14話 猛毒の女
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アインのワームホールにより脱出に成功した私は、誰にも見つからないよう気をつけながら、寮に戻った。
……ノーパンのまま。
任務開始から1時間足らずで帰投した私を、クラスメイトたちが出迎えてくれた。
「おう、おかえり! んで、どうだったん?」
私がリビングに入って一番に、クソ爆弾が夜食なのか、野菜スティックを齧りながら聞いてきた。
「どうもこうも無かったよ……。資料は別の奴に盗られたし、散々な目にあったし……」
どうしてJKにもなってこんな特殊部隊のように危険なことをしなければならないのか。
私だって世のJKみたく、危険なことはせず楽しく生きたいのに……。
私がため息を吐きながら答えると。
「はぁあ!? お前、なんのために潜入して来たの? 資料をとってくるためでしょ? それで、とってこなかったって何しに行ってたの? ねぇ、バカなの?」
早口でそう捲したてるクソ爆弾に、私はこめかみをひくつかせ。
「鉄格子を建築っ!!」
「なっ!?」
クソ爆弾を囲むように鉄格子を建築し、明日の朝まで放っておくことにした。
「お、おい、俺が悪かったから出してくれ! 頼む! 頼むから出してくれえぇぇええ! さもないとここにおしっこぶちまけちゃうぞ!? いいんだな? ホントにいいんだな!? ……お願いします出してください!」
仕返しを終えた私は、クソ爆弾の叫びを無視し、ノーパンゆえにスカートの裾を抑えながら、ソファに向かった。
すると、未だに座って眠るヒトラーと、顔色が悪くソファに横たわっている女子がいた。
確か、横たわっている彼女はグロリア・ラミレスだったはずだ。
ラミレスは制服のシャツの上に黒いフォーマルベストを羽織り、スカートは脱いで黒い長ズボンを履いていた。
青白い顔でソファに横たわる彼女に、近寄るクラスメイトはあまりいなかった。
彼女は私が寮を出る前より、かなり顔色が悪くなっており。
彼女の赤い髪とは対照的に、顔はとても青白くなっていた。
いったい何があったのだろうか。
私は、ラミレスを介護しているアンリに話しかけた。
「ねぇアンリ、何があったの?」
「あ、おかえりガウディ。なんか、ラミレスが急に気分が悪くなったって言ってさ。それで私が才能で治癒してるんだけど、なかなか治んなくて……保健室に連れていった方がいいかな?」
私はその言葉を聞いて、顎に手を当て考え込んだ。
ノーパンのまま。
「アンリ……多分ラミレスの気分が悪いのは、彼女の才能のせいだと思うよ」
半眼でラミレスを見つめながら、至った結論をアンリに告げた。
「ラミレスの才能? どんなの? それに、ラミレスっていう偉人を知らないんだけど……ガウディは知ってるの?」
才能で治癒し続けるアンリに問われ、私はラミレスに呆れながら。
「グロリア・ラミレス。彼女は猛毒の女性アメリカの女性で、若くして末期ガンを患い、病院に緊急搬送される。そして、搬送先の病院で採血した途端、看護師たちが体調不良などを訴えた。なかには気絶した人もいたみたい。そして彼女は、そのまま病院でなくなってしまった……」
私の説明を、ふんふん、と言いながら聞いていたアンリは。
私と同じくラミレスの体調不良の原因に気づいたのか、あっと声を漏らし。
「ってことは……ラミレスの才能は、毒とか体調不良を引き起こさせる、みたいな……?」
「恐らくね。そして、それが自分に効いてしまった……とか?」
私とアンリに半眼で見つめられたラミレスは、顔色の悪いまま上体だけ起こして。
「そ、そうですわ……。私の才能は、液体又は気体の毒性物質を生成し、様々な状態異常を引き起こさせるものですわ……。でも、初日で才能を使いこなせるわけないですわよね…………自分の才能で自分が苦しんでますわ……ほほほ……」
文字通り、死にそうな顔でそう呟くラミレス。
アンリの才能による治癒も、なかなか効果が出ないまま、再びラミレスがソファに横たわる。
ラミレスの才能自体によって、彼女自身が苦しむ…………。
じ、自縄自縛……………………。
私は不運なラミレスを哀れみながら、早く治ることだけを祈った。
ノーパンのまま。
ふとラミレスは顔を私の方に向け、スカートの中を覗き込んで不思議そうに。
「あら……? ガウディはパンツ履かない主義ですの? なら私と一緒ですわね……。ノーパンの時は、スカートだとアソコを見られてしまうかもしれないので、ズボンを履いた方がいいですわよ……擦れ具合もいいですわ…………」
体調の悪そうな顔色をしたまま、自分の特殊性癖を暴露したラミレス。
「……は、履いてるよ…………?」
私はスカートの裾を抑え、熱くなった顔を逸らして答えた。
ノーパンのまま。
若干、顔が紅潮してしまっているかもしれないが、ポーカーフェイスで誤魔化せるはずだ。
「ちょっ、ガウディ!? パンツ履いてないの!? 何それやってみたい! もしかして気持ちいいかな!?」
ドMなアンリが新たな扉を開こうとする中、私は慌てながらも、それを努めて顔に出さぬようにしながら。
「そ、それじゃ、私はお風呂に入ってくるから。そ、それじゃ」
そのまま、私はそそくさと風呂場へと向かって行った。
「ねぇ待ってガウディ! パンツ履いてないの!? ねえってば! 気持ちいいのか教えてよーー!!」
私はダッシュで自室に戻ると、パジャマと下着を手に風呂場へ駆け込んだ。
【偉人紹介11 グロリア・ラミレス】
〈作中〉
赤毛のボブに紫色の目を持った、ノーパン主義少女。
アンリと何かと気が合いそうだが、ドMではなく、背徳感を味わいたいといった感じ。
常に黒のフォーマルベストと黒いズボンを着ている。
ノーパンで。
〈才能〉
様々な状態異常を引き起こす、液体又は気体の毒性物質を生成できる。
眠り、麻痺、毒、混乱などなど、RPGに出てくるほとんどの状態異常を扱える。
でもさすがに石化は無い。
自分にも若干効く。
〈史実〉1962(?)~1994
彼女は末期ガンを患わっており、緊急搬送先の病院で採血されていたところ、看護師が気絶。
結局、23人が気分不良や嘔吐などを発症。
彼女はそのまま亡くなってしまい、真相は謎のまま……。




