58話 曇天
孔明と対峙する、局部だけを葉っぱで隠した女性。
アダムが指を向けて叫んでいた。
「おい孔明! どうして裏切ったんだ! 理由を言え!」
露出の多いアダムをノーベルが凝視する中、孔明が静かに答えた。
「あなた方には関係の無い事と存じます」
そう言って2人は再び睨み合った。
アダムが女っていうのがなんか納得いかないなあ。
私やヒトラー、アンリも史実では男性だったが今は女性になっているから、別段おかしなことでは無いのだが……。
男の象徴とも言えるアダムが女ってのは違和感が凄い……。
アダムちゃんかぁ……。
私はそんな違和感を捨ておき、孔明の蜃気楼で姿を隠されているのをいい事に影から攻撃することにした。
私が空中でヒトラーを連れ、ゆっくりと移動し始めると、ノーベル達も同じように移動を始めた。
その時、孔明と睨み合いを続けていたほぼ全裸なアダムが口を開いた。
「そういえば……先程そこに現れた避雷針はこちらが出したものでは無いよな。なら……他に味方がいて蜃気楼で隠しているということでいいのかな?」
私たちの存在を予言するアダムが手を掲げると、先程まで青かった空に黒雲がたちこめた。
これは……まずい!
晴天から曇天に一瞬で変わると、まだ空に浮かぶ私たちをアダムの鋭い視線が捉えた。
蜃気楼は曇り空だと出現する可能性が低くなる。
つまり、天候を曇りにすることで蜃気楼の効果を弱めたのか!
「なるほど、そこに隠れていたか。これでも食らうといい!」
隠れていた私たちを見つけたアダムは雷撃と竜巻で攻撃を始め、それに対して孔明も反撃を始めた。
このまま空中にいても仕方ない。
やるしかないか!
私は予め決めておいたハンドサインで、孔明に私とヒトラーの浮遊を解除するよう求めた。
すると風で浮かばされていた私たちの体は、当然重力に従って引っ張られる。
このままでは地面に衝突して死んでしまうので、私はヒトラーの分も簡易的なパラシュートを建築して、安全に着地することにした。
数秒で地面に降り立った私は、気休めだが避雷針を数本建築し、孔明とアダムが争っている間に他の敵を倒すことにした。
いくらこの場で敵を倒しても、1分後にはこの場でリスポーンされる。
何人か倒したら機を見計らって脱出しなければな。
「ヒトラー、行くよ!」
私がヒトラーの方を振り向き着いてくるよう促すと、彼女は足が崩れるように倒れた。
「ヒトラー!? どうしたの!? 大丈夫!?」
まさか、敵の攻撃か?
私は慌てて当たりを確認し、敵の攻撃に備えて……。
「すぴー」
こんな状況で寝るなんて、この子は本当に!




