日常が突然変わる日
初めまして、月神夜斗です。初めての作品なので誤字脱字などが今後たくさんあると思うので指摘してくれるととても嬉しいです。今のところ不定期投稿です
俺は今、幼稚園からの腐れ縁、所謂幼馴染みである二人の男女と下校中だ。
幼馴染みの男の方は寺帝 陣也という日本産まれ日本育ちのハーフであり、アメリカ人の母の方の血が濃く出ておりサラッとした黄土色の地毛に青みがかった瞳、そして何より目を引くその顔。何処かの王子と言われても納得出来るレベルの顔の造りである。それでいて勉強や運動、性格も見た目を裏切らず良いことから俺達の通う学校ではちょっとしたアイドル的存在である。告白なんて日常茶飯事のこと。しかも本人はそれを全て断っているので男子からは親の仇のような目で見られている。本当に贅沢してるな、と思う。無駄にハイスペックすぎるんだよ、こいつ。
で、もう一方の女の方は金沢 緋色といい、こっちもかなりの美形である。サラサラとしたい黒髪に、まだ幼さの残る顔に澄んだ瞳、掴めば折れそうな程華奢な体に似合わない凶悪な二つの凶器。なのでこっちもこっちで色々と大変だったりする。一度ストーカー行為をされたことがあるからなぁ…。とまぁコレが二人の見た目かな。
ん?俺?ははっ。俺はごく普通の一般人の鳴海 煉だよ。何の取り柄も無い…。………あれ?なんだろう、目から塩分が。いやコレ涙じゃねぇから。
「でさ、今度。ダズヌーランド行かないか?」
今週末の予定について寺帝がいう。
ちなみに、ダズヌーランドとはヌーと愉快な仲間達の夢の国である。
「あ!行きたい!行きたい!あそこ最近新しいアトラクションできたんだよね!」
「ふーん。…あ、それって3Dのやつか?スゴいよなアレ」
「そう、それ!」
と、三人で色々なアトラクションや食べ物について話し合ってく。
「よし!じゃあ、行くってことでいいか?」
ここで話を区切るように寺帝が賛同を求めてくる。
「うん!」
「おう」
もちろん俺達は頷く。
そんな感じでまた話し合う。そうすること数分後、信号のところで止まる。やがて青になり渡っていると反対から美しくそれでいてどことなく妖しい雰囲気を纏う女性がこちらに向かって歩いてくる。俺はついその女性に目を奪われる。なぜなら、その女性はまるで白という存在そのものを顕したかのような見た目をしていたからだ。色が抜け落ちたかのような真っ白な髪、それに白い肌。しかしその瞳が異常だった。見ていると吸い込まれそうなほど深い深紅の瞳。だが、そんな異質な見た目をしているにも関わらず周囲はその女性に目もくれない。そう、俺にしか見えてないかのように…。そして通りすがりに俺を見て優しく微笑むとその女性は人混みに紛れあっという間に見えなくなった。
俺は振り替えり寺帝に見るように促そうとする。
「?。…なぁ、寺ちゃん、今のめっちゃ綺麗な人って………は?どこココ?」
なぜか、いつの間にか室内に居た。急いで辺りを確認すると、そこには寺帝と金沢もいる。二人も同様に混乱しているようだ。そして奥の方にも見知らぬ生徒らしき人が三人いて、こちらも同じく混乱している様子だった。意味がわからない。俺達はついさっきまで外にいた。信号を渡っている途中だったのだ。それがどうしていきなり室内の中に居るのか。ここでもう一度辺りを見渡す。
そこはまるでお城のような内装だった。日本城みたいじゃなく、一面石だけで造られている感じ。ところどころタペストリーが飾ってある。本当にまるでお伽噺のようなお城だった。
「おぉ!成功しましたぞ!」
と、漸く声が響く。声の発生源を辿るとそこには如何にも、といった出で立ちの司祭のような法衣を纏った40~50歳くらいの男性が佇んでいた。その周りには西洋式の甲冑を身に纏った騎士みたいな人達が軽く20人居た。すると司祭らしき人が近づいて来て一礼してから口をひらく。
「突然お呼びだてして申し訳無い…。私はベルティーク帝国最高司祭のローゲルと言う、以後お見知り置きを。…まだ混乱されている模様なので説明させて頂きましょう。まず、なぜあなた方がここにいるのか、それは私達が召喚したからです」
は?召喚?え、それってあのラノベ的勇者召喚なやつ?
「は?意味わからないね、そんな非現実的なこと。僕を帰してくれ」
そこで見知らぬ生徒らしき一人の眼鏡君が言う。
「しかし現実なのです。そして帰すことは今は出来ないのです。」
「え!?何で!?」
ここでまた見知らぬ生徒の一人の女性が声を荒らげ問う。
「この召喚の儀は膨大な魔力を消費するのです。だから何回も使えません。そして一番の原因が送還の方法がまだ解読されていないからです。ですが!私達が責任を持って必ず帰すと約束致します!」
えー、帰らせる方法がわからないのになぜ召喚した?てか魔力か………。てことはやっぱりここは地球ではないどこかになる。地球には魔力なんて無いからね。
「今、疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。理由としてはこれが最大の原因です。それは…」
あ、読めた。これあれだなテンプレだろ。多分魔王的なの倒してくれパターン。
「あなた方に彼の魔王を討ち果たして欲しいのです!」
と、高らかに言う。
ほらやっぱりそうだよ!チクショー!!期待通りでありがとうだよ!!
「ま、魔王?それってあの世界半分くれる悪い人?」
うん、それりゅ○おうな。緋色。まぁあながち間違いないではない。てか世界半分くれたらそれ悪い人か?
「?なぜ魔王が世界半分くれるのかわからないが想像通りです。彼の魔王は最近急に勢力を増し、いよいよ急がねばこの帝国が危ないのです!」
「なぜ勢力が増したんですか?」
「実は、恥ずかしながらまだわかっておりません」
おい、またか。わからなすぎるだろ、それは。ねぇ、よくそんなんで魔王倒してくれとかいえたよね?情報は基本だよ?なんかこいつら信用出来ないな~。
「そ、そうですか。とりあえず魔王を倒せばいいんですよね?」
と、寺帝がいうとローゲルがパッと笑顔になる。
「えぇ!そうです!もし倒してくれたのならばこの国の陛下が送還までの間はなに不自由なく豪勢な暮らしが出来るようにすると申しておりました」
「ちょっと相談してもいいですか?」
「えぇ、もちろんですとも」
すると寺帝は考え込むようにしながらこちらに近づいてきて
「なぁ、どうする?」
「ねぇ、どうするの?」
寺帝と更に金沢に選択を迫られる。
「いや、いいんじゃねぇか?しかしどうもあの司祭胡散臭いんだよな~」
「え~?良い人そうだけどな~」
「緋色、俺お前の将来不安」
「え!?」
そんなやり取りをしていると横から声を掛けられる。
「君たち、ちょっといいかな?」
声を掛けてきたのは見知らぬあの三人だった。
「んと、君たちは?」
「あぁ、ごめん。僕は須能 士郎、明星学院の一年生です」
「「「明星学院!?!?」」」
みんながハモる。それもそうだ。明星学院と言えば世界屈指の難関校だ。まぁ、見た目は普通だな。落ち着いた髪形に眼鏡。顔もまぁまぁ良い。仲良くなれそう。
「次は私かな?どうも初めまして。私は森崎 千草です。学校は天之江高校三年です。よろしくお願いいたします」
天之江高校か、こっちも名前が聞いたことあるくらいの名門だな。そして見た目、うんスゴい。黒髪ポニテのキリッとした顔でまさしく大和撫子みたいなオーラが出てる。スタイルもスレンダー。
え?これだけだよ?スレンダーって言ったらスレンダーなの。どこがスレンダーとか聞くな。
「んーと次はぁ、私かなぁ?初めましてぇ、高宮 聖愛です。ちぃちゃんと同じくぅ天之江高校三年でぇす」
それはもう凄かった。何がとは言わないが森崎さん以外全員がとある部分から目を離せなかった。緋色を…超える………だと!?
見た目もその口調とマッチするようにゆるふわな感じのボブヘアー。そしてタレ目気味のおっとりした目。なんていうか、全体的にゆるかった。
「あはは…、えーと俺は寺帝陣也。陣也でいいよ。よろしく。七海高校二年だよ」
「私は金沢緋色、緋色でもいいしひぃちゃんて呼んでもいいよ~。よろしく!陣也と同じ七高だよ!」
で、とうとう俺の番になる。うわー、苦手なんだよな~、こういうの。
「あー、俺は鳴海煉。呼び方は、まぁ何でもいいよ。前二人と同じ七高な、よろしく」
漸く全員の自己紹介を終えるとさっきの話の続きが始まる。
「僕は反対だよ。生き延びる保証なんてないじゃないか」
「でも、なにもしなければ帰れないんだぞ?」
「ぐっ、…まぁそうだな。でも僕達は戦争とは無縁の生活をしてきたんだ。いきなりそんな事出来る訳ない。僕は戦いたくないんだよ」
「私もだ」
「う~ん、そうだよねぇ?」
当たり前だ。急に戦争してこいといわれて出来る訳がない。
「少しいいですかな?」
「あ、いいですよ」
いままで成り行きを見てた司祭が話に入る。
「聞いたところ、乗り気じゃない方々が居るようですね。ですが安心してください。無理にとは言いませんよ。ただ、もし行かないのであればこの城で出来ることもありますのでそちらに回ってもらいます」
ほう、聞いた感じホワイトだな。さて、これを受けて眼鏡君達はどうする?
すると、須能君は覚悟を決めたのか司祭を見て、
「やります、やってやりますよ!」
「私もやる!」
「ちぃちゃんがやるなら私もやるぅ」
「お、おぉ。ありがとうございます。そちらのお三方は?」
「もちろんやらせてもらう。君たちもいいね?」
「うん!」
「はぁー、仕方がないな~。いいぞ」
まぁ、皆やるのに俺だけやらないのは気まずいしな。
「本当に感謝する。では急かすようですまないがステータス鑑定をさせてもらっても?」
「「「ステータス?」」」
俺達は一斉に首を捻るのだった。
初めての作品なので長くなりましたが今後投稿するのはもっと短いとおもいます。