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第3話 巨大な敵すら華麗に退治してしまう

 そんなことを思っていた時、突如地面から巨大な蛇が現れた。


「な、なんだこいつは?!」


 突然の出来事だったが、俺は咄嵯の判断で蛇の牙をかわし、奴の懐へ潜り込んだ。

 そして、渾身の一撃をお見舞いする。


「喰らえぇ! ……刃が立たねぇ!? 手が痺れっ!!!」


 どうする? いったん距離をとるべきか? 

 そんなことを考えている間に、蛇野郎の尻尾攻撃が迫ってくる。

 俺はそれを間一髪かわすことに成功したが、バランスを崩してしまう。

 そこにすかさず追撃の噛みつき攻撃を繰り出す大蛇。


「くっ……。ま、待て! お前さんが強いのはよーくわかった! でもお互い生態系の上澄みにいる者として知性のある話し合いで穏便な解決というものをだな!?」


 俺は必死に説得を試みたが、俺は無残にも吹き飛ばされてしまった。


「ふんぐぉあぁぁぁ!? くそっ、こうなったら最後の手段だ!!」


 俺は大きく息を吸い込み、ありったけの声量で叫んだ。


「助けてええ!! 殺されちゃうぅぅぅ!!!!!?」


 すると、ほんの一瞬強烈な光がピカッと辺りを覆ったと思うと――大蛇野郎が黒焦げになって体中からプスプスと煙と音を立てていた。


「はえ?」


 その間抜けな声が自分の口から発せられたと気づくのに一瞬時間がかかってしまったが、もしやと思い当たりドローンの方を見るとやはり、またもや電撃の発射口が開いていた。


<いやいくらなんでも間抜けすぎるよ。ついまたお金払っちゃった>


<はっきり言うて危なっかしいから、このまま援護に回らせてもらうで。感謝しいや?>


 投げ銭で援護攻撃をしてくれた視聴者のコメントをドローンが読み上げる。


「い、いやはや。今のはただの偶然ですよ。ほ、ほら。俺ってば強いんで。こんなところで死ぬわけないじゃないですか~。でも援護感謝です!」


<わかったわかった。でも、君が死んだら私たち悲しいよ。だから、無理しないで。ね? いい子だから>


「ははぁ、大丈夫っすよ。でも、きっちり甘える時は甘えさせていただきますんで。今後ともご贔屓に! なぁ~んて」


 俺のことを心配して援護をしてくれた。つまり俺の行動が他人を動かしたということだ。


 それはつまり――俺の巧みな扇動により視聴者が集まったということと同意義!

 やはり配信業……! これぞまさに俺の天職に違いない!

 まさしく確信した瞬間だぜ!!


 でも心なしか野郎が多いような気がする。そんなわけないか、画面の向こうで見ているのはきっと九割方は綺麗なお姉さんのはずだ。


 だいたい、ドローンと音声をデフォルトにしているからそんな風に思ってしまうんだな。今度から設定を女の声にしよーっと。


 にしても……。


(ふっふん! いや~順調だぜ! このまま視聴者の心をがっちり掴み続けて、リアルでも女性ファンから黄色い声援を投げかけられてプレゼントとかファンレターとかもらっちゃったりして。うひゃひゃひゃ!)


 俺の気分は有頂天! 鼻歌まじりにスキップをしながら、ダンジョンを突き進んでいくのであった。


 その後も、俺は順調にかつスタイリッシュに徐々に強くなっていくモンスターを倒し(て貰い)ながら、ついに最下層までやってきたのだ!

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