差。逃げても笑われることはないし、負けは確実な状況。なのに全員が同じ目をしていた。


 (まるで…何かに期待しているような。)


 それが斉藤道三さいとうどうざんには分からなかった。


 「フハハッ。確かに信秀のぶひで様は凄いお方だ。私も仕えて誇りに思える……しかし信秀のぶひで様よりも将来を期待してまうお方がいるのだよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 斉藤道三さいとうどうざんは、美濃一国を実質的に手に入れたと言って過言ではない。


 だが敵を作り出し過ぎているのも、また事実。だからこそ織田信秀の力が弱まっているこの時に、道三どうざんにとって優位な縁組を結び、力を取り戻した時の”抑止力”としても機能するはずと考えていた。


 (若い芽が育ちつつあるか…。だからといって譲るつもりもないがな。)


 こうして吉法師の元に部下を向かわせたのだった。


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