20話 悪魔は静かに笑う
ブックマーク、ランキング投票よろしくお願いします!
くだらない言い争いを続けていた私たちは、沖田さんに朝食を作って貰えず……。
恥を全力で投げ捨ててまで敢行した土下座もスルーされ。
結局私とクソ爆弾は、作って貰えなかったため自分たちで作った黒焦げのトーストと、私とヒトラーが遊んだせいで生じた10枚の半焼けトースト、ウズラの卵製目玉焼きを完食したのだが……。
「…………うぷっ……、やばい……吐きそ……」
私はフラフラになりながらも到着した教室で、机に突っ伏していた。
「ダイジョブだよガウディ。もしもの時は私が治してあげるから」
アンリが私の背中をさすりながら、優しく言いかけてくれるが……。
そんなことをされると出そうになるのでやめて欲しいし、戻したあとはスッキリなので治すものも無いのだが……。
どうせなら、今のこの状況を治して欲しい……。
「ガウディさん、大丈夫ですか? 食べ過ぎちゃったんですね……。でも、あの半焼けトーストは自業自得かと…………」
ヒトラーが申し訳なさそうな顔で、指をモジモジしながら心配してくれた。
自業自得と言われても、あれを産んだのは私とヒトラーなのだが。
なに一人だけ責任逃れしようとしているのだろうか。
私はそんなことを思いながらも、気持ちの悪さゆえに口を開けず、黙り込んでいると……。
教室のチャイムが鳴り、全員揃っているクラスに先生が入ってきた。
長い銀髪をたなびかせ、教卓の前に立った先生は。
昨日よりも、何だかクマが深く……にも関わらず、清々しいような笑顔で……。
何があったのだろうか?
あっ、昨日私たちが夜の学校に潜入したせいか!
それで睡眠時間が削られ、私に脅かされたせいでこんなに不安定な精神に……?
私が怯えながら先生の顔を見つめていると。
「みなさん、おはようございます。全員出席しているようなので、話を始めますね。みなさんこちらを向いてください」
その長い銀髪の先をユラユラと揺らしながら、黒い笑みを浮かべ出したノイマン先生。
あ……これは激おこ怒髪天だ……。
私は背を縮こまらせて、前の席のアンリの陰に隠れようとした。
くっ、アンリの背が小さいせいで上手く隠れられない!
あとでアンリには牛乳を沢山飲ませて、身長を伸ばしてもらおう。
「みなさんも知っていると思いますが、悲しいお知らせが2つあります」
怖い笑顔を絶やさないまま、先生が話を始めた。
「まずは……昨晩、学校に侵入して職員室の資料を漁り、散らかすだけ散らかして帰った人が居ます」
私はその言葉を聞いて、肩がビクンと跳ねた。
ヤバい!
完全にバレている!
今一瞬、目が合った気がする!
私が顔を俯かせ、なんて言い訳しようかと思考を巡らせていると。
「先生! それはガウディです! 俺見ましたもん! 夜の学校に向かっていくガウディを! 因みに、俺たちクラスメイトは止めました! しかも俺はガウディに拘束されていたので、手伝うことすら出来ませんでした! さぁ、思い切り説教してやってください!」
ノーベルが椅子を蹴って立ち上がり、手を挙げて先生に告げた。
コイツ!
何が俺たちは止めました、だ!
クラスの民意で潜入して欲しいと言ってたじゃないか!
しかも説教してやってくださいだと!?
こいつは後で海に沈めてやる!
私がノーベルを睨みつけ、ガルルル……と威嚇していると。
「ノーベル君、その真偽はさておき、後者を爆発したあなたに、近隣住民から多くのクレームが来ています。それについて、ガウディさんと一緒に説教を受けてもらいます。さあ、2人とも来てください」
ノイマン先生がコメカミをひくつかせ、頭から生えているツノをピクピク震えさせながら、キレ気味に答えた。
先生はキレると笑顔になるタイプなのか!
てか、あいつに近隣住民からクレームが来てるのか。
それはざまぁないわね!
私だけに罪を被せようとした罰よね!
「2人とも、今すぐ校長室でお説教ですよー。特にガウディさんは……私にあんなこと叫ばせておいて……分かってますよね?」
先生はクラス名簿を手に取り、教室の前のドアのもとに寄り、私たち二人を呼び寄せた。
「先生! この違法建築娘に何を叫ばされたんですか!? 教えてください! 教えてくれないと気になって授業中に寝れません!」
興奮したノーベルが、再び椅子を蹴って立ち上がり叫んだ。
「えぇ!? そ、それは秘密です! さあ、2人とも今すぐ行くんですよ! 来てください!」
先生はノーベルの問に対する答えをはぐらかし、紅潮した顔で私たちに手招きする。
「ちょいと聞きなよノーベルどん」
「なんだい、ガウディはん?」
私はエセ江戸弁でノーベルにコイコイと手招きをし、クラス中に聞こえる声で。
ノーベルは腹立つし嫌いだが、先生を煽るために少し休戦協定を結ぶことにして。
「先生はね、学校に潜入した私に脅かされて、犯されるーって叫んじゃったのよ。それはもう、大きい声でねぇ」
「あらまぁ、それは大変ねぇ」
私とノーベルが、奥様方の井戸端会議のような小芝居をして先生を恥ずかしい目に合わせると。
「な、ななな……そ、そんなこと言ってませんからね! 私を揶揄ってないで、行きますよ!」
先生は顔を真っ赤にして、私たちを力づくで連れていこうとするのか近寄ってきた。
私は、先生が近づくより先に。
「ノートン! 才能で尋ねて!」
ノートンのもとに駆け寄り、服従させる才能で、先生に真実を告げるよう命令してもらうことにした。
「このノートン様に任せておけ愚民ども!」
誰が愚民だ、クソ髭皇帝。
「勅令である! 先生、今日の下着の色は!」
「ねぇ、何聞いてんの?」
「黒です。って、な、何てこと言わせるんですか!」
ノートンは脳細胞が少ないためか、はたまた欲望に忠実なためか、私の頼みを理解出来なかったらしく、先生に下着の色を暴露させてしまった。
き、気の毒に……。
ノーベルたち男子が鼻の下を伸ばして先生の胸やお尻を凝視しだして……ちょっと私もやりすぎたかな。
私が昨日のことも含めて謝ろうか悩んでいると。
沖田さんがノートンの背中に峰打ちを食らわせ気絶させ、私とノーベルに抜き身の刀を向けると。
「話が進まんだろう。いいから先生について行き、こってり絞られてこい」
いつにない殺気を私たちにあてて呟くので、殺されないように両手を上げた私たちは、未だ顔の真っ赤な先生の後ろをついて、後ろから沖田さんに脅されながら校長室へと向かった。
私の巨額の遺産相続は、不幸と考えている。
それは単に、人々の能力を鈍らせるだけだ。
(アルフレッド・ノーベル)




