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第14話 この世界の「鈴木商店」

 きちんと言葉を尽くして説明すれば、分かってもらえた筈だ、と言われても、作者の私としては、最初から匙を投げたくなることがあるのです。

 本編において、鈴木商店の描写は、その最大の一つになりました。

 鈴木商店、といっても、2019年現在において、すぐにいわゆるピンとくる人が、どれ程いるでしょう?


 今となっては、そんな存在になってしまいましたが。

 第一次世界大戦当時の1917年には、日本の国民総生産(いわゆるGNP)が約100億円といった状況なのに、鈴木商店の(全体売上高ではなく)貿易年商の金額が、約15億4000万円に達した、という巨大貿易商社だったのです。

(なお、同年の三井物産の貿易年商は、約10億9500万円で、同年の三菱商事の貿易年商は、10億円には程遠い数字だった、とのことです)


 その末裔というか、流れをくむ大企業は枚挙に暇がありません。

 日商岩井の後身、双日や、神戸製鋼所、帝人、石川島播磨重工業(IHI)。

 私がすぐに思いつくだけでも、これだけあります。


 この鈴木商店を私が最初に知ったのは、小学生の頃に読んだ歴史学習漫画の一節からですが。

(確か、鈴木商店が倒産して、台湾銀行が潰れて、昭和金融恐慌が起こったという1頁程でした)

 その詳細を更に知ることになったのは、城山三郎氏のノンフィクション作「鼠」と、漫画ですがヤングジャンプに連載されていた「栄光なき天才たち」でした。

(なお、どちらを先に知って、読んだのかは、正確には覚えていません。

 どちらかを読んで、他方もすぐに読んだのは間違いないのですが、何しろ約30年前の話です)


 そして、「サムライー日本海兵隊史」を執筆するようになって、いわゆる日本のモータリゼーション化を進めるとすれば、どうすればいいだろうか、と考えた際に。

 そうだ、鈴木商店と中島知久平が手を組めば、と思いつきました。


(その代りに、何だか三井財閥が、「サムライー日本海兵隊史」世界では悪役扱いになってしまいました。

「栄光なき天才たち」の三井財閥の描写が、いつか私の脳内で反映された結果です。

 深く反省したい、と思います。


 また、鈴木商店が発展したのは、台湾の植民地化に伴い、樟脳油を確保できたことにあります。

 そのために、日清戦争での台湾獲得という史実を踏襲することにもなりました)


 そして、この世界では中島飛行機が、鈴木商店の事実上の傘下となり、日本空軍が初めて制式採用する国産戦闘機、87式戦闘機を開発することになったのですが。

 そこで、私は史実通り、昭和金融恐慌を小説上でも引き起こしました。


 実際、関東大震災を回避する方法が無い以上、史実通り、昭和金融恐慌が起こるのは半ば必然な訳です。

 そして、中島飛行機が鈴木商店の傘下にある以上、また、鈴木商店が史実と異なり、米国のGM等と提携している以上、ここで日本の軍部としては、非常手段を使ってでも、鈴木商店を救済しないと、初の国産戦闘機が米国のものとなり、更に中島飛行機が米国企業の傘下になるのだから。

 鈴木商店の救済に、日本政府というより空軍を中心とする日本の軍部が乗り出すのは、私としては必然の発想なのですが。


 当時、一部の読者から、何で史実通りに、鈴木商店を潰さないのか、逆に鈴木を潰そうと企んだ三井を叩くのか、と思い切り批判されました。

 市場経済の論理から言って、三井に味方し、鈴木商店を潰すのが当然、とまで更にその一部から言われましたが。

 それを読んだ瞬間、私としては、この人は何を考えているの、私が説明しても無理だ、匙を投げるしかない、としか思えませんでした。


 それこそ上記に書いているように、鈴木商店を潰すことは、史実で言えば、中島飛行機が米国企業に売られるようなものです。

 更に、この世界の鈴木商店は、自動車の製造も行っているのです。

 そんな大軍需企業を、日本の軍部が保護しない訳が無いので、この世界の鈴木商店は救われたのです。

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