★18話 衝撃! 我が家の朝ごはん
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自室で騒いでいたところを沖田さんに注意された私たちは、あの後それぞれが自身の部屋に戻って寝ることにした。
そして次の日、ぐっすりと眠り目が覚めた私は、ヒトラーと共に寮の台所に立っていた。
寮で暮らす10人は、2人1組の5グループに分けられ、炊事、掃除、洗濯の三仕事を一日おきに交換し役割分担しているのだ。
そして本日は、私とヒトラーのペアが、食事係という訳だ。
私たち『お料理探検隊』は並んでキッチンに立ち、料理を始めた。
「ヒトラー隊員、今から朝ごはんを作ります」
「はい隊長! よろしくお願いします!」
隊長の私は、エプロンを着ながらヒトラー隊員に料理の開始を宣言した。
すると朝にも関わらず、エプロン姿の元気なヒトラーが手を挙げて答えた。
基本的に寝坊助なヒトラーだが、朝は強いのだろうか。
「ヒトラー隊員。今日はトーストと目玉焼きを作ります」
「トーストと目玉焼きですね! 誰でも簡単に作れて定番の美味しいやつです!」
再びヒトラー隊員が手を高くあげて答える。
既に何名かがリビングでダベっている中、私たちはまず、食パンを焼くことにした。
「ヒトラー隊員。まずはトーストから作ります。食パンを用意してください」
「食パンですね!」
私がヒトラーに指示すると、ヒトラーが5枚切りのパンの袋を2つ、棚から持ってくる。
1人1枚ずつで、一日に計10枚必要なのだ。
「まずはこれを焼きます。焼く時には……」
「フライパンの出番ですね!」
色々と常識の欠けているヒトラーが、おかしなことを言い出した。
フライパンで食パンを焼いてはダメだ。
なぜなら……。
「ヒトラー隊員、フライパンで焼くと1枚ずつしか焼けません。食パンは電子レンジで、複数枚を同時に暖めるのがセオリーです」
「なるほどです! さすがガウディさんです! 物知りです!」
ヒトラーに褒められ鼻高々な私は、2袋のパンを袋ごと五つ全て電子レンジに詰め込んだ。
後はこれを10分くらい加熱すればいいだろう。
ダイヤルを回しセットし終えると、次に目玉焼きを作ることにした。
「ヒトラー隊員。次の目玉焼きにこそフライパンを使います。用意してください」
すると、ヒトラー隊員は私に言われたとおり、冷蔵庫からフライパンを出してきた。
「隊長、褒めてください! 昨晩のうちから冷たくしておきました!」
私は嬉しそうな顔で笑う、ヒトラー隊員の頭をよしよしと撫で、フライパンをコンロにセットした。
「さすがヒトラー隊員ですね。素晴らしいです。よしよし。ではここに、油をひきます」
私が説明をし終えると、すぐにヒトラー隊員が箱に入った油を持ってきた。
私はそれを受け取り、手元にバターナイフを建築した。
私はヒトラー隊員から受け取った箱の中からマーガリンを出し、フライパンの表面に塗り終えると、いよいよ卵の出番となる。
私がヒトラーに卵を取り出すよう言おうとすると。
バン、という何かが爆発したような音が電子レンジから聞こえてきた。
「隊長! 大変です! 電子レンジに入れたパンの袋が爆発してます!」
爆音がしてすぐに、電子レンジの中身を確認した優秀なヒトラー隊員が、報告してきた。
一体なぜ爆発したのだろうか。
パンの袋を開かず熱すれば、気体の膨張で爆発するかもしれないが……爆発か……。
そうだ、爆発だ。
爆発したのだ。
ならば、それはノーベルの仕業だ。
この際真偽はどうでもいい。
「ヒトラー隊員。落ち着いて聞いてください。これは我らの宿敵、ノーベルによる妨害工作です」
ヒトラー隊員の両肩に手を置き、神妙な顔を作って私が断言すると。
「ま、まさか……あのノーベルさんが……! こ、このままでは、私たちの朝ごはんが彼のせいで奪われてしまいます……」
意外とノリノリなヒトラー隊員が、同じく神妙な顔を浮かべた。
ヒトラー隊員はなんていい顔をするんだ。
「ヒトラー隊員、これは仕方の無いことです。いつかあいつに天罰を降すとして、とりあえずは朝ごはんを完成させましょう」
私がヒトラー隊員に微笑むと、彼女も笑顔を返してくれた。
「はい! それでは目玉焼きを作りましょう!」
ヒトラー隊員が冷蔵庫から卵を取り出すなか、私はパンの袋から中途半端に焼けたパンを取りだし、冷蔵庫から取り出したボウルの中にぶち込んだ。
とりあえず、食パンはここに放置しよう。
私が食パンの処理を終え、目玉焼き作りを手伝おうとすると、ヒトラー隊員がうずらの卵を割り、フライパンの中に入れていた。
割り終えた卵の殻すらもフライパンの中に入れるのは、さすがにアウトでは……?
いや、まあセーフだろう……。
……んー、セウトという事にしておこう。
優秀なヒトラー隊員のことなので大目に見るとして、私は食器棚から全員分の皿を取りだそうと──
──したところで、台所に入ってきた沖田さんと目が合った。
そのまま、お料理探検隊の私たちが手を止めフリーズしていると。
「……おいお前たち。何をしている」
巨乳の下に腕を組み、それを強調してくる沖田さんが、鋭い目をして怖い声で聞いてきた。
「な、何って……料理だよ? 今日は私たちお料理探検隊が担当だからね。さぁさ、何の料理かは完成するまでの秘密だよ。リビングで待っててねっ!」
私が沖田さんの背中を押し、強制的にリビングに戻そうとすると。
「そうか。ならその前に、いくつか言わせてくれ。食パンは袋から出し、トースターで焼くこと。それに、フライパンを冷蔵庫で冷却しておく理由は何故だ? あとは……」
沖田さんがそこまで言った時、台所でふざけていた私とヒトラー隊員は、すぐさま土下座した。
私は間違っているが、世界はもっと間違っている
(アドルフ・ヒトラー)




