29話 VS魔王
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「よーし、やっと魔王城に着いたねぇ。疲れた疲れたぁ」
私の乗る台車を忠敬に押してもらって苦節数分。
私と忠敬は、魔王城の前に辿り着いていた。
城と言うには小さすぎるそれは、学校の体育館ほどの大きざだった。
全てが黒で出来ているそれは、禍々しい雰囲気を醸し出していた。
私はそんな魔王城の入口へと続く階段の前にたち、口を開けてそれを見上げていた。
私が建築する魔王城のほうが、絶対かっこいいわ。
先程から静かな忠敬の方を、ふと見てみると。
「はぁ……はぁ…………やっと、着いたなりね…………」
やっと声を出せるようになったのであろう忠敬は、膝に手を付き、肩を上下させて荒い息を吐いていた。
私はそんな忠敬を見下ろしながら。
「なに興奮してんの気持ち悪い」
「今は……疲れてるから……はぁはぁ…………突っ込ませるな、なり…………」
思ったことを素直に告げるも、忠敬は息を切らせたままツッコミを拒否した。
むぅ、こいつはボケないから、私がボケ倒せると思ってたのに、ツッコんでくれたいとボケれないじゃないか。
忠敬の体力を回復させるには……アンリの才能でどうだろうか。
今ここにアンリは居ないが、どうにかして合流出来ればヒーラー役として活躍してくれるかも……!
私はメガホンを建築し、空に向けてアンリの名前を叫んで呼び寄せようとすると、突如ノイマン先生からのアナウンスが入った。
『皆さんに報告です。頬を赤らめながらゴブリンにどつかれていたアンリさんと、女ヴァンパイアを支配して侍らせるも全ての血を搾取されたノートン君、自らの毒が効きすぎたラミレスさんが倒れました。この時間は残り6人で頑張ってくださいね。それでは、健闘を祈ります!』
うちのクラスメイトはなんて使えないのだろうか。
性癖のままに行動したアンリ、性欲のままに行動したノートン、才能を上手く扱えないラミレス。
アホ3人が直ぐに脱落してしまった。
また参加出来るにしても、倒された理由がアホすぎる。
3人とも、才能自体は強いのに、なぜ本体がああなのか。
少しは私を見習え。
私は右手に枝を建築し、未だに息を切らせている忠敬の尻をそれで叩いた。
「さあ、魔王城の前まで来たんだし、早速中に入るよー」
「ガ、ガウディ殿は鬼なりか……も、もう少し休息を取らせて欲しいなり……」
情けないことを言う忠敬の尻を引っぱたき、扉へと続く階段を登った私は魔王城の扉をそっと開けた。
重厚な黒い金属でできた扉をゆっくりと押すと、それが開ききったとき。
「よくぞここまで辿り着いたな冒険者諸君! さあ、我が闇の力で眠るが良い!」
私は急いで扉を閉めた。
いま何か変なのがいた。
なんか魔王っぽいのがいたけど、扉を開けていきなり居るわけないよね。
いくら魔王城が小さめだからって、城の中に魔王の部屋しか存在しないわけじゃないよね。
私は再び扉をゆっくりと開け……。
「よくぞこ」
私は急いで扉を閉めた。
また変なのがいた。
どうしようか…………そうだ。
「ちょいちょい忠敬はん。この扉を開けてくださいな」
だいぶ疲れが取れてきたのであろう忠敬の元に戻り、私は彼に頼んだ。
事の顛末を全て見ていた忠敬は、私と扉の前まで来ると、言いたい何かを堪えているような顔で魔王城の扉を押し始めた。
私は扉を押す忠敬の後ろに立ち、右手にY字型の枝で出来たパチンコを建築し、中くらいの石ころを1つセットした。
忠敬が扉を開ききると。
「よくぞこ」
固定されたセリフなのか、3度目の口上を述べ始めた魔王らしき者に、私は石を撃ち込んだ。
そのまま忠敬の背を踏み越え、建築した鉄剣で斬りかかった。
戦闘開始!
我々は敵を根絶する。
根こそぎに。容赦なく。断固として。
(アドルフ・ヒトラー)




