30話 雷炎
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私は魔王らしき者に不意打ちの斬撃を喰らわせると、後退して距離をとった。
「なっ、いきなり何してるなりか」
私の後ろから、忠敬が遅れて城に入ってくる。
何するも何も不意打ちしただけだけど?
私に前頭部を殴打された魔王っぽいやつは、傷口を手で押えながら私の方をキッと睨んだ。
「いきなり何をするか人間ども! この魔王様に不意打ちを喰らわしたこと、後悔させてくれるわ!」
怒り顔の自称魔王は、叫ぶと同時に開いた両手の間に黒く輝く炎を生み出した。
何故こうも私が非難されなければならないのか。
不意打ちだって立派な攻撃手段だろうに。
私たちが対峙していると、魔王が生み出す闇の炎が、みるみる大きくなっていった。
更に、その炎は雷を含み、とてつもないエネルギーを有していることがわかった。
これはヤバそうだけど……一撃で死ぬやつかな?
まだ私のレベルは1だし、ここは回避するなり忠敬を盾にするなりで……。
私は魔王と睨み合ったまま、それが放たれるタイミングを見切ってすんでのところで躱せるよう身構えた。
「さぁ、我が闇の雷炎を喰らうがいい、勇者ども! 必殺奥義、ダークフラ」
魔王は厨二病チックな技名を叫び終える前に、私に向かってその炎の塊を投げつけた。
卑怯にも不意打ちしてくるクソ魔王の攻撃を、完全にタイミングをずらされた私は躱すことが出来ず。
迫ってくるそれを目で追いながら──。
──目の前が暗転した。
目を覚ますと、私はフルダイブ機械に座っていた。
まさか、一撃で死んだ?
さすがは魔王の必殺技だ。
私が一人感心していると、蓋をしているガラスケースが開き、外に出れるようになった。
「あ、ガウディおかえりー。中継見てたけど、不意打ち喰らっててちょーうける」
頭の後ろで手を組みながら腹立つことを言ってくるアンリが、椅子に座ったままの私に寄ってきた。
「ガウディさんお疲れ様です! まさかもう魔王城まで行くなんて凄いです!」
興奮気味のヒトラーも、ポップコーン片手に寄ってくる。
「まあ私ほどになれば余裕だよ。明日には絶対クリアしてやるから」
天狗になってそう言う私には、1つの作戦があった。
明日はこれで魔王を即死させてやる。
レベル1でも、才能の使い方次第で魔王を倒せることを見せてやる!
私は席を立つと、バカな死に方をした二人とともに、プロジェクターで観戦する脱落者組の仲間に入った。
ヒトラーたちはここで私の活躍を見ていたのか。
授業時間が終わるまで、私もここで観戦していよう。
私は建築したフカフカな豪華椅子に座ると、観戦を始めた。
そういえば、私と一緒にいた忠敬はどうなったのだろう?
私たち女子3人と、先に死んでいたノートン、そしてノイマン先生しかここには居ないし、まだ死んでないのだろう。
私は複数あるプロジェクターの画面から、忠敬が映っているものを探し出すと……。
私が見つけた忠敬は、猛ダッシュで魔王城から逃げていた。
この野郎。
私が一撃で負けたのを見て、恐れをなして逃げやがったな。
後で帰ってきたら蹴り飛ばしてやる。
私はイライラを募らせながら、授業時間が終わるまで観戦を続けた。
満足だけが、唯一の富である
(アルフレッド・ベルンバルド・ノーベル)




