わたくしはシアラです
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王宮に到着し、まずは、王妃様に拝謁することになりました。
人にうつるような病ではないけれど寝たきりだということで王妃様のお部屋へと通されます。
引きこもりのわたくしにいきなりのお部屋訪問はハードルが高すぎるのですが……
というか!
何気なく王妃様の枕元に寄り添っていらっしゃるのは、こ、国王陛下ではありませんか⁉︎
精悍なお顔立ちは目立ちますからすぐにわかります。
一方の王妃様は前にお会いした時よりも随分と痩せられ、時折苦しそうに咳を…
大丈夫でしょうか……いえ、大丈夫ではないからわたくしが呼ばれたのですよね。
「アラン、辺境伯領の道程、ご苦労であった。して、その者が…」
殿下が国王陛下夫妻を前にピシリと背筋を伸ばして紹介してくださいます。
「はっ。父上、母上。薬を作ってくれる者を連れてまいりました。チェスター家の者で、名を…………」
あれ、変な間が。
……殿下、わたくしの名前を覚えていらっしゃらないのですね?えぇ、"花の育て主"としてようやく認識された引きこもり令嬢の名前を覚えていらっしゃらなくても何も問題はございません。
これで仮に婚約者と言わねばならない場所で大丈夫なのか不安はありますけれど。
しかも、拝謁ですから許可がなければわたくしから身分が上の国王陛下夫妻へ話しかけることはできません。
腰を落として頭を低く下げた姿勢が実は結構辛いもので、足がプルプルしだしました。は、早く…
「殿下、自己紹介して頂いては?」
「そ、そうだな。発言を許す」
「恐れ入ります」
あぁ、イアン様が機転を利かせて下さいました。ありがとうございます!
ようやく足プルプル地獄から解放されます。
すっくと立ち上がって……足が痺れて若干フラフラしましたが、気を取り直して礼を取り、ご挨拶を。
「国王陛下、王妃様、御前失礼いたします。チェスター家が次女、シアラでございます。お力になれるよう精一杯努めさせて頂きます」
「…シアラ……チェスター…?」
「母上!」
横になり荒い呼吸でぼんやりと宙を見つめていた王妃様が、こちらに視線を投げかけ身を起こそうとすると、殿下や陛下が慌てて背中を支えます。
「このような姿、で、情けないわ…シアラさん、お元気そうね」
息を整えて微笑むお顔は頬が痩けてしまっていますが、穏やかな雰囲気がにじみ出ておられます。
「はい、お陰様で」
「ふふ、ますますアリーヤに似て…ケホ、ゲホッッ!」
「母上!お喋りはそれくらいになさって、もうお休み下さい」
「そう…ね、コホッ…ねぇ、シアラさん、暫く滞在されるなら、またこの部屋へも顔を出して話し相手になってくれないかしら。寝てばかりで気が滅入ってしまって…時間のある時でいいわ」
「仰せのままに」
陛下が心配そうに背をさすったり殿下が手を握る様は、王妃様への親愛で満ちています。
本当に王妃様をとても大事になさっているんですね…
わたくしも、なんとか結果を出してお助けしたいという気持ちが強くなりました。
頑張らなくては!
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