56話 愛の力
孔明と名乗る女性と彼女に抱きつかれるノートンを、私たち5人が囲んで取り調べをし、そこで抜き出せた情報をまとめていた。
「孔明の才能は気性を操るというもの。そして相手、4組の全ての偉人は判明。才能もほぼ全て把握済み……ね」
私は顎に手を当て情報を頭の中で反芻していた。
相手の4組は、あの石川五右衛門がいるクラスだった。
五右衛門、孔明、ビスマルク、本多光太郎の才能は事前に知っており、残りの6人の才能を聞き出したが……。
聞いたところ、服従状態の孔明を元に戻す才能を持っているやつはいなさそうだ。
これで、あの作戦が可能となるわけだ。
私はノートンの方を向き、先ほど指示したとおりに才能を行使するよう命じた。
「あとはノートン、お願いね」
「よかろう、我に任せておけ! 勅令である、この試験中は我に惚れ続けよ!」
ノートンがベッタリくっついている孔明に命令したが、特に変化は起こらない。
元々は1時間の制限付きで命じておいたので、効力が切れないよう延長したわけだ。
「はーい、ありがとねノートン。それじゃ、最後にまたお願い」
「ふはは、そんなに我の力を頼みとするか! いいだろう! 勅令である、孔明よ、我が指示に従いたまえ!」
私のお礼を煽てられたと勘違いしたアホなノートンが、再び才能を行使した。
「孔明よ、才能で敵陣地まで我々を運びたまえ!」
「……はい…………」
孔明は顔を赤らめながら返事をすると、右手を上げて風を起こした。
その風は私たち7人を空中に浮かび上げ、4組の陣地がある方向へと運んだ。
孔明の服従状態を敵が解除できないのなら、孔明にその手で敵を殲滅させることで、こちらの手の内を晒すことなく同士討ちをさせることが出来る。
私が考案した素晴らしい作戦を遂行するため、孔明に私たちを運んでもらうことになったのだ。
心地よい風が私たちをしばらくの間運び続け、目の前に私たちの本営と同じような建物が見えてきた。
孔明はそこで私たち7人の動きを止め、浮遊させたままにすると。
「孔明よ、全力で潰したまえ!」
「愛する人の為なら、なんだって可能と存じます。落雷」
臭いセリフで愛を宣言する孔明が、上げた右手を振り下ろし敵陣地にこれでもかというばかりの落雷を喰らわせた。




