35話 キング
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ラミレスと二人して麻痺して動けなくなり、ずっと固まって過ごした次の日。
今日の仮想空間での特訓授業は、同じ場所にリスポーンした。
隣にはずっと同じ場所にいたためラミレスもおり、2人でのスタートとなった。
「よし、それじゃあ移動するからこのベビーカーに乗ってねー」
私は建築したベビーカーを、ラミレスの隣まで押していった。
「ですから、私はそれには乗りませんわ。ベビーカーではなくて、車椅子でどうですの?」
「ラミレスに車椅子は早いよ。自分の才能を上手く操れなくて自滅するだけじゃなく、昨日私に向けて吹き出した麻痺効果の唾も自分で喰らってるマヌケさんだからね」
「ですから、アレは唾じゃありませんわ! 私が上手く才能を扱えないのではなくて、私の才能が扱いにくいだけですわ!」
また面倒くさいこと言い出したラミレス。
面白いから早くベビーカーに乗ってくれたらいいのに。
「まあいいや。私一人で行くから頑張ってね」
私は地べたに寝転がるラミレスに手を振り、街の外へと歩きだそうとして。
「勅令である! この街に居る者は我を見て姿勢を正せ! これより皇帝である我に続き、魔王城を目指す!」
歩きだそうとした体が急に反転し、ラミレスと共に気をつけして街の中心にある建物の屋上を見た。
そこには、マントをたなびかせるジョシュア・ノートンが立っていた。
体調の悪いラミレスも、ノートンの強制的に服従させる才能により立ち上がることが出来たようだ。
そうだ。
ノートンをパーティに引き入れて、ラミレスを自分で歩かせよう。
我ながら鬼畜なことを思いついたが、ラミレスもノートンも居ないよりかはマシかもしれない。
「よし、ラミレス。車椅子建築してあげるから、ノートンの元まで行くよー」
「ノートンと合流するんですのね。それなら構いませんわ」
ラミレスに許可を得た私は、車椅子ではなくベビーカーを建築し、そこにラミレスを投げ入れて出発した。
「ちょっ、ちょっ、ガウディさん!? 降ろして欲しいですわ! 止まって欲しいですわ────」
「──やっほーノートン。何してんの?」
ノートンのいる建物の前でベビーカーを解体し、お姫様抱っこでラミレスを運んだ私は、屋上にいるノートンに話しかけた。
「なんだガウディか。このノートン様に何か用かな? 今初めて街に着いた我が、魔王を倒すための兵士を集うところだ。このノートン様の人望にかかれば、直ぐに大軍を組織できようぞ!」
ノートンはあごひげを弄り回しながら、声高らかに笑った。
ノートンの人望ではなく、才能によって集まってきているのだが……。
私は建物の下に武装して集まるNPCの村人たちを見下ろしながら、考えていた。
この人数なら道中の移動は安全になるかも知れないが……人数が多ければ多いほど、移動時間は増えるものだ。
現在100人近くの勇士が集まってきているが、これくらいの人数が同時に行動できる限度じゃないだろうか。
「ノートン、100人近くいるっぽいし、これで魔王城に向けて出発しない? まともに動けないラミレスはノートンの才能で無理やり歩かせてさ」
「ガウディさん、なんてことやらせるつもりですの!? 私に無理やり歩かせるなんて鬼畜ですわ! 鬼ですわ!」
私の提案になぜかラミレスが反対してくる。
「ノートン、ラミレスが才能を行使する前に命令して!」
「このノートン様に任せておけ! 勅令である! グロリア・ラミレスは我に続いて歩け! 勇士の諸君は魔王城を目指して我に続けー!」
空に向けて命令したノートンは、大量の仲間を釣れて私たちと共に魔王城に向けて街の門をくぐった。
ジョシュア・ノートンは、この合衆国皇帝であることを自ら宣言し布告す。
(ジョシュア・エイブラハム・ノートン)




