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偉人たちの輪廻転生スクールライフ  作者: みらい
2章 生徒たちの質実剛健スタディーライフ
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51話 変質

 飛びかかってくる男の胸に、私は建築したナイフを投げつけた。

 私の素晴らしい投擲術により、そのナイフは寸分違わず男の乳首に命中した。


 男のHPバーがやや減少し、攻撃を受けグラついたところを、建築した槍で正中線上を的確について追撃した。


 男は後ろによろけながら、攻撃を受けた箇所からダメージエフェクトを散らした。


 私は後ろに飛んで距離をとり、鎧男を閉じ込めた部屋を指さし、ヒトラーの元によって耳元で囁いた。


「いま、私が1人あの箱の中に閉じ込めてるの。もう1人が最後の敵なんだけど、ヒトラーの才能で相手の名前と才能を見抜いてくれない?」


「分かりました、了解ですっ!」


 立ったままウトウトしていたヒトラーは、私に言われて目を覚まし敬礼した。


 私はヒトラーの才能で視線を合わせて思考を読み取って貰うまで、牽制でナイフを投げ続けた。


 高確率で命中するナイフ群から、敵は逃げることなく距離を詰めてくる。


 敵はナイフを避けることなく突っ込んでくるが……それだと直ぐにHPが削られてしまうぞ?

 何も策が無いのに突っ込んで来るか?


 私は目を凝らして敵のHPバーを見てみると、一撃あたりのダメージが最初より確実に減っていた。


 どういうことだ?

 なぜ一撃のダメージ量が減っている?

 まさか、相手の防御力が上がっている?

 だとしたらなぜ?


 私の頭をいくつかの疑問が駆け抜けながら、確認のためにナイフを投げるが、敵のHPバーはやはりミリしか減らなかった。


 そして私がもうひとつ気づいたことは、先程投げて命中し刺さっていたナイフが、やはり消えている。


 ナイフを消し、自己を強化する才能?

 それはいったいどんな偉人なんだ……?


 敵が私たち二人に近づいたとき、ヒトラーが大きな声で叫んだ。


「分かりました! あの人の才能は鉄血政策、っていうやつです!」


 鉄血……政策…………。

 そうか、そういうことか!


 私の中で全てがひとつに繋がった時、距離を詰めた敵の放った拳が私の目の前に飛んできた。


 私は前後にスポンジの壁を建築すると、後ろに飛んで衝撃を減らしつつ体勢を直した。


「どうやって俺の才能を解したか知らねえが……さっさと朽ちてもらうぜ」


 男は殴りつけたスポンジの壁を投げ捨てながらそう言うと、構えをとった。

 その体は明らかに会った時とは違い、固く変質していた。


 恐らく、才能で肉体を変質し強固にしているのだろう。

 明らかに人間のそれではない肉体になっているが、そこまで強化できる才能か。


 私は余裕を持った風に演じ、ヒトラーを指さしながら敵の男ブラフを吐いた。


「彼女の才能は全てを把握する才能でね。全知なのよ。隠されている事だって直ぐにバレるから無駄よ、ビスマルクさん?」


 私にビスマルクと呼ばれたその男が、一瞬だけ眉をひそめたのを私は見逃さなかった。


 やはりこの男はオットー・フォン・ビスマルク。

 ドイツの宰相で鉄血政策を打ち出した人物。


 才能は恐らく、『鉄や血を消費して自己を強化する』ものだろう。

 私が投げた鉄製ナイフが消え、敵が攻撃を受ける度に硬くなったのはそういうことなのだろう。


「まあいいさ。たとえ俺の才能がわかったところで、お前らに俺を倒すことはできない」


「それはどうかしらねー。まだこちらには隠してる技があるかもよ?」


 更に肉体を変質させ硬化させるビスマルクに、私はまたしてもブラフを吐いて相手を焦らせることにした。


 確かに相手の言う通り、才能は相手の方が有利だ。

 だが、こちらの情報を漏らさねば、いつかは好機が生まれるかも……!


 鉄剣を建築し構える私に、戦闘系の才能を持たないため少し離れたところにいるヒトラーが呼びかけてきた。


「ガウディさーん、頑張って倒してくださいねー!」


 どうして名前を言うんだあああああああああ!!


 私は背を向けたまま、残念な頭のヒトラーに頭を悩ました。


「ガウディさーん? もしもーし、聞こえてますかー? もしもーし、アントニオ・ガウディさーん!?」


 なぜか私の名前をフルで連呼するおバカなヒトラー。


 もうやめてくれ……やはり私がフラグを建ててしまったのが悪かったのか……。


「おい……ガウディとやら。なんか呼ばれてるぞ。応えてやれよ」


 終いにはビスマルクにも気を使われる始末。


 もうお終いだ……私の才能も予測されて負けるかもなあ……だとしたら、せめて相打ちに……。


「ところでアントニオ・ガウディってどんな偉人だ? プロレスラーか何かか?」


 痛む頭を抑える私に、答えるわけもないのに何故かビスマルクが聞いてきた。


 …………こいつもバカでよかった!

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