第八話『講じる策は』
お久しぶりです!オトモ猫です!最近もう忙しくていろいろと笑 言い訳は良くありませんね、第八話です!
「お、見えてきたぞ」
心地良い風を浴びながら、『陸鷲』に乗る二人組。
彼等は目的の街である、『ガタープ』に到着しようとしていた。
良くも悪くも目立つので、最寄りの広場で降りた方が無難だろう。
「さ、ここら辺で降りる。準備をしておいてくれ」
その言葉にピクリと、ベリットと名付けられた『陸鷲』は反応し、高度を徐々に下げていく。
本来ならもっと激しく飛行するものだが、ベリットは、その例には当てはまらず、ゆったりと降下していく。
「優しい子なのね」
「ああ、そうだな」
エルミナが、これがベリットの気遣いなのだろうと感じたのか、感慨深く呟く。
イクスもそれには同意見だが、彼の心に燻る炎は、慈悲とは掛け離れたもの。
彼の良心が、彼の復讐心を締め付けていく。
「ねえ、これからどうするの?」
「ああ、歩きながら話すよ」
二人はベリットから降り、地面へ降り立つと、先程まで二人を運んでいた魔獣は、イクスの腕輪へと吸い込まれていく。
「まず、最終的なここでの目的は、ヴェントリスに接触する事だ」
ここの街を仕切っているのは、ヴェントリスの一族だ。
『人間』の中でも、権力のある一族であり、彼の復讐の架け橋となる可能性は十分だ。
「カーボル鋼はまだ蓄えがあるから、商人としてなら会う事も出来るだろうけどな、正直それじゃあ、あまり効果は無いだろう」
「そうなの?」
「ああ、まだ確証は持てないが、ヴェントリスは密かに魔獣とかを集めてるって話だっただろう?俺たちの持ってるカーボル鋼では、そういう奴の核心を突いた話が出来ない」
ヴェントリスも、カーボル鋼という希少金属を逃そうとは思わないだろう。
だが、こちらの立場はあくまで『商人』。
彼の秘匿されているモノに近付くには少々不向きだろう。
「じゃあ、どうするの?あまり長居しない方が良いって言ってたわ」
「ああ、だから少し、捻る」
「捻る?」
イクスの考えにどうもついていけない彼女は、素直に首を傾げる。
遠回しな言い方で、場を乱す事があるのは、彼の悪い癖だ。
「確かに、ヴェントリスと会うのに、この鋼と金額は使える。だが、奴の秘密を炙り出すのには、使えないから、俺たちは身分を偽るのさ」
「偽る?」
「ああ。商売をやっているというのに、加え、戦闘関連の仕事を裏稼業としていると言うんだ。そうすれば、奴は自身の裏の取引相手と読んで、引っかかってくれるかもしれない」
これは、向こうからの接触を促す為の作戦だ。
大量の金額と、カーボル鋼からかなりの財を持ち、さらに『陸鷲』を所持。
となれば、裏の用件、つまり強力な生物などの購入目的で来たと信じ込ませる事が出来る。
「俺たちは、財力もあれば、『陸鷲』を持っている。これだけで、商人としての能力は十分証明出来る。それで、戦闘や兵器の話を折り込めば、多少付け入る事は出来るんじゃないかと思う」
「うん、大体理解した」
「よし、なら早速街に行こうか。服装もそれなりのものを着ておかないとな」
現在、金は余る程持っているし、最悪イクスの異能力『構造変換』でカーボル鋼を生成するのも良い。
通貨を作り出す事も出来るのだが、偽の通貨対策として、最近はかなりセキュリティが複雑なので、細かい造形が苦手なイクスにはリスクがある。
「ーーここだな」
歩く事数分。
『ガタープ』の街の入り口にて、二人はそびえる建造物に、立ち尽くす。
それは巨大な屋敷のようなもので、暗い赤に彩られた外壁に、白の模様が施されている。
洋風な建物の容貌は、時代を感じさせる。
「これがヴェントリスの屋敷か。まだ街の入り口なのに、こんなにデカいとは」
イクスも、この少し古びた屋敷の大きさに感嘆の声を漏らす。
まだ街の入り口なのだが、まるで目の前にあるかのような大きさに、こちらの遠近感覚が狂ってしまいそうだ。
「完全にこの街を牛耳ってるって訳か。ガタープ・ヴェントリスが作り上げた街、これはもう一つの国家だな」
この威圧感すら漂う、城塞のような屋敷がこの街を支配するヴェントリスの権威の象徴。
しかも、その一族は不穏な噂が立ち始めている。
それを肯定するかのように、どこか街の様子も曇ったものがある。
「なんか、皆元気無いね」
「さっきの店のおっさんが言う噂は信憑性が高いらしいからな、ここじゃその不安だってモロに受ける」
元々、ヴェントリスの名のお陰で、ここの商業というのはかなり盛んだったはずだ。
港から遠く離れている訳でも無いが、立地は森に囲まれていて、余り良いとは言えない場所。
だが、逆にそれは木材を豊富に採取出来るので、港とのアクセスの良さを活かしつつ、ヴェントリスの権威の二重で、活気を支えてきた。
「もう少し情報を集めよう。すぐに立ち去れる街じゃ無さそうだぞ、ここは」
やはり、相手はかなりの大物。
生半可な準備で挑めば、手痛い反撃を喰らうだろう。
ここは慎重に、まずは情報から集めていかなければならない。
店主に釘を刺されはしたが、思惑が違う。
当分はこの街で準備を整える事になりそうだ。
「情報収集ね、でもこのままじゃ無理があるでしょ?」
「ああ。その通りだ。確かここは冒険者のギルドもあった筈だ。そこでなら、情報収集もしやすいだろう」
「冒険者のギルド?」
「あ、そうか。知らないのか。この世界じゃ、『魔獣』だとかそういう危険な生物がいるだろう?そういうのを討伐して、自分の利益にする稼業が『冒険者』なんだ。ギルドってのは、彼らが結託する組合みたいなもんかな」
最近は『魔法』と『科学』の発展により、『魔獣』の危険性は減りつつあるが、ゼロではない。
それらに対抗するのが『冒険者』だ。また、『魔獣』や希少な素材の採取にも貢献しており、そういった依頼などを取りまとめているのが『ギルド』だ。
大抵の『冒険者』は、ギルドに加盟して依頼をこなす事で生計を立てている。
危険な仕事の分、見返りも大きいので、腕に自信のある者や、命知らず、また正義感に駆られた者などが『ギルド』に集まる。
「へえ、そうなんだね。私達はそこで情報収集?」
「そうだな」
その二人を見る視線が一つ。
青空の陽光に紛れて、差し込んでいるのに、二人は気づかなかった。
この日が狙い目と聞き、投稿致しました、多くの人に読んで頂ける事を願って




