地将の兵士
結局、烈たちはウルライヒに押し切られ、演習という形で将軍配下の兵士と試合をすることになった。烈たちは門の近くに併設されている演習場へと案内された。
「ひゅう! 敵地だな! これは」
「ああ、やりづらそうだ」
ラングと烈はその演習場を取り囲む将軍の兵たちを見て言った。誰も彼もこちらを目で殺そうとばかりに睨んできている。
「ひええええぇぇ。私たちが何かしたんでしょうかぁ?」
ルルに至っては既に少し涙目である。いざ戦うとなると、肝が据わるみたいなのだが、それまでは年相応の少女のようであった。
「ラング」
「どうした? レツ」
「地将の兵は強いのか?」
「うーん、そうだなあ......」
ラングが顎に手を当ててしばらく考えた。
「個の強さだけなら、この前の三軍の連中の方が強いだろうな」
「そうなのか?」
「ああ、なんせ奴らは、貴賤、素性関係なく集められた実力派ぞろいの集団だったからな。シバ将軍は軍の強さも重視する人だから、それなりに軍略にも明るかったんだろうがな」
「なるほど」
「だが、集団の---戦場の強さでいうならもしかしたら地将の軍の方が強いかもしれん。何せ相手はこの国を40年守り続けてきた、王国の守護者だ。連携はかなりのものさ」
「すると、この演習はもしかして......」
烈が言いかけたところで、副官---モラントが前へ進み出た。
「これより! マルサの街、武術大会の優勝者レツ・タチバナと王国軍北方方面軍との演習を始めます!」
高らかに宣言されたことで、三人の屈強な兵士が前に進み出た。
「全員、傷だらけだな。相当修羅場をくぐってそうだ」
「当たってるぜ。レツ。地将の軍は何より'耐える'ことが求められるからな。中途半端な攻撃は弾かれると思った方がいい。それにあの重装鎧と、槍だ。誰も彼もかなりの達人な上に、三位一体になって襲ってくる」
「俺たちはまだそんなに連携できないからな。なら、鎧の隙間への連撃か、一点集中だな。頼りにしてるよ? ルル」
「はい! 援護はお任せください!」
ルルがふんす!と気合を入れる。そうこうするうちにモラントが片手を挙げた。
「では! 準備はよろしいでしょうか?」
地将の兵士三人が槍を一列に構える。烈とラングは剣を抜いて構え、ルルも弓に矢を番えた。
「......始め!!!」
「はぁ!!」
モラントが言うと同時に手を下げるのと、ルルが真ん中の兵士目掛けて、矢を放つのは同時だった。




