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偉人たちの輪廻転生スクールライフ  作者: みらい
第1章 問題児たちの波乱万丈スクールライフ
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2話 爆破と服従

ブックマーク2件、感想2件、評価1件頂きました、ありがとうございます!


面白ければ感想などよろしくお願いします!

 教室の扉を壊したことで職員室に連れていかれた私とノーベルは、こっぴどく先生に叱られた。

 私は冤罪なのだが。


 そして私の才能を生かし、教室に戻ると扉を建て直すよう先生に命じられた。


 更に。


 今後もクラスメイトが教室を壊したら、その補修をするよう、先生に命じられてしまった……。


 私は高校生活初日から変な任務を負わされ、意気消沈で教室に戻っていると、隣を歩いていたノーベルが。


「よっ、建築娘! 補修娘にランクアップしたな、おめでとう!」

「いいわ、かかって来なさい! あんたのお尻にミニサイズの東京タワーを建築してぶっ刺してやるわ!」


 そうして廊下で取っ組み合いの喧嘩を始めた私たちを、他の生徒達は止めもせずに奇異なものを見る視線をあびせてくる。


「ヘイヘーイ! 俺とそんなハードなプレイをお望みかな? 建築娘こそ、俺のダイナマイトを挿れてみないか? 爆発するくらい気持ちいいかもだぜ?」

「ぶっ殺」


 ぎゃあぎゃあと廊下で騒いでいた私たちの元に、いつの間にかヒトラーがやって来ていた。

「ガウディ、そろそろ次の授業始まるので、教室戻りましょう?」


 ヒトラーに声をかけられた私は、組み合っていたノーベルから離れ、服のシワを払って直した。

 私は息を整えながら、ノーベルと睨み合い……。


「そうね…………教室に戻りま、鉄格子を建築っ!」


 教室に戻ると見せかけ、振り向きざまに不意打ちの建築による拘束を、ノーベルにお見舞した。


 私が建築した鉄格子の中に、突っ立っていたノーベルが捉えられた。


「あははははっ! ざまあみなさいよ! そこで独り悲しくお尻の穴にダイナマイト刺して遊んでなさいな!」


 クソ爆弾の拘束に成功し、私は勝ち誇って高笑いを上げた。


 そんな私にヒトラーが慌てた様子で。

「ガ、ガウディ、女の子なんですから、そんな発言はしない方がいいと思いますよ──!?」



 ──教室に戻り、再びホームルームが始まる。

 新年度が始まったばかりなので、今日の午前中はずっとホームルームだ。


 ちなみに、あのクソ爆弾はまだ拘束されている。


「それでは、ホームルームをはじめようと……あれ、ノーベル君はまだ戻ってませんか?」

 チャイムが鳴り、ホームルームを始めようとしたノイマン先生が、ノーベルの不在に気づいた。


 私は慌てる先生に助け舟を出そうと手を挙げて。

「先生、ノーベル君はノイマン先生を見てたらムラムラしてきたので、トイレに行くって言ってました」


「なっ、はっ、はああああああああ!?」

 私の発言に顔を真っ赤にして叫ぶノイマン先生。

 これでノーベルが戻ってきたらあいつは叱られるだろう。

 やったね。


「ガ、ガウディ、嘘なんてつかない方が……」

 隣の席のヒトラーが、不安げな顔で私に耳打ちしてくるが、これは私に下ネタ発言してきたクソ爆弾の自業自得だと思う。


 息を整え、未だに少し赤い顔のまま深呼吸をし、気を取り直した先生が再び切り出した。

「そ、そそそれでは、今からホームルームを始めます。この時間は学級委員を決めようと思います」


 学級委員か。

 私はそんな面倒な役職には就きたくないが……10人しかいないこのクラスに、他にやってくれる人はいるのだろうか。


「学級委員はクラスの代表として、会議に出てもらったり……」

「このノートン様がやろう!」


 説明を始める先生の言葉を遮り、一人の男子が立ち上がった。

 ボサボサの黒髪に金の王冠。

 顎髭を生やし、コートを羽織っている。


 彼は確か……ジョシュア・ノートン。

 史実ではアメリカの王位僭称者で、皇帝ノートン一世と自称した人物。


 頬杖をついた私が彼を見ながら史実の情報を思い出していると、ノートンが椅子を蹴って立ち上がり、声高らかに叫んだ。


「このノートン、我こそがクラスの代表である学級委員に相応しいと自己推薦しよう! この我の威光を持ってすれば、我がクラスの代表になるのは当然であり……」


 立ち上がって訳の分からない演説を始めたノートンは放っておき、私は机の上にミニサイズの国会議事堂を建設して遊び始めた。

 ああいった痛い子ちゃんとは関わらない方がいいのだ。


 私の隣では、ヒトラーが眠そうな顔でノートンの演説を聞いている。

 入学初日から授業中に寝るなんて、ヒトラーは大物の予感がする。


「ノ、ノートン君、学級委員になってくれるってことでいいんですか?」

 自分を皇帝と言い張り、学級委員になろうとするナルシストなノートンに怯えながら、先生が尋ねた。


 その間も、ヒトラーがいびきをかいて寝る隣で、私はいせいせと国会議事堂を建設していた。

 あ、今気付いたが窓の数が違った。

 仕方ない、作り直そう。


 私が解体して新しく建築しようとしていると。

「このノートン様こそが学級委員に相応しいと!」

「ノ、ノートン君、学級委員をやってくれるってことでいいんですか……?」


「このノートン様こそが学級委員に相応しいと!」

「ノ、ノートン君……?」


「このノートン、さ! ま! こそが学級委員に相応しいと!」


「あっ…………えっと……それじゃあ、ノートン様、お願いします……」

「よかろう、我に任せ給え!」

 そんな馬鹿なやり取りが聞こえてきた。


 どうしてもノートン様と呼ばせたがる自称皇帝。

 察した先生も面倒臭がりながら、自称皇帝に合わせてあげている。


 ノーベルといいノートンといい、どうも教師というのは、問題児の対応で大変な仕事らしい。


 そんな時、教室の後ろの扉から。

「先生すんません、どこかのアホタレのせいでノーベル、遅刻しました! ノーベル遅刻賞っすね」

 再び扉を爆破して、うるさい爆破音と共にクソ爆弾が教室に入ってきた。


 クソ爆弾め、また扉を爆破しやがって……。

 ……また私の仕事が増えたじゃないの……。


 クソ爆弾が教室に入ってくるや否や、先生が。

「ノーベル君、廊下で正座していてください。後で反省文を書かせます」


 ノイマン先生が、角の生えた顔に悪魔のような笑みを浮かべ、死を感じさせる声で命令した。


「ワイ!? なぜ俺は教室に入ってすぐに怒られるんだ!? でも美人教師に怒られるのは悪くないな! 俺のダイナマイトが爆発しそうだぜ! フーゥ!」


 本当にこいつはどういう頭をしているのだろう……。

 頭の導火線に着火して爆破処理した方が世のためになるんじゃないだろうか。


 私はそんなことを思いながら、ただ只管に国会議事堂の建築に勤しんでいた。

【偉人紹介2 アルフレッド・ノーベル】

〈作中〉

ダイナマイトの頭を持つ、おちゃらけた性格の男子生徒。

人を揶揄うことを生き甲斐としている。

彼の琴線に触れた人物には、様々なノーベル賞が送られるらしい。

因みに、頭の導火線は髪の毛らしい。

着火したら爆発するかどうかは分からない。


〈才能〉

性能、威力において、自由な精度のダイナマイトを生成可能。

最大で1kgまで生成可能だが、連発可能なので制限はあまりないに等しい。

才能に合わせ、常にライターを持ち歩く不良(?)。


〈史実〉1833~1896

スウェーデンの科学者で、ダイナマイトを発明した人物。

多くの特許を取得し巨万の富を築いたが、ダイナマイトを発明した故に「死の商人」と呼ばれる。

彼の遺産は、顕著な功績を残した人物に送られる、『ノーベル賞』の創設に利用された。


「尊敬されるには、尊敬に値するだけでは不十分である」

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[一言] ノイマンかー…数学の先生かな?
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