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偉人たちの輪廻転生スクールライフ  作者: みらい
2章 生徒たちの質実剛健スタディーライフ
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17話 入学初日の夜

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 ──ふと意識が復活した。

 どうやら、しばらく眠っていたらしい。


 確か、先程までヒトラーやアンリと、自室で遊んでいて……。

 私は朧気な意識のまま、虚ろな目を開くと……。


「ほら見てヒトラー! ガウディの卒業写真、ちょーウケる!」

「あ、これ昔のガウディさんですね! 若いです!」


 私の中学の卒業アルバムを開いて遊ぶ、ヒトラーとアンリの姿が目に映った。


 私は急いで飛び起きると、2人の手から、それをひったくった。


「あ、ガウディ起きたんだ。おはよ」

「ガウディさんおはようございます」


「おはよう! それより、なに人の卒アル勝手に見てんの!?」


 特に悪びれもせず、挨拶をしてきた2人に私は怒鳴った。


「クローゼットの奥に仕舞ってあるのを見つけたので、昔のガウディさんは若いなーって思ってみてました」

「今も充分若いと思うんだけど!? なに? 今の私が老けてるって言いたいの!?」


 私はヒトラーに詰め寄ると、再びほっぺたを引っ張った。


「あっ、ヒャウヒィひゃん、ひゃめてひゅらひゃい! いひゃいでひゅ!」


 ヒトラーが私の手を引っ張って離すと、アンリが赤くなったヒトラーの頬を才能で治療した。


「ガウディさん……さっきからほっぺたをつねってきて酷いです。私もう怒りました」


 ヒトラーが悲しそうな顔で俯いて、そう呟いた。

 さすがにやりすぎちゃったな……。


 私は、ヒトラーに謝ろうとして。


「でも、今ならお菓子くれたら許しちゃうかもしれないです」


 ヒトラーが、俯いたままそう言った。

 ……この子は、なんて図々しいのだろうか。


「そ、その、ごめんね? もうあんな事しないから許してくれる? あとアンリもごめんね?」


「はい、私たち友達ですし許します!」

「ガウディ、私にはつねってくれて構わないよ。寧ろ、やって欲しいくらいかな」


 謝った私にヒトラーは可愛い笑顔で答え、アンリは可愛くないセリフで応えた。


 ふと私がヒトラーの方を向くと、目が合った。

 そういえばヒトラーには、『目が合った人物の思考を読み取る』という才能があったはずだ。


 史実のヒトラーは、並外れた掌握術を持っていたようだし、それ由来の才能なのだろう。

 そして今、私の目を見つめるヒトラーは、恐らくその才能を用いて、私の思考を読み取っているのだろう。


 ここはひとつイタズラを……。


 私は脳内で、OH YESなシーンを考えてみた。

 ヒトラーとイケメン男がくんずほぐれつする姿を妄想すると……。


「あっあっ、ガ、ガウディさんが……! アンリさん、アンリさん、ガウディさんがセクハラしてきました!」

 顔を真っ赤にしたヒトラーが、アンリの肩に縋った。


「ちょっ、セクハラじゃないよ! ただヒトラーが、ちゃんと才能使えてるのかなーって思っただけだよ!」

 私は必死に弁明するも、ヒトラーは赤い顔を両手で覆って聞く耳を持たない。


「ガウディがセクハラねぇ……ヒトラー、何を見てしまったん?」

 アンリが、ヒトラーの肩をちょいちょい、と突いて尋ねると。


「え、えと、なんか、ガウディさんとノーベルさんが、え、ええええっちなことを……!」

 ヒトラーは再び顔を赤くし、震えながら言った。


「ねぇ待って! おかしくない!? それ嘘だから! ヒトラーの才能は機能してないから! 私、初対面の時もこんな感じだったんだけど!? ヒトラーってボケるタイプなの!?」


 私は慌てて弁解するが、アンリが。

「まぁガウディ、これからはもうしなきゃいいんだよ。きちんと謝れば、ヒトラーも許してくれるさ。あと、これからはいくらノーベルのことが好きだからって、変な妄想はしない事だね」


 どうして、誰も私の言うことを信じてくれないのだろうか……。


 見れば、いつの間にか、ヒトラーがいつも通りの姿に戻っている。

 つい先程まで真っ赤になっていたのに。

 やはり演技していたのか。


 すると、目が合ったヒトラーが、舌を出して『テヘペロ♪』としてきた。

 ……ちょっと腹は立つが、可愛いので許してあげよう。


 私は落ち着きを取り戻すと、深くため息をついた。

「なんだか、今日一日ですごく疲れたわ……」


「それなら私が治そっか?」

「才能で治るような疲れじゃないのよ……。クラスの変人たちに振り回されて疲れたのよ……」


 アンリが才能を使おうとするが、私の疲れの原因である彼女に治してもらうのは複雑だ。


 変態なノーベルをはじめ、マイペースなヒトラー、ドMなアンリ、ナルシストや天然ドSなど……このクラスの人たちは個性が強すぎるのだ。


 彼らへの対応やツッコミに、私がどれだけ疲れたことか。

 だけど……まだ今日は高校生活初日だ。

 これが明日からも続くのか……。


 それにしても……才能……か……。

 こんな非現実的な異能力を、私が手にすることになろうとは……。


 スナック菓子を食べだしたヒトラーとアンリを他所に、私は考え事を続けていた。


 今日一日で、多くの偉人と知り合えた。

 それぞれ個性が強く、楽しんで才能を使っていた。


 みんな私と同じように、偉人のDNAを注射して、遺伝子情報を書き換えたのだ。

 私はアントニ・ガウディの遺伝子を手に入れたが……。


 ……ん?

 あれ?


 そもそも、偉人学園は私立だ。


 一介の学園が、多くの偉人達のDNAを、一体どこから採取してきたのだろうか。

 遺品からDNAを採取なんて、そうそう簡単にさせてもらえるものだろうか。


 ……なんだろう、この違和感は。


 私が考え込んでいると。


「ほら、ガウディも食べようよ」

 アンリがスナック菓子の袋を渡してきた。


「嫌よ。こんな時間にお菓子なんて食べたら太るでしょ。2人ともデブっても知らないわよ?」

 私がスナック菓子の袋を払い除けると、ヒトラーが。


「ガウディさん、すぐには太りませんよ。それに、女の子はたくさん食べないといけませんよ? そうしないと胸が大きくなりません」

 自分の胸に手を置きながら、煽るようにヒトラーが言ってくる。


「そうだよガウディ。貧乳ちゃんはたくさん食べてあひっ、やめて!」


 私を貧乳ちゃん呼ばわりしてきたアンリに、足の裏をくすぐって仕返しをしてやった。


「やめてっ! くすぐったいってば! あああぁぁあ!」

「私に貧乳って言った罰よ! さあ、もっと笑い転げなさい!」


 アンリのタイツ越しに、私が足裏をくすぐり続け、ヒトラーがオロオロしていると。


「おいお前たち、夜遅いんだ。もう少し静かにできないのか……」


 部屋のドアを開け顔だけ出した沖田が、げんなりした顔で言ってきた。

人間は決して、自由な存在ではない。


しかし、人間の意欲の中には、自由が存在する。


(アントニ・ガウディ)




今回以降の後書きでは、偉人紹介の無い時には偉人たちの名言を紹介していこうと思います!

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