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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゼロの逆襲

私はゼロ――いわゆる地球外生命体と呼ばれている存在だ。

今まさに我々が地球侵略を達成する一歩手前だ。


……侵略の進行状況は65%と言ったところか。


ものの数ヶ月で絶望に追いやられた――(なす)(すべ)もない地球人は、

今日も悲鳴を上げては逃げ惑っている。


『ゼロ……逃げて……』


全く……地球人というのは酷く脆い存在だ。

攻撃が掠っただけで、すぐ死んでしまう。


『ゼロ。私は君が好きだよ』


(もろ)い。脆い脆い脆い脆い脆い脆い!

なんて無様なのだろうか……?


同じ宇宙に生まれた生命体とは思えないッ!


『ゼロ。……愛してる』


一方――我々の種族は、地球人の攻撃など気にもならない。

この世界の銃は、未だに実弾を使っているそうだ。


光線銃(レーザーライフル)も作れないとは……まさに愚かな生命体よ。


何せ……この地球という星の宇宙船は……、

《ワープ》技術すら使えないと言うのだからな……。


……だというのに、私は今から地球人に手を()そうとしているのだ。


私はこの地球侵略の(とき)をずっと待っていた。

それは――今から地球時間で五年前の時だった。


◇◆◇◆


私には恋人がいた。セカンドという名前だ。

だが……セカンドは襲われ――恐ろしい目に遭わされた後――殺された。


しかしセカンドを奪った奴に復讐しようにも、私のチカラでは不可能だとすぐに悟った。


――我々の星では、能力値の順に名前が決められる。


能力値 《ゼロ》

これが、情けない私の名前の由来だ。

その名前の通り……私には種族の中では驚くほど能力が欠けている。


恋人だったセカンドは私よりも二段階ランクが上だと言うことになる。


セカンドは能力値ゼロである私をいつも(かば)ってくれた。

今思えば……弱い私に情けをかけてくれていたのかもしれない……。

私よりも(はる)かに強いセカンドが――私を好きになってくれる理由など、


それくらいしか考えられなかった。


だが、その優しく私を愛してくれたセカンドも……もう居ない。


セカンドを殺したフォースを私は――、


――――絶対に許しはしない。


五年後――未知の星《地球》への侵略が始まるらしい。

これはフォースによる計画だ。我々の星は資源が底を尽きようとしているのだ。


資源回収の為――手始めに地球を侵略することになったのだ。


「フォース、待っていろ」


お前にはチカラでは(かな)わないのだとしても――、


「……他にお前を殺す手段はあるのだからな」


私は図書館に()もり、ひたすら勉強をした。


◇◆◇◆


あれから五年。

地球侵略が始まってから数ヶ月が過ぎた……。


そして私は地球の研究機関に忍び込む。


「誰だね君はッ―――!?」


一人の研究員は私の姿を見て驚く。

そりゃそうだろう……私は見るからに宇宙人の姿をしているのだからな……。


それに気づいた兵士達は銃を構える。

だが、私は堂々と研究員の前に立つ。


「私はゼロ。貴様ら人間共に我々の技術を授けよう――――」


これは種族間による大規模な亡命であり反逆である。


「我々の全知識を――(さず)ける………!」


説得するのに随分時間が()かったが……まあいい。


現在の侵略の進行状況は65%

ここから――反逆が始まるのだ。









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