第23話 「四姉弟」の旅の終わり
本当に「サムライー日本海兵隊史」(本編)の結末が、ああなるとは予想外でした。
嘘を吐くな、と言われそうですが、本当に「四姉弟」が出てくること等、当初の「サムライー日本海兵隊史」の予定にはなかったのに。
最終的に主人公の土方勇と「四姉弟」の会食シーンが結末になりました。
第14部の結末、そして、本編の結末ですが。
結果的に「四姉弟」が、会食するシーンということになりました。
ちなみにメインの料理が、味噌バター味の「肉じゃが」なのは、それこそ作中で長姉の幸恵が言っていますが、4人に共通する父の故郷の味であること、更に末弟のアランにも少しは馴染みのある味であるようにという長姉の配慮によるものです。
そして、いきなり幸恵が、味噌バター味の「肉じゃが」レシピを思い付くということにしても良かったのですが、それは無理過ぎるかな、と思って斉藤雪子大尉から教えてもらったことにしました。
(また、幸恵は、雪子のことを名乗れぬ義妹として、暗に認めているということにもなります)
また、「サムライー日本海兵隊史」(第零部)といえる「新選組、西南戦争へ」で、「肉じゃが」が誕生したのと、結果的に照応させてもいます。
(それにしても、東郷平八郎元帥には、ここでも不憫なことをしてしまいました。
「サムライー日本海兵隊史」世界では、「肉じゃが」の発明は、東郷平八郎ではなく、土方歳三ということになってしまっています)
しかし、1年程前、旧民法の戸籍に関する本を読んで、「四姉弟」の戸籍問題について、思い切り間違っていたことに気が付いた時は、本当に血の気が引きました。
私の脳内では、当たり前すぎて、特に調べるまでもない、と想っていたことが、大間違いだったとは。
本来から言えば、野村の家に千恵子が入り、家督相続をしているのが当然だったとは。
それこそ、時機の問題で、千恵子が産まれ、「四姉弟」の父、野村雄が戦死し、総司が胎児であることから生じてしまう問題なのです。
既に出生している子どもが優先される以上、正妻以外が産んだ女子が、正妻の産んだ子が結果的に男子であっても、父の死亡時には正妻の子が胎児であれば、正妻以外が産んだ女子が家督を相続することから、千恵子が家督を相続することになります。
(なお、父が戸主の場合、非嫡出子(庶子)は、自動的に父が認知した段階で、父の戸籍に入ります)
だから、総司の母、忠子は、総司に家督を相続させるために、胎児相続の手続きを取り、総司が出生して戸主になった段階で、千恵子の認知を認める一方、戸主、総司の親権者として、千恵子を野村家に入れるのを拒んだ、という違法行為を行ったことになってしまいました。
これ、篠田りつが怒って、裁判を起こせば、どう見ても忠子が負けて、千恵子が野村家の戸主になれる話でもあるのですが。
(この後、忠子が我が子可愛さの余り、総司の家督相続回復の訴えを起こすという泥仕合が起きます。
総司が嫡出男子なので、最終的には総司が家督相続するのが本来の姿ですから)
その場合、忠子が千恵子の親権者になってしまうのです。
りつにしても、忠子に千恵子を渡したくないので、篠田家の戸籍に千恵子を入れた、という騒動です。
私も旧民法の裁判例を調べたわけではなく、旧民法の家督相続の本やネット情報を読んで理解した限りなので、誤っているかもしれませんが。
ともかく、仮想戦記小説で、家督相続裁判を展開しては、迷走にも程があるので、そちらについては、外伝等で主に話を展開することにしましたが、こんな話が裏であるとは思いませんでした。
そして、第14部の末尾で暗示していますが、野村雄は、林忠崇の隠れた孫であり、「四姉弟」は林忠崇の隠れた曾孫というのが、作中における真実ということで、話を締めています。
それにしても、この光景を見るのが、村山キクになったというのが、本当に皮肉な締めになったな、と私は思います。
この小説を描く内に、村山キクが「四姉弟」の母の立場になっていき、こうなりました。
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