第十二話 狂気とバトルと喪失と
「は はは はははははははは ははは ははははははははは ははははは そ うだ お れ はわる く ない ん だ わ るい のは ぜん ぶあ い つ なんだ そ う だ そ うだ そう だ そう だ そ うだ ぜ んぶこ わ しちゃ え」
レイプ目になりながらそんなことを言い始めた優人。
《うわ~これはないかな~。優人君、大分壊れちゃってるじゃん……。何かトラウマ刺激しちゃったかな……?うーん、【オラクル】切った方が良いかなぁ》
どうやら、これまでの優人と女神の無駄話は『神託』扱いだったようだ。女神はドン引きした様子で、会話をやめることも検討し始める。
《なんて。黒歴史程度でまさか、こんなに壊れる訳ないんだけどね》
あはは、と薄く笑う女神。
《でも、こんなところで??が出て来るとは。格上との戦闘だったから?いや、この程度だったら優人君でも何とかなったはず。何で……?》
優人が豹変した理由について女神は思考する。
女神が思考に没頭していると、二人に動きがあった。
「ふん。やっと戦う気になったか。良いだろう。貴様を我が黒剣の錆にしてくれようぞ!!」
剣を構えるシュヴァルツ。対して優人は。
「こ ろ す ころ す こ ろす ころ す こ ろす こ
ろ
す
こ
ろ
す
こ ろ
す」
完全に壊れながら、やはりこちらも剣を構える。
◇◇◇
《――君っ!!優人君っ!!優人君っ!!》
女神は優人の名前を連呼する。その呼びかけにより、優人は目を覚ました。
「ん?」
優人の目の前、前方には澄み切った青空が広がっている。どうやら優人は地面に寝ているようだ。
起き上がると、体に違和感があるようで、優人はしきりに首を捻っている。ふと右手を見てみると……。
「赤っ!!え、血!?」
よくよく見てみると、その血の跡は腕、肩、胴体と続いている。
優人自身には怪我はないので、返り血のようだ。
「何で返り血?」
昨日のゴブリン達の返り血は川で落としたはずだ。優人の独り言に、女神は言い辛そうに返答する。
《えっと……君、どこまで覚えてる?》
「んー、ゴブリンキングが現れた所までかな。その後何かあったのか?」
首を傾げる優人。
《あー、成程。そこまでね……。 》
「後半聞き取れなかったんだが、何て言ったんだ?」
ボソッと呟かれた女神の失言を追及する優人。女神は何でもないよっ!!と誤魔化す。
女神はうーんと唸ってから覚悟を決めたようで、説明を始める。
◇◇◇
「まずは様子見からだ。我がライバルならば、受けきって見せよッ!!『煉獄より生まれし破壊の紅矢』【火魔法〝ファイアアロー〟】!!」
シュヴァルツはレベル2の火魔法を優人に向かって撃つ。
顔めがけて放たれた炎の矢を、優人は首を左に傾けるだけで回避する。そして、矢が自分の横を通り過ぎると同時に、シュヴァルツに向かって突進を始めた。
愚直なまでの直線的な軌道。その動作はシュヴァルツも予測していたようで、優人が自分の間合いに入った瞬間に剣技を発動した。
「はああ ああああ ああ ああああああ!!!」
「喰らうが良いッ!!『我が剣閃は壁となりて悪意を薙ぎ払う』【剣技〝フラッシュカウンター〟】!!」
シュヴァルツは【剣技〝フラッシュカウンター〟】の効果で優人の突きを無効化し、優人の首筋めがけて剣を薙ぎ払う。
そのままであれば直撃していたが、優人は剣の腹で防御していた。攻撃がキャンセルされたことによって、攻撃の反動が無くなりすぐに動けるようになったのだ。
◇◇◇
「ちょ、ちょっと待って。何その格好いいバトルパート!全然身に覚えないんだけど!後、シュヴァルツって誰?」
《何って言われても、私だって何でああなったのか分からないよっ!!何が起きてたの!?》
「何で聞き返してるんだよ。お前見てたんだろ?シュヴァルツって誰?」
神のくせに使えない奴だな、と優人は言う。女神は心外なようで、優人に言い返す。
《神だからって何でもできるとは思わないでよ!!本当に、君あの時何が起きてたの?》
「いや、だから、それを俺が聞いてるんだろ!シュヴァルツて何者?」
会話がすれ違う二人。
優人はバトルに至った過程を聞いていて、女神はバトル時の優人の状態について聞いている。
《本当に驚いたんだよっ!!何であんなことに?》
「だからそれは俺のセリフだよ!!シュヴァルツって誰ぞや?」
女神はかみ合わない会話にイラついたようで大声を上げる。
《君のことは君にしか分からないでしょ!!ほんとに何でアイツ使ったの?あんまりひどいことを言うならお姉さん怒るよっ!!シュヴァルツはシュヴァルツだよ!!》
「何勝手にキレてんだよッ!!だから、シ(以下略)とは何奴?」
逆(?)ギレする優人。だが、頭に血が上っていても疑問は変わらず残っているようだ。
《だから、シュバルツはゴブリンキングだよ!!》
「ああ、なるほ……やけに厨二だな!!」
《究極狩人が言うなっ!!》
女神の言葉に、一拍置いてから優人は答える。
「何か今不愉快な親文字があった気がする……」
次回更新は明日です




