13話 夜の学校とパンツと私
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深夜の学校で秘密の任務を遂行中に、ワームホールからニュっと出てきたアインの琥珀色の目と、私の目が合った。
そんな気まずい状況の中、アインが私に尋ねてきた。
「な、なんでこんなとこに居るの?」
「ちょ、ちょっとお花を摘みに……」
「寮のトイレに行きなよ……」
目を逸らして嘘をついた私に、アインが突っ込んできた。
アインはワームホールから、彼女の周りを取り巻く無数の光り輝く公式と共に出てくると。
「ま、本当の目的は私もキミも同じだろうけどね!」
アインはそう言い、長い銀髪をかきあげ、校長先生の机を躊躇することなく漁り出した。
「ちょ、ちょっと待って!? 私の目的は校長先生が隠し持ってるエロ本を探しに来ることじゃないよ!? アインと一緒にしないで!」
「私も違うから! 他クラスの資料を取りに来ただけだから! 変な誤解しないで!」
私の名推理も、頭のおかしいアインには通用しないようだ。
校長の机を漁るアインを思い切り邪魔したい衝動に駆られるが……。
だが、目的が一緒な以上、ここは協力するのがベターだろう。
「ま、ここはひとつ、協力しようよ。私が先生たちを追い払ったおかげでキミも侵入出来てんだからさ♪」
校長先生の机を漁りながら、こちらを見ずにアインがそんなことを……。
「えっ、アインが幽霊を召喚したり、火をつけたりしたの!? 今すぐ自首しよう? ね?」
「なんて人聞きの悪いこと言うんだね!? 違うよ、クラスメイトに幻影使いが居るから、手伝ってもらったんだよ!」
なんだ、そうだったのか。
私は安堵のため息をこぼし、言った。
「そっかぁ〜、アインが放火魔だったらどうしようかって怖かったよ〜」
「ねぇ、私がそんなことしそうな人に見えるの!? ねぇ! ねぇってば!」
しかし、幻影使いか……。
アインといい、幻影使いのそいつといい、アインの居る1組はかなり強そうな気がする。
アインに肩を掴まれガクガクされていながら思案していた私は、校長の机の下の隅に、ジュラルミンケースが置かれているのを発見した。
絶対これじゃん…………。
私は徐にそれを拾い上げると、アインと頷きあって。
「エロ本だね」
「そんなわけないじゃん」
私の名推理は、またしてもアインに否定された。
アインは頭が悪いのだろうか。
男の人が隠すものと言ったらエロ本に決まっているだろうに。
「厳重に鍵が掛けられてるし、私やガウディのお目当ての品だよ。そう思うでしょ?」
「えっ、アインのお目当ての品ってエロ本だったの!? 私は違うからね!」
「だから違うって! ねぇ、話聞いてた!!? こら耳塞がない!」
エロ本を求めるアインに私が引いていると、またしても肩を掴まれてガクガクと揺らされた。
「まぁいいよ……それじゃ、開けてみようか……ってこれ、どうやって開けるんんだろ?」
ケースを抱えたまま辺りに鍵が無いか探すアインに、私はドヤ顔で助け舟を出した。
「ここは私に任せておきな。私の建築才能で解錠もお手のものよ」
「えっ、ほんと? じゃあ、頼むね!」
そう、学校に潜入する際に使った、鍵穴に建築物を埋めるやり方で……。
私はアインからケースを受け取ると。
ケースに付けられた、6桁のダイヤル式の鍵に……。
「舐めんな」
私はそのケースをポイと放り投げた。
「ちょっととぉぉおおお! 何しちゃってくれてんの!? ちゃちゃっと鍵開けてくれるんじゃなかったのさ!?」
綺麗な放物線を描くケースを、展開したワームホールから手を伸ばしてキャッチしたアインが、私に抗議してきた。
だってダイヤル式じゃん。
私には開けられないじゃん。
「あー聞こえない、聞こえないいいいい」
「ねぇ、いったいキミは何がしたいのさ!? さっきからすっごく変だよ!?」
私がアインの叫びに耳を塞いで抵抗していると。
「ん、こんなところで何してんだ、お前ら?」
扉が開く音と同時に掛けられた男の声に、私たちの肩がビクンと跳ねた。
まずい、先生に見つかってしまったか?
私がどうやって乗り切ろうかと頭をフルに回転させながらゆっくりと振り向くと。
しめ縄の様なものを腰に巻き付け、上半身がはだけた和服を着ている男と目が合った。
男は深緑の唐草文様の髪を持ち、鋭い目付きで私たちを睨んでいた。
「まあ、何となく予想はつくけどな……校長のエロ本目当てだろ?」
「「違う」」
なぜ私たちがエロ本なんて取りに来なければならないのだろうか。
全く、こいつはなんて頭が悪いのだろう。
「まあいいや。どうせ他クラスの資料だろ?」
あれ……さっきもこのくだりがあったような……。
「だが。その前に……これでも喰らえっ!」
そう叫びながら、男は唐突に右手を私に突き出した。
突き出されたその手には、次第に青白い光が集まっていき…………。
「……? …………っ、きゃぁぁぁ!!」
私はスカートの裾を押え、叫んだ。
「ぱっ、パンツ返してえぇぇええ!」
そう、目の前の鬼畜男に、私のパンツを盗まれたのだ。
男は手に握られていたパンツを両手で広げ、それをしげしげと眺めて。
「ふむ……黒か……悪くないな」
「ガウちゃんってば、ダイタンね♡」
男だけでなく、アインまでもが私のパンツを眺めて呟いた。
「やめてえええええええ! 見ないでえぇぇぇぇええぇぇ! パンツ返してえぇぇええ!!」
私は床をのたうちまわりながら、懇願した。
「おおっ、いいよガウちゃん! ノーパンで転がると具が見えそうで見えないのがいいよ!」
その一言で転がり回るのをやめた私は、スマホを取り出して撮影しだしたアインをキッと睨んだ。
それに、ガウちゃんって呼ぶのはやめて欲しい!
「隙ありっ!」
「ふぇ?」
アインの間の抜けた声とともに、男の手にピンクのショーツが現れた。
「ふむ……ピンクか……悪くないな」
「ほらぁ、私にあんなことするから! 自業自得だよ!」
私の次にひん剥かれたアインが、紅い顔を両手で覆って震え出した。
「ま、いいや。いいもん手に入れたし、お目当てのモンも手に入れるか。どうせこん中だろ?」
男はそう言って右手をケースに向けた。
その手に再び青白い光が集まっていき……。
次の瞬間には、その手に私たちが欲していた資料が握られていた。
「それじゃ、これは俺が頂いていくぜ。じゃあな、今晩のオカズたち」
「「ちょっ、待て!!!」」
最低なゲス発言をして素早く逃げていった男に、私が正義の裁きをいつか喰らわして殺さねばと決意していると。
「侵入者を見つけたぞーー! 集まれーー!」
先程の男の声で、私たちを捕まえるよう仕向ける叫びが聞こえてきた。
あの野郎!
その声を聞いてか、先生たちの足音が沢山聞こえてきて……!
「アイン、早く! 早く逃げるよ! ほら、任務失敗しちゃったし、ワームホールでね? ほら、早くぅぅう!」
「ぱぱ、パンツが……私のパンツが……」
フルフルと震えながら、アインがワームホールを開くと、私たちは先生から逃げるべく校舎の外へと続くそれに潜って脱出した。




