23話 大盗賊
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校長室から出た私たちは、ニュートン先生とも分かれ、3人で廊下を歩──
「──だから私のパンツを早く返しなさいクソ泥棒! さもないと海に沈めるわよ!」
「ガウちゃんのは上げるから私のを返してよ! じゃないと上空1万メートルに転移させるよ!」
「うるせぇ! あれは俺のもんだ! 貴様らにはやらん!」
く事がまったく出来なかった。
私とアインは、昨晩五右衛門に下着を盗まれたので、こうやって返すよう脅……説得をしているのだが……。
一向に返す気配のないクズ野郎から、どうやって変換させようか考えていると。
「もういいもんね! 私がワームホールを虱潰しに男子の部屋に繋ぎまくって、ゴエ君の部屋を見つけちゃうもんねー! ガウちゃんの分も取り戻すから、足止めよろしくね!」
ゴエ君ってなんだ。
アインはそれだけ言い残すと、速やかに展開したワームホールへと、輝く公式と共に潜っていった。
「ちょっ! 私一人に丸投げしないで!」
私も慌ててワームホールに飛び込もうとするも、すんでのところでそれは消滅した。
「クソっ! だが部屋がわかったとしても、隠し場所はわからんだろう! さっさと貴様を倒して寮の部屋に戻らせてもらてもらうぜ!」
授業時間中にもかかわらず、無断下校宣言をする五右衛門。
そのまま両手を広げ、私にジリジリと迫ってくる。
「くっ! 鉄格子を建築!」
私は鉄格子を建築し五右衛門を拘束すると、廊下を一目散に駆け出した。
あんなバカに構っている暇はないし、あれ以上関わったら、またパンツを盗られかねない!
「何すんだ貴様、待ちやがれ!」
後方から叫び声が聞こえるので振り返ってみれば、どうやって脱出したのか、五右衛門が走って追いかけてきた。
どうして下着泥棒は鉄格子から脱出出来たのだろうか?
上手く囲えなかった?
まさか、私に限ってそれはない。
走り来る五右衛門の後方には、一部分だけ崩壊した鉄格子が。
盗みの才能で鉄格子を壊した?
どうやって?
考察がまとまらないまま私は鉄格子を解体し、全力で走り続けた。
ここは先生たちの校舎。
校舎外にでて2組の校舎に行っても……追い返すのにまた苦労しそうだ。
ここはどうにかして巻きたいが……。
女子トイレに潜る?
いや、あいつは馬鹿そうだし、入ってくるかもしれない。
どこかに隠れるよりは、足止めさせている間に逃げるのがいいだろう。
そして何より、才能を行使せずに走って追ってくることが……。
「待ちやがれ! 黒パンガウディ!」
「そんなふうに呼ぶな!」
私は五右衛門の前方の廊下にトリモチを建築し、足止めを図った。
しかし、五右衛門がトリモチに手を伸ばすと、青白い光がその手を包み……次の瞬間にはトリモチは消えていた。
やはり盗みの才能で消しているようだ。
考察はあとにして、今は逃げることに専念しよう。
またトリモチを建築しても、すぐ消されるだけだし…………そうだ!
「おっしゃ、もうすぐ追いつくぞ! 今日のオカズもゲットだぜ!」
「しつこいわねストーカー泥棒! これでも読んでなさい!」
最低な下ネタを叫ぶ五右衛門の目の前にエロ本を幾つか建築し、私は再び駆け出した。
「バカヤロウ! 誰がこんなもんで追いかけるのをやめるかよ! でも今日のところはこれで許しておいてやらぁ!」
私が振り返ってみると、せっせとエロ本の回収に勤しむ五右衛門の姿が。
やはり男はその程度の存在なんだ。
下半身に忠実なやつしか居ないんだ。
五右衛門が全てを拾い終わる前に教室に戻るべく、私は教室へ走っていった。
「おいガウディ! 何だこのエロ本は! 中身が全部白紙じゃねぇーか! 新しいの建築しろやください!」
【偉人紹介15 石川五右衛門】
〈作中〉
唐草紋様の髪を持ち、大きなしめ縄を腰に巻き、和服を羽織った男。
4組の生徒で、ガウディたちと同じく夜の学校に潜入するような問題児。
才能を用いて女性の下着を盗む犯罪者予備軍。
ノーベルといい勝負の変態。
〈才能〉
対象に手を伸ばすことで、万物を盗むことが出来る。
盗みの対象に条件はなく、どんな大きさでも、どんな重さでも、概念でも、空間でも盗むことが出来る。
盗んだものはストックさせることが可能で、消滅したように見せかけることも出来る。
ストックは物体としてでは無く、脳にデータとして蓄積されていくため、上限はない。
〈史実〉?~1594
安土桃山時代の盗賊。
京都三条河原で釜茹での刑に処されたとされるが、実在したかどうかは定かではない。
伊賀忍者であるとの説もあり、筆者はこれを推している。
彼が処刑されることになった理由の一説に、豊臣秀吉を暗殺する計画を立てていたから、という説がある。




