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第5話 小倉処平を知って、描けた幸運

 史実では若死にしたり、無名で終わったりした人物を活躍させることができるのが、仮想史モノの特典だと思うのです。

 少なからず、話が戻りますが。


「サムライー日本海兵隊史」の本編(及び外伝等)を描いていて、私が幸運だった、と心から思うのが、それなりに、この人を小説中で活躍させたい、そうすれば、という人に、小説を書く際の調査中に、それなりに気付けたことです。

 その中でも、望外の幸運の一つだった、と私が思えるのが、小倉処平です。


 ネット情報をざっと検索しただけでも、「飫肥の小西郷」という異名を持つ人物で、更に小村寿太郎の師匠にも当たるという大人物です。

「新選組、西南戦争へ」を執筆する際に、色々と書籍からネット情報から当たっている際に、小倉処平のことを私は知り、史実では西南戦争で没しているこの人が生き延びることで歴史が変っていく、というのを「サムライー日本海兵隊史」本編において、私なりに上手く描くことができました。

 この人を知らなければ、日清・日露戦争の経過、特にこの両方の講和条約、下関条約とポーツマス条約締結の経過と内容等の描写は、私の小説において、かなり違うものになったでしょう。


 日清戦争に関する調査をしていて、つらつら私が考えたのが、どうすれば遼東半島の割譲請求を、日本はせずに済んだのか、という問題でした。

 遼東半島の割譲請求をすれば、ロシア帝国の南下政策の半ば必然的な帰結からして、ロシア帝国はそれこそ単独でも干渉してくるでしょう(史実では、仏独とも協調して三国干渉になりましたが)。

 そして、日清戦争当時の日本の国力では、ロシア単独での干渉でも跳ねのけられるのか、というと極めて難しい、という現実があります。

 その一方で。


 何しろ、史実を調べれば、遼東半島の割譲請求を日本がすれば、ロシアが干渉してくる、という危険を知りつつも、伊藤博文首相以下の日本政府は、そんなことにはならなければいいな、という楽観論から、遼東半島の割譲請求を行った、という現実がある訳で。

 そして、三国干渉が行われ、朝鮮政府と言うより、朝鮮王室はロシアを頼ることになり、そのことが韓国併合の遠因の一つになっていく、という史実の流れがあります。

 その流れを断ち切るために。


「サムライー日本海兵隊史」本編では、下関条約締結の際、小倉処平と本多幸七郎に動いてもらいました。

 この時、私にとって幸いだったのは、本多幸七郎が登場する小説が極めて少なく、読者の間では無名に近い存在で、それなり(?)に政治的な動きができる人物として、本多幸七郎を描いても、読者の方々から、そんなにツッコまれる懸念が少なかったことです。


 それこそ、例えは悪いですが、有名な人物だと、どうしても読者の方々が持つイメージがあります。

 土方歳三が、全く刀を振るうことがなく、いわゆる帷幄の軍師として描写されては、自分のイメージと違うとして、読者の方々から非難轟々ということが起きてもおかしくない、と私は思うのですが。

 また、三国志で言えば、諸葛孔明が自ら槍を振るって、敵武将に積極的に一騎打ちを挑む描写をして、読者の方々が納得するか、といえば、納得しない読者の方が圧倒的多数ではないでしょうか。

 そうしたことから考えれば。


 本多幸七郎と、史実と異なり長命した小倉処平との組み合わせは、私が「サムライー日本海兵隊史」本編の第1部と第2部を描く際に、極めて有難い組み合わせになりました。


 そして、この二人を活躍させることによって、遼東半島の割譲請求が無くして、下関条約が締結され、ロシアの朝鮮半島への干渉の動きが、史実とは大幅に異なることになる、という描写ができました。

(それなら、台湾割譲も諦めて、もっと賠償金を取っても良かったのでは、と言われそうですが。

 後述する事情からできなかったのです)

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