43話 小テスト
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明日からゴールデンウィークという日、今日はノイマン先生の授業が入っていた。
「それでは、今から小テストを始めます。今日まで習ってきたことを問題にしているので、間違えた問題はゴールデンウィークの間に復習しておいて下さいね。ゴールデンウィーク期間中は課題も出すので頑張って全てやって来てくださいね」
ノイマン先生が小テストを配りながら、分厚い数学の課題冊子を見せてきた。
うわぁ……結構あるなー。
休みの間はずっと遊びたかったけど、高校生になったらやはり課題の量は増えるのだろう。
私はペンをとり、小テストを解き始めた。
まずは因数分解の小問が10個ほど。
これは直ぐに終わった。
次は確率か……サイコロを2つ同時に転がす時……。
私が集中して問題を解いていると、隣から寝息が聞こえてきた。
「すぴー。すかー。」
気持ちよさそうな顔で眠るヒトラーが垂らすヨダレが、小テストのプリントにかかっている。
私は先生に見られないようにしながら、ヒトラーの肩をつついた。
これで起きてくれるといいのだが……。
私はヒトラーをつつくとすぐにペンを握り、ヒトラーを横目で眺めた。
ヒトラーは半分だけ起きたような顔で、コックリコックリしながら問題を解いていた。
なぜ彼女は授業中にここまで寝るのだろうか。
私は全ての問題を解き終えると、机の上に法隆寺を建築して遊んでいた。
ノイマン先生にめっちゃ見られていた。
──放課後、寮までの帰り道。
「ねぇガウディ。ガウディってさ凄く可愛いよね。勉強教えてくれない?」
「私もガウディさんはとても可愛いと思います! 勉強教えてください!」
小テストで散々な結果を取っていたアンリとヒトラーが、見え見えのお世辞をいいながら教えを請うてきた。
「そんなお世辞は意味ないわよ。2人ともいつも授業を真面目に聞いてないのが悪いんでしょ? 私は知らないわよ」
バッサリ断る私に、ヒトラーが涙目で訴えてきた。
「ガウディさん……お願いします。私、ガウディさんに教えてもらわないと授業中寝れなくて……」
んん……そんな顔をされると……今なんて言った?
可哀想な顔をするヒトラーに若干心が揺り動かされそうになったが、授業中寝れなくなるのならそれもいいだろうと思い直した。
「ガウディってば冷たいなー。まあいいや。私とヒトラーで高級なお菓子でも食べながら勉強するや」
「そうですね。ガウディさんは体重を気にしてますし、誘わない方が良かったですね」
2人を置いて寮に帰ろうとする私の足が、二人の会話を聞いてピタリと止まった。
「いやー残念だねぇ。せっかく美味しいケーキとか買ってきてるのにねー」
「ですよね。ネットで人気の、なかなか手に入らないやつなんでしたよね?」
「そうそう。めっちゃレアなんだけど買えてよかったよ」
私の後ろで私に聞こえるように会話する2人だが……私はそのくらいでは心は動かない……たぶん……。
「仕方ないね。2人で勉強会やろうか。ケーキの分け前も多くなるしね」
「いいですね! 私が3分の2食べたいです!」
「えー、半分半分でしょ? それはヒトラー食べ過ぎでしょー」
談笑する2人の話を聞いても……私はちっとも羨ましくなんか……ならないし…………きっと……恐らく……。
いや、決めた。
私はゴールデンウィークの間に5キロ痩せると決めたんだ。
ケーキなんかに釣られず、自分だけで勉強するとキッパリ言ってしまおう。
私は2人の方を振り向くと、今回は勉強会に参加しないという旨をしっかりと伝えるべく……。
「ねぇねぇガウディ、高級オレンジジュースとか高級シュークリームもあるけど本当に来ないの?」
「行くぅ…………」
私は欲望に敗北した。
並外れた天才は、 凡人に対して配慮する必要は無い。
(アドルフ・ヒトラー)




