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土にご挨拶です

いつもお付き合いありがとうございます!


作者には花の知識自体は人並みにしかございません。

なので、現実もちょっとは参考にしてますが、物語に出てくるのは勝手に考えたオリジナルの花なので、ご都合主義満載です(笑)

魔法とかも絡みます。

予めご了承いただけますと幸いです。


※2017/8/23誤字訂正しました。


「ここだ」


殿下が連れて来てくださったのは、広間などに面した大きな庭ではなく、王家のプライベートの敷地内にあるこじんまりとした空間。


一般貴族よりは若干広めの中庭、とでも言えばいいでしょうか。

外からの視線が届かないようになっています。


「ここは…庭園ではないですよね?」


「あぁ。幻の花を育てるところが見つかると厄介だからな。場所を探した。ここは随分と昔に母上が個人的に花を世話して楽しんだようだが…おい?」



ふむふむ、昔花を育てていたなら素地はできているでしょうか。


殿下の話を耳では聞きながら、手はふわりと地面につき、土のぬくもりを感じます。

日当たりは悪くはないですが土は少し硬く、水はけがよすぎるかも、ん?この力の流れは…



「………い…おい。」


「あっハイ?」


あれっ⁉︎話しかけられてました?

全然聞こえてませんでした。


「…ずいぶん集中していたようだが、何をしていたんだ?」



「土へのご挨拶と診察のようなものです。花を咲かせるには、まずどんな土か知り、土作りから始めなくてはいけませんので。」


「診察…土いじりといっても奥が深いのだな」

感心したようにそう仰った殿下も土に手を当てますが、よくわからなかったようで首を傾げています。


「で、ここの土はどうだ?」


「あ、はい。少し手を入れて、あとは必要な物を入手できれば問題ないかと。」


「何が必要だ」


「ええと、南の国に近い、柔らかい土が少し欲しいです。セイント・リリーフは文献の中では南の地方で登場することが多いですし、そちらの土の方が合うかもしれませんので」


「なるほどな…すぐ手配しよう。明日には届けさせる」


「お願いいたします。あとは、この場所の土のパワーで補えそうです」


「土の?」


先ほどから端的に質問されるので、いつもまごまごしてしまうわたくしも反射的に返答できます。


「えぇ、さすが王家の庭というか…普通と違う力の流れが土の中にあるので、開花の助けになるのではと」


「そんなことまでわかるのか。すごいな」


「お、恐れ入ります…」


ストレートに褒められて、嬉しいような恥ずかしいような。だって家族以外の方にプラスの言葉をかけてもらうことなんてありませんでしたし。

じわじわ顔に熱が集まってしまいます。



それを隠すように下を向いて、手荷物に入れていた、道中手に入れた紅い花を取り出して庭の隅に植えました。


「紅い花…」


「リュダシスです。土と馴染んで育ったら、殿下に素敵な物をお見せしますね」


その時に殿下がどんな顔をなさるか、なんだか楽しみでにっこりすると、殿下は眉をひそめ口を引き結び、まるで鬼のような表情。


えっ怖い。

申し訳ありません。私のワクワク顔が見るに耐えなかったのですね…!



「……そうだ。花を育てる間の滞在だが」


「はい…」


「ココへ来やすいよう、王家のプライベートエリアで生活してもらうことにした。仮にも婚約者だし問題ないだろう。頻繁に出入りしすぎると詮索されやすくなるしな」



「…………………………………え?」



聞き間違い?




「一応、何かあったらすぐに伝えられるよう私の私室のすぐそばに部屋を用意したから、そちらへ荷物を運ばせるように手配しておく」




あまりの衝撃にはくはくと口を開いたり閉じたりするだけで言葉になりません。


「では、案内しよう。ついてきてくれ」


サッサと歩き出した殿下の言うままに足を動かそうにも頭が働いていないせいかうまくいかず。



む、無理と言わなくては、せめて王家のプライベート空間ではなくて普通の王宮内の客間で、いや、というか王族の皆様と別のところであればこの際物置小屋でも!


うわぁぁ世間知らずなわたくしですから、距離が近いほどいつ不興を買うかわかりません。


あぁ……けれど所詮わたくしはノーと言えない土いじり令嬢。


極度の不安で呼吸困難になって頭もクラクラしてきました。



どうしましょうーーーーー



そこでわたくしの意識はプッツリ途絶えました。


お読みいただきありがとうございます。


今回は、花を咲かせる、一応魔法の能力…というお話。ファンタジー。。


シアが花を育てる能力、というひとつはこういうところからでした。

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