第九話 夜空と酒と虐殺と
悪臭のするゴブリン達の死体から少し離れ、優人は素振りを続けていた。剣はゴブリンソードマンから奪った、いや、借りた『はがねのつるぎ』に変わっている。
無心にただ振っていると、意外と時間は経つもののようで。
「もう夜だな」
辺りは暗くなり、空にも星が見えてくる。東京と違って空気が澄んでいるため、かなりきれいに見える。
《そうだね。もうそろそろ8時くらいかな》
「お前はいついなくなるんだ?」
女神は優人の問いには答えずに、沈黙する。
「いや、何か答えろよ!怖えよ!!」
予想外の反応に狼狽える優人。すわストーカーか、と身構える。
それからしばらく黙々と素振りは続き、もうそろそろ真っ暗になりそうだ。
寝る場所をどうしようかと考え始めた時、優人はあることに気付く。
「俺今日何も食ってなくないか?」
よく考えてみれば、午前中に来てから昼食も夕食も摂っていない。
優人自身、異世界に急に転生していたり、自分のステータスに驚愕したり、転んで気絶したり、ゴブリンと戦闘したりであまりそんなことを気にする余裕がなかったのだ。だが、一度気が付くと気になって仕方がない。
《そうだね。食料も持ってないしね……どうする?》
「知らねえよ!お前の不備が招いたことだろうが!!」
優人の言葉に女神はうーんと唸り、しぶしぶと言った口調で言う。
《じゃあ、何とか出来そうなスキルあげるよ》
《ユニークスキル【無銭飲食】を取得しました》
「人聞きの悪いスキル名だなッ!!」
優人は、本日何度目か分からない溜息をつきながら詳細を確認する。
【無銭飲食】 ノーコストで好きな食べ物、飲み物を出現させることが出来る。
「便利じゃねえか!!!」
悪意のある名前に反して思いのほか良い効果。優人の中で女神の株が少し上がった。
しかし、女神は不満なようで、口を尖らせながら――実際には見えないのだが――反論する。
《私があげたのは全部いい効果だよ。マイナス効果とかは基本優人君が勝手に手に入れたものだからねっ!!》
女神は更に言い続けるが、食べ物で頭がいっぱいの優人には聞こえておらず無視される。その態度にイラついた女神は更にグチグチ言うのだが、やはり無視される。
「んじゃ、まずは……下手なこと言って失敗はしたくないし、飲み物にしとくか。うーん、一応成人してるらしいし、アルコールも大丈夫だよな?じゃあ、何でも良いなら、超高級ウォッカでも……」
漠然と、とりあえずは、と憧れの酒を召喚する優人。
その瞬間、頭上に超巨大な水球が。その光景に女神を絶句する。
《大体君は――。あれ……半径50メートルくらい……あるよね……。君何したのっ!!》
重力に従って水球は落ちて来る。そして、バッシャアと辺り一面に降り、アルコールの匂いが立ち込めて来る。
「うっわ……」
当然優人もびしょ濡れである。どうしようかと思ったが、乾かす手段などなく、脱ぐわけにもいかないのでそのままだ。
《もしかして君、なんとなく使ったでしょ。明確なイメージを持たないとこうなったりするんだよ……》
女神にいつものテンションが無い。呆れているようだ。
◇◇◇
1kmほど歩くと川があったので、服を洗った。相変わらず濡れてはいるが、酒まみれよりはマシだろう。ついでに体の汚れも落とす。
完全にすることが無くなり歩く気力も無いので、銀色の容器の超ドライなビールを飲んでから、少し歩いたところにあった大木の陰で眠りについた。
◇◇◇
《優人君っ!!大変だよっ!!》
女神の叫び声で優人は起きる。寝起きのためぼんやりとしているが、女神の声があまりに必死だったため、何事かと思い説明を求める。
《と、とりあえずステータスを見てみてよっ!!あ、大声は忘れずにねっ!!》
優人は心の中で【真天眼】と呟く。
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新橋優人 人間 十五歳 男 状態:通常
レベル:27/100
体力:155
筋力:155
魔力:155
知力:155
耐力:155
敏捷:155
アクティブスキル
【神託:5】←NEW
【剣技〝スラッシュ〟】
【剣技〝ソニックブレイド〟】
【慈悲無き痛撃】
【剣技〝フライスラッシュ〟】←NEW
【剣技〝ダブルスラッシュ〟】←NEW
【絶滅之一撃】←NEW
パッシブスキル
【万能】
【不屈:6】←NEW
【自動翻訳:10(MAX)】
【言語理解:2】←NEW
【幸運】
【強運】
【豪運】
【激運】
【天運】
【神運】
【剣術:4】←NEW
【悪運】←NEW
ユニークスキル
【?????】
【????】
【真天眼】
【無銭飲食】←NEW
称号
【神童】
【オールラウンダー】
【恐怖する者】
【絶望を知る者】
【??】
【神のお気に入り】
【異世界人】
【幸福の加護】
【転生者】
【無慈悲なる者】
【罠使い】←NEW
【殲滅者】←NEW
【覚醒者】←NEW
【ゴブリンの天敵】←NEW
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「あ、魔力が150以上になってる。【慈悲無き痛撃】使えるようになって……ん?」




