24話 VR
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下着泥棒から教室へと逃げ帰った私は、ヒトラーたちと昼ごはんを食べたあと、午後の授業に臨んでいた。
教頭室でこってり絞られたであろうノーベルと、クソ爆弾を説教していた、疲れ顔のノイマン先生も既に教室に戻っている。
2人ともかなり落ち込んでいたり疲れていたりするが、何があったかは聞きたくない。
どうせ碌でもないことだろう。
校長先生の方に行けてラッキーだった。
「えー、おほん。それでは、午後の授業を始めます」
ノイマン先生が咳払いをし、姿勢を質して話を始めた。
入学2日目の今日までは、ほとんどがホームルームだ。
明日から授業が開始されるので、それについての説明などなどがあるのだろうが……。
ノイマン先生は襟を正し、生徒たちの方を向いてどこか言いにくそうに。
「えーっと……先ほど配った時間割の通りに、明日から予定されていた授業なんですが……えっと……しばらく延期されることになりました」
先生の発表を聞くと、生徒たちがザワつき始めた。
では、私もそれに乗っかって。
「ざわ……ざわ……」
「あの……ガウディさん? 何してるんですか?」
隣の席のヒトラーが、不思議そうな顔で尋ねてきた。
「何ってカ〇ジだけど?」
「すみません、私が勉強不足なせいかどうか分かりませんが、分かりません」
ヒトラーが申し訳なさそうに頭を下げてくるので、とりあえず撫でておく。
私がふざけ終えると、生徒のザワつきがゼロになり、こちらを見て待っていた先生が再び話を始める。
「しばらくと言っても、1週間もかからないとは思います。延期する理由としては、先生たちがそれぞれ新しく手にした才能を、私利私欲のために用いて遊びたいとの要望が多かったからです。校長先生は昨日の会議でそれを渋々受諾され、このような結果になりまして……」
そうか、先生たちもこの学園ができると同時に偉人に成り代わったのだ。
となると、私たちと同じように新たな才能を試したくもなるだろう。
要望が多いということだし、多くの先生がそのような状況なのだろう。
そして校長先生もあの性格だ。
強く押されてはダメとは言えないだろう。
まあ気持ちは分かるが……。
しかしそれは……職務放棄では……?
私がウンウン唸っていると、ノーベルが椅子を蹴って立ち上がった。
「てぇことは、これから授業がない日が続くんだな! だったら寮に帰って遊ぼうぜ! ヒャッホゥ!」
「ノーベル君、落ち着いてください。授業は行われませんが、学校には来て頂きますよ」
ノイマン先生の一言で、エベレスト山頂にあったノーベルのテンションが、刹那の間にチャレンジャー海淵の底まで沈んだ。
「授業は行われませんが、昨日お話した実技テストの練習を行えばどうかという結論が、昨日の会議出ました。筐体に座りVRゴーグルをかけ、慣れるために仮想空間でバトルする練習を行ってもらいます」
先生が笑顔でそう言うと、2組バカ代表のアンリやノーベルが目に見えて落ち込んだ。
どうしてそんなに学校に来たくないのだろうか。
授業で新たな知識を得ることは楽しいだろうに。
バカとは一生分かり合えないようだと、私が思っていると。
「それでは皆さん、着いてきてください。これから技術科のエジソン先生が作った機械のもとに行きましょう。そして、仮想空間の中で魔王を倒すゲームをしてもらいます」
ゲームというワードが出てくると、落ち込んでいたバカたちが再びエベレスト山頂どころか、太陽系で一番高い山のオリンポス山頂上までにテンションを持ち上げた。
どうしてこいつらはここまで単純なんだろう。
私はヒトラーに同意を求めようと、肩をつつくと。
「すかー」
何となく予想はついていたけど、やはり寝るのが早いなこの子は。
「それじゃあ皆さん。今からこの校舎にあるVR室に行きますよ。寝ているヒトラーさんを起こして連れて行ってくださいね、ガウディさん」
VR室というパワーワードを発した先生に続き、クラスメイトがぞろぞろと教室を出ていく中。
仕方ない。
先生に頼まれた事だし、ヒトラーを起こして私も急ぐとしよう。
私はヒトラーの肩を揺さぶるが……。
私はあの手この手でヒトラーを起こすのに10分かかった。
神は恐らく存在するでしょう。
多くのことが、神が居ないと仮定した時よりも、居ると仮定した時の方が、簡単に説明がつきやすいのでね。
(ジョン・フォン・ノイマン)




