帰参
「たっだいま~♪」
明朝、ラングが景気よく扉を開けて、烈たちのもとに戻った。ラングの帰りを待っていた、烈とミアとルルの三人は、まずは無事に戻った彼の様子にほっとした。
「お帰り。で? 首尾はどうだ?」
「ばっちりだぜ、殿下。色々と面白い情報が手に入ったよ」
ラングが親指を立てて、にかりと笑うと、ミアもつられてふっと笑った。だが、一方でラングの様子がどこか昏い影を落としていることも、烈もミアも見逃さなかった。ミアはそこにあえて触れることなく、ラングに続きを促した。
ラングは近くにあった、椅子にどかっと座り、手元のブランデーをグイっと一息に飲むと、脚を組み、昨日仕入れた情報を話し始めた。
「公爵令嬢はさらわれてたぜ。場所はザネの砦。仕掛けたのは『暁の鷲』で、率いているのはなんと、『鉄甲鬼』ゼスだ」
「なんと......大物だな」
ラングの報告に、ミアの目は驚愕に開かれた。
「ああ、流石は公爵令嬢ってところかな? 部隊長クラスが動いているとなると結構しんどいぜ?」
「そうだな......」
考え込むミアの横で、烈がすっと手を挙げた。
「すまん、俺は今の話の中で出てきた言葉が全く分かっていないんだが......」
「ごめんなさい......実は私もです......」
ルルも恥ずかしそうに手を挙げた。
「ああ、すまんすまん。まずはそうだな......『ザネの砦』はこのパバルの城の近郊にある、古代の砦跡のことだ。元々は2~3百年前に敵国の侵入を妨げるために作られた砦でな、今も古いが堅固な砦なんで、シリウス公爵の兵が常駐して手入れしているはずの場所だ」
「で、『暁の鷲』ってのはこの大陸の三大傭兵団の一つだ」
ミアの説明が終わり、ラングが続きを引き取った。
「大きな戦があると、三大傭兵団のどこかは絡むってので、有名なんだがな。特に『暁の鷲』ってのは戦狂いで、どこにでも姿を現す厄介な奴らさ」
「なるほど......ってことは強いのか?」
「強いだろうねぇ。特に8人いる部隊長は一人一人が一騎当千の強者ぞろいって話だ」
「さっきの『鉄甲鬼』というのもその部隊長の一人なんだな?」
「ああ、『鉄甲鬼』のゼス。元々は南国の将軍だったらしんだが、何かで軍を辞めさせられて、その後武力を買われて傭兵団に入ったらしい。両手に手甲をはめて、徒手で戦うらしいんだが、戦が終わるころには、その手甲が敵の血で真っ赤に染まるってことで有名だ」
「徒手か......」
「ま、出会ったら戦わないことが一番だな」
「だが、その男がその『ザネの砦』で待ち構えてるんだろう?」
「多分な。それでどうします? 殿下?」
ラングが困ったように苦笑して聞くと、ミアがまた深く考えた。その時、部屋の扉がノックされた。ルルがとててと扉に近づいて開けると、部屋の外ではシリウス公爵が神妙な面持ちで立っていた。
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