11話 悪魔の一撃
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クラスのみんなに──睡眠中のヒトラーを覗いたクラスメイトに送り出された私はというと、夜の学校を訪れていた。
あたりは真っ暗で、視界は狭い。
私はパジャマのまま、忠敬作の校内地図を手に、とりあえず職員室を目指すことにした。
静寂に包まれたグラウンドを渡り、私は校舎に近づいた。
私は校舎の扉の元へ行き、開けようとして──。
鍵かかってんじゃん。
いや、そりゃそうじゃん。
…………はて、どうしたものか……。
任務開始1分で行き詰まってしまった私は、校舎の壁に身を預け、体育座りでどうすべきか思案していた。
むぅ……。
扉は開いておらず、校舎の中に入れない。
しかし、校舎の中に入らずして、資料を盗むことは出来なくて……。
才能を使って、どうにかして校舎に入れないかと、頭をフル回転させていると──。
──ひとつの名案を思いついた。
私は徐に扉に近づき……。
鍵穴の中全てに、石材を埋めるように建築した。
そして、鍵穴から少し飛び出して建築した部分を握り、それを回して鍵を開けた。
音を立てないように扉を開き、校舎の中から鍵をかけた。
そして、証拠隠滅に建築した鍵モドキを解体して……。
これで潜入完了。
やはり私の才能は、どんなハリボテでも建築できる、そこそこなチート才能のようだ。
ひとまず潜入に成功し、胸を撫で下ろした私は、辺りを見回すと。
当然電気が消された校舎内。
誰一人おらず、物音すら聞こえてこない、薄暗い廊下。
………………もう帰りたい……。
しかし……ここまで来たからには、今更引き返すのも……。
戦果無しで帰投しても、クソ爆弾に煽られる未来しか見えないし、行ってみようか……。
てか、なんで来ちゃったんだろ……。
私は若干涙目になりながらも、心を奮い立たせて歩き出した──。
──私は手にした地図を開き、真っ直ぐ職員室を目指して歩いた。
さっさと終わらして帰ってしまおう。
怖がって長い時間をかけてしまうより、何も考えず、ただただ職員室を目指して──。
私がそう自分に言い聞かせながら廊下を早歩きで進んでいると、前方から人の話し声と足音が聞こえてきた。
突然の接触に、私はテンパりどうしようもなく……!
(お化けっ!? お化けかなっ!お、お化けなんて居ないし!? ほら早く隠れなきゃ、ってどこに!?)
1人でそう小さく叫びながら、脳みそをフル回転させた私は、起死回生の一手を繰り出した。
私は薄暗い廊下の壁にペタリと張り付き、壁と同じ色合いの壁を、私を覆うように建築した。
これで、私がハリボテの壁の後ろに隠れた状態だ。
これで私に近づきつつある謎の足音からは、私が見えないことだろう。
……当然、私からも見えないが……。
我ながらいい手段だとほくそ笑みながら、お化け(?)が発する音に耳を傾けた。
「それで、本当に生徒たちがクラス名簿を盗みに来るんですか?」
声の主は、ノイマン先生だった。
どうしてこんな時間に?
どうして校舎の巡回を?
私の頭の中を、無数の疑問が駆け抜けるなか、なおもノイマン先生は話し続ける。
「それでも、私たちが巡回する必要はあったんですかね……? まだ誰とも遭遇していませし……」
足音はひとつしか聞こえないことから、先生は誰かと連絡しながら歩いているのだろう。
そして、私が隠れている壁の前で立ち止まり、そこで通話を続けた。
ちょっ、なんで!?
バレてるはずはないし!
早くぅ……早くどこかに行ってぇ……。
私が両手を合わせ必死に願っていると。
「まあ、でも確かに、人がいそうな気配はしますが……」
先生の発した言葉に、私はゴクリと唾を飲んだ。
そうか……今日、生徒が資料を盗みに来ることは、先生たちは想定済みだったのだ。
そして、私の目の前で気配がする、と口にする先生……。
気づかれていないだろうとは言え、なんて心臓に悪いのだろうか……。
今日だけで寿命が10年は縮むだろう。
激しく動き止まらない鼓動を押え、どうにかこの場を凌ごうと打開案を探そうと、思考を張り巡らせて……。
そうだ。
夜の学校だ。
夜の学校といえば、お化けだ。
私は名案を思いつき、早速実践することにした。
名案、其れ即ち!
先生の目の前に、人体模型を建築ッ!!
暗闇に突然現れた人体模型は、私からは見えないが、先生を恐怖のどん底に陥れ、今すぐこの場から走って逃げさせる事だろう!!
なんだか今日は冴えている!
我ながら名案をよく思いつく!
私が自画自賛しながら笑みを浮かべ、先生が逃げ出すのを待っていると。
衣擦れの音から先生が振り向いたのだろう──。
「──ぁ──────っ!!」
突然の出来事でフリーズしていたのか、暫くしてから、先生が声にならない悲鳴を上げた。
よし、あとはそのまま走って逃げてくれれば……!
「あ、あぁ……お、おお犯されるー!! ……きゃぁぁぁあ!!」
先生は震える声で、とんでもない事を叫び──。
ゴスッという鈍い音とともに、叫びながら逃げていった。
ゴスッ?
先生が人体模型を押し飛ばしたのだろうかと、さすがに悪いことしたかなと、思いながらカムフラージュ用に建築した壁を解体してみると……。
先生が蹴り上げたらしく、股間の部分がひしゃげた人体模型が転がっていた。
そのおぞましさ故に危うく失禁しかけたが、怯えながらも人体模型を覗き見て。
…………本当に悪いことしちゃったな……。
明日、さり気なく何か手伝うとしよう……。
私は申し訳なさからそう心に決め、人体模型を解体すると、再び暗い廊下を歩き出した。




