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黒衣の死神

 騎士たちが散り散りになった敗残者たちを追いかける。馬術なども鉄百合団の方がはるかに上なのであろう。組織だった動きをしつつ、ゴードウィン男爵の手勢を囲い込むように動き、少しずつ彼らを追い詰めていった。その中にあって奮戦しているものがいた。


「この場にとどまって奮戦せよ! ゴードウィン男爵の逃げる時間を稼ぐのだ!」


 近侍のマイコンであった。手勢を10人ばかり率いて、逃走する主に忠を尽くそうとしていた。鉄百合団の精鋭たちもその鬼気迫る迫力に、中々手が出せずにいる。


「はぁ~健気だねぇ。逃げた主君にそこまで仕えるかよ」


 その姿を見ながら嘆息したものがいた。マイコンはばっと振り返る。そこには馬上にて、剣の柄で肩をとんとんとほぐして、呆れたように見つめる黒衣の男---ラングがいた。すでに指揮官であるマイコンまであと五歩の距離というところまで間合いを詰めている。


「......小童。いつの間に近づいた」


「いつの間にって、普通に近づいただけだぜ?」


「バカにするなよ? これでも貴様が小便を垂れていたころから、戦場に出ているのだ。敵が近づけばすぐに反応できる。だが......」


 マイコンは殺気を漲らせて、ラングへと切っ先を向けた。


「貴様、騎士ではないな? 何者だ?」


 ラングは苦笑して肩をすくめた。


「ただの山賊上がりの風来坊さ。なんの因果か、今は王女様の子分だがね」


「舐めた口を......」


 マイコンはパシンっと馬に鞭うち、ラングに寄せる。そのままの勢いでラングの首筋を狙った。


「おっと!」


 ラングは口笛を吹きそうな勢いで、余裕綽々といった様子でその白刃を避けた。そして返す太刀で、マイコンの胴体を狙う。


「ぬぅっ!」


 予想だにしない、ラングの太刀筋の鋭さに、マイコンは慌てた。辛うじて刃を受けたが、弾かれてしまい、剣を落としそうになる。


「おのれ! 小童!」


「小童はよしてくれよ。もう20だぜ?」


「毛の生えかけたガキだわ!」


「おっさんだねえ」


 そのあとも二合、三合と打ち合うが、二人の実力差は明らかだった。マイコンの剣はラングに受け流されてしまうが、ラングの剣は、一々マイコンの受けを弾き飛ばした。これはいかんと、マイコンは無理矢理鍔迫り合いに持ち込む。馬上で二人は押し合いとなった。


「バリ王国から来たな? よもや間者か?」


「いい線いってるぜ? それがし、怪しいものさ!」


「貴様、ふざけるなよ? ドイエベルンで禄を食むものとして、貴様は生かしてはおけぬ」


「そこの王族を誅殺しようとした奴が今更国に忠義かよ。笑わせてくれるぜ」


「無論承知。仕える主人が忠に値しないこともな」


「なら、変えろよ? なんでそんな無理してんだ?」


「それが、騎士というものだ!!」


 マイコンが剣を押す力を強める。


「それで負けてりゃ世話ねえな」


 ラングはマイコンの力の方向をすっと受け流した。


「ぐわっ!?」


 そしてマイコンの体が流れ、頭が下がったところに、無情な死神の鎌を振り下ろした。マイコンの首筋から鮮血が舞い、体がどさりと崩れ落ちる。ラングがはその姿をつまらなそうに見ていた。

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