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何かを隠している

「今のままでは魔王に傷1つつける事が出来るかどうか・・・」


俺の、深刻な声音に、


「いや・・・私のお前に対する想いは、凄まじい。恐らく、歴代の神器所有者が扱う力とは、比べ物にならない筈だ。今のままでも容易だろう」


魅了(チャーム)凄え。

恐らく、神器作った人も、想定してなかったんだろうなあ。

正にルール違反(チート)

最近、魔王の側近っぽいのを、相手に気づかれる前に瞬殺してたもんな。

神器の威力が上がり過ぎて、ステータス補正効果まで暴走しているらしい。


だが、諦める訳にはいかない。

そこに、憧れの双丘が有る限り。


「レミアの胸、凄く綺麗なんだろうな。見せて欲しいなあ」


「なっ」


魅了(チャーム)の効果では、行動の強制は難しい。

理性で抑え込んでしまえるからだ。


だが。


お願い、すると、かなり逆らい難い様だ。


「お前、フィンやマリン殿と、婚約をしたのだろう?私に手を出すのは不誠実ではないか」


ぐさり。


・・・ですよね。


いや、3番目、4番目の側室を増やす、という形なら、恐らく許される。

だが、他国の王女たるレミアでは、フィンを頂点とするハーレムには入れない。

更に、レミアには心に決めた相手がいるのだ。


「・・・レミアの言う通りだ。レミアは、フィンやマリンとは違い、将来決まった人がいる。レミアにはこう言う事は、すべきでは無い、な」


素直に謝る。

レミアも困るし、フィンやマリンにも失礼だ。


「もうしてくれないのか?!」


?!


レミアが泣きそうになりながら言う。


「いや・・・そのだな。チャームの影響で、そなたに耐え切れない愛しさを感じているのだ。苦しいくらいにな。昼間も・・・苦しくて、妬ましくて、仕方が無かった」


・・・やはり、苦しいんだな。


「レミア、やっぱり、1度解除した方が・・・」


冷静にならないと、戦いどころでは無くなる。


「エイコク殿、勘違いしないで欲しい。私はそなたが好きだ。そして、今、この上なく幸せなのだよ。今こうして横にいるだけで、今迄の人生が色褪せるくらい、幸せを感じている。これが魅了(チャーム)のせいでも、今、この瞬間の幸せは本物だ」


「レミア・・・」


レミアの様な美人に、そして、憧れの女性に、此処まで言われて。

当然、凄く嬉しい。


だが、レミアは、フィンやマリンとは違う。

これは、俺の邪術(チャーム)のせいなのだ。

その事実が、俺を冷静にさせる。

悲しさと、虚しさ。


魅了(チャーム)でハーレムを築くつもりなのに、この体たらく。

俺は、俺自身を嘲笑する。


「だいたいだな、私には確かに婚約者はいるが、恋心を復活させる為の訓練相手。相手に対して恋愛感情が有る訳では無い。政治的にも、結婚が必要な訳では無い。正式に婚約している訳でも無いのだ」


「そうなのか・・・?」


相手はその気かも知れないが。


「そもそも・・・そなたが邪術士などでなければ、そなたの護衛を兼ねて、私はお前の旅についていこうとしていたのだぞ。当時の私に恋愛感情は無かったが、一緒にすごして快い存在ではあったのだ」


「そうだったのか・・・?」


あれ。

ひょっとして、旅に出た後にこっそりやればワンチャンあった・・・?


「フィンが言い出さなければ、私がそなたを迎える事も考えていた・・・いや、そなたに求められれば、応えていた。いや──」


レミアが言葉を区切り。


「今からでも、求められれば、応じよう。先に手を上げたフィンに不義理な事はしないが。そなたが私を求めるなら」


「レミア・・・」


フィンとマリンか、レミアか。

まさかレミアが参戦するとは。


憧れの存在、俺が道を誤ったきっかけ・・・いや、道を誤ろうと決心させた存在。


一目惚れ、だったんだと思う。

最初に見た瞬間、釘付けになった。

美しい、女神の様な存在。


レミアが、言いにくそうに切り出す。


「エイコク殿、これは言わないでおこうと思っていたのだが・・・フィンとマリンには気を付けて欲しい。何かを隠している気がする。フィンは、聡明だ。常に理性で行動する。優しいが・・・正しい選択をする。その選択が、エイコク殿の望みと一致しない可能性は、有る」


フィンが・・・?


「フィンの事は、私も信じている。だが、心に留めておいて欲しい」


何となく、分かる。

すべて、レミアの本音だろう。


「有難う、レミア。でも、俺は──」


「フィンが、好きなのだな」


くすり。

レミアが、悲しげに笑みを浮かべる。


「私は、本音を話すのが、いや──自分に気付くのが遅かった」


レミアが呟く。

確かに、最初の頃、フィンと会う前なら、レミアの誘いに二つ返事で乗っただろう。


「レミア、俺は・・・」


「私も、自分を偽るのは止めよう。そなたを、振り向かせたい。この今の焼ける様な恋心は偽りでも、そなたに好意を持っていたのは確かなのだ」


レミアはそう言うと、微笑んだ。

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